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歩合制とは?わかりやすく解説!給与計算担当者向け実務解説

2025.07.13 社労士コラム

給与計算は、企業の重要な業務です。
特に、歩合制を採用している企業では、正確かつ迅速な給与計算が求められます。
複雑な計算や法令遵守の難しさに直面している担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、歩合制における給与計算の実際について、具体的な計算方法や注意点を解説します。
給与計算業務の効率化や正確性の向上に役立てていただければ幸いです。

歩合制とは何か?

完全歩合制の概要

完全歩合制とは、成果に応じて報酬が支払われる給与体系です。
固定給は一切ありません。
成果がなければ報酬はゼロになります。
そのため、労働基準法では、雇用契約における完全歩合制の採用は認められていません。
個人事業主やフリーランスとの業務委託契約の場合にのみ適用可能です。

固定給+歩合制の概要

固定給+歩合制は、固定給に加えて成果に応じた歩合給が支払われる給与体系です。
成果がなくても固定給が保障されるため、生活の安定性を確保できます。
営業職や販売職などで広く採用されています。
固定給と歩合給の割合は、企業によって大きく異なります。

最低賃金との関係性

固定給+歩合制の場合、固定給と歩合給の合計額が、労働時間に応じた最低賃金を下回ってはいけません。
最低賃金は地域によって異なりますので、必ず最新の情報を参照してください。
完全歩合制の場合は、最低賃金は適用されません。

労働基準法との関連性

歩合制であっても、労働基準法は適用されます。
労働時間管理、残業代、有給休暇といった規定は、固定給の場合と同様に遵守する必要があります。
労働基準法第27条では、出来高払制などにおいても、労働時間に応じた一定額の賃金保障が義務付けられています。

歩合制の給与計算方法と注意点

給与計算の基本手順

1: 期間の確定
給与計算期間を明確に設定します。

2: 労働時間の集計
正確な労働時間を集計します。
残業時間や休日出勤なども含めます。

3: 歩合給の計算
契約に基づき、歩合給を計算します。
売上高、利益額、契約件数など、成果指標によって計算方法は異なります。

4: 固定給の加算
固定給と歩合給を合計します。

5: 手当の加算
通勤手当、残業手当など、各種手当を加算します。

6: 控除額の計算
所得税、住民税、社会保険料などを計算します。

7: 給与の確定
合計額から控除額を差し引いて、最終的な給与額を確定します。

8: 給与明細の作成
確定した給与額に基づき、給与明細を作成します。

歩合計算の具体的な方法

歩合計算は、契約内容によって大きく異なります。
例えば、「売上高の10%を歩合給とする」場合は、売上高に10%を乗じることで歩合給が算出されます。
「1件あたり1,000円の歩合給」の場合は、契約件数に1,000円を乗じます。
複雑な計算式が用いられる場合もありますので、契約内容を正確に理解することが重要です。

各種手当の加算方法

通勤手当、残業手当、休日出勤手当など、各種手当を正確に加算します。
手当の計算方法は、企業の規定に従います。
残業代については、固定給部分と歩合給部分で計算方法が異なる場合があり、注意が必要です。

税金・社会保険料の計算

所得税、住民税、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)などを計算し、給与から控除します。
これらの計算には、給与額だけでなく、扶養人数や控除対象となる経費なども考慮する必要があるため、税務・社会保険に関する専門知識が必要です。

給与明細の作成と確認

給与明細には、給与明細番号、氏名、支払年月、支払日、総支給額、控除額、差引支給額、内訳(基本給、歩合給、各種手当、控除項目など)を記載します。
作成後は、必ず内容を確認し、誤りがないかチェックすることが重要です。

まとめ

歩合制の給与計算は、固定給制とは異なる点が多く、複雑な場合があります。
正確な計算には、契約内容の理解、労働時間管理、各種手当の計算方法、税金・社会保険料の計算方法に関する専門知識が不可欠です。
最低賃金法令の遵守も重要です。
本記事で紹介した計算方法や注意点を参考に、正確な給与計算を行い、従業員のモチベーション向上と企業の健全な経営に貢献しましょう。

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