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役員の給料設定、間違っていませんか?節税とトラブル回避のための正しい知識

2025.06.27 社労士コラム

企業経営者や総務担当者の皆様にとって、「役員の給料(報酬)」の設定は頭を悩ませるテーマの一つです。特に従業員数100名を超える中小企業では、経営の透明性、税務対応、人事戦略の観点からも非常に重要なポイントになります。本記事では、役員給料の設定にまつわるよくある悩みとその原因、そして正しく対応するための実務的なポイントについて解説します。

役員給料の設定、こんな悩みありませんか?

  • ・役員報酬は毎月同じ額にすべき?ボーナスを支給すると税務上NG?
  • ・税務署に指摘されるリスクがあると聞いたが、どうすればいい?
  • ・会社の経営状況が変わった場合、報酬額の変更は可能?

こうした悩みが生じる背景には、「役員報酬に関する税制上の厳格なルール」が存在します。特に法人税法では、定期同額給与でなければ損金算入できないという大原則があり、これを知らずに報酬を変動させた場合、会社側にとって大きな損失につながる可能性があります。

この記事では、大阪・東京・福岡・名古屋といった主要都市で多数の顧問先をもつ社会保険労務士事務所の視点から、役員給料に関する実務と制度のポイントを詳しく解説します。読み進めることで、「何がNGで、どうすればトラブルを防げるのか」が明確になるはずです。

役員報酬の基本ルールと制度の裏話

まず、役員報酬の取り扱いには一般従業員とは異なる厳格なルールが存在します。特に重要なのは「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」の3パターンです。

定期同額給与:最も一般的な方式

役員に毎月同額の報酬を支払う方法で、税務署からのリスクが最も低いです。ただし、期中に金額を変更すると損金として認められなくなる可能性があります。

事前確定届出給与:ボーナスを支払うならこれ

期首に支給日と金額を税務署に届け出れば、臨時の報酬も損金算入が可能です。ただし、手続きミスや提出漏れには要注意です。

利益連動給与:上場企業などで利用

経営指標に連動する報酬制度。通常の中小企業には馴染みが薄く、導入には複雑な要件があります。

業界・地域での違いにも注意

たとえば、大阪では創業支援の一環で役員報酬の設定を柔軟にしている事例もあり、東京や名古屋のような首都圏とは違う文化的な傾向が見られます。また、福岡では地場企業が多く、家族経営での役員構成も珍しくありません。

よくある誤解とリスク

  • ・「業績が良いから役員にも臨時ボーナス」は、届出なしではNG
  • ・「会社が赤字だから役員報酬をゼロに」は、社会保険の未納リスクあり
  • ・「就業規則に役員報酬の記載がない」は、社員との整合性問題を引き起こす可能性

豆知識:「役員」と「従業員」の違い

法律上、役員には労働者性がなく、労働基準法が適用されないため、残業代などは発生しません。この違いが報酬設定に影響することを意外と知られていません。

トラブルを避けるために実践すべき8つのアクション

  • ① 毎年、事業計画と連動して報酬額を見直す
    報酬額は原則として期首に決定すべきです。年度ごとに利益予測や経営戦略と照らし合わせて適正額を設定することで、税務・財務両面の整合性が取れます。
  • ② 事前確定届出給与を正しく活用する
    ボーナスを支給する場合は、事前に届け出る必要があります。期首から4ヶ月以内が提出期限となるため、顧問税理士や社労士と綿密にスケジュールを立てましょう。
  • ③ 就業規則に役員報酬に関する規定を明記
    社員との不公平感を防ぎ、内部統制を強化する意味でも、役員報酬の決定方法や支給日を明文化しましょう。
  • ④ 社会保険料負担を考慮した金額設定
    高額な役員報酬を設定すると、会社・本人ともに社会保険料の負担が増します。節税と保障のバランスを見て調整が必要です。
  • ⑤ 赤字でも報酬ゼロは避ける
    社会保険上の標準報酬が極端に下がると、将来の年金や医療保障にも影響が出ます。最低限の支給は維持しましょう。
  • ⑥ 顧問社労士・税理士との定期的な打合せ
    税務署の動向や法改正をキャッチアップするには、専門家との連携が欠かせません。大阪・東京・福岡・名古屋では地域特有の助成金制度もあるため情報共有が重要です。
  • ⑦ 他社の報酬水準を参考にする
    業界の報酬水準をベンチマークすることで、報酬額が高すぎる・低すぎるといったトラブルを回避できます。
  • ⑧ アウトソースを活用してミスを防ぐ
    給与計算や報酬届出はアウトソースすることで、人的ミスを減らし、手続き漏れのリスクも回避できます。
  • 【やってはいけない】期中で報酬を勝手に変更する
    税務署に損金算入を否認される可能性があり、会社にとって大きな損失になります。例外的な変更には明確な理由と文書化が必要です。

よくある質問とその回答

Q. 役員報酬は自由に決めても問題ない?

A. 法人税法の要件に合っていれば自由ですが、税務上損金とならない可能性もあるため、事前の届出や定期同額での設定が重要です。

Q. 業績悪化で報酬を途中で減額できる?

A. 原則として期首に定めた金額を維持する必要があります。ただし、著しい業績悪化など特段の事情がある場合には、一定の手続きを経て変更可能です。

Q. 社会保険は加入しなければいけない?

A. はい、原則として役員も社会保険に加入が必要です。加入しないと脱法的とみなされ、後から追徴されるリスクがあります。

Q. 就業規則に役員報酬のことは記載すべき?

A. 法的義務はありませんが、記載することで社員との整合性が取れ、会社の内部統制が強化されます。特に人数が多い企業では有効です。

Q. 給与計算は内製すべき?アウトソースの方が安全?

A. 規模が大きい企業ではアウトソースの方が正確性や法改正対応に優れており、人的ミスを防げます。給与計算ミスによる税務・社会保険のトラブルを防ぐためにも有効です。

まとめ:役員報酬を適正に設計し、会社経営を強化しよう

役員給料の設定は、税務、労務、財務の交差点にある極めて重要な経営課題です。定期同額給与や事前確定届出の制度を正しく活用し、報酬設計を見直すことで、税負担を最適化しつつ内部統制を強化できます。

特に従業員数100名以上の企業では、給与計算や手続きのミスが大きなトラブルに直結しかねません。アウトソースや顧問社労士の活用も視野に入れ、地域の助成金制度なども賢く活用しましょう。

未来の経営リスクを減らし、安心して成長できる企業体制のために、今こそ役員報酬の見直しを始めてみてはいかがでしょうか。

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