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【みなし労働時間制と残業代】誤解すると危険!就業規則と実務対応を徹底解説

2025.06.26 スタッフブログ

「みなし労働時間制を使えば残業代はいらないの?」
「裁量労働制って何が違う?うちの制度は大丈夫?」
「就業規則や給与計算にどう反映すればいいのか分からない…」

東京・大阪・福岡・名古屋など都市部の中小企業、とくに従業員100名以上の企業では、業務効率化や柔軟な働き方を目的として「みなし労働時間制」を導入するケースが増えています。
しかし、制度の誤解や導入手続きの不備により、残業代の未払い・労基署の是正勧告・訴訟リスクが発生することも。

本記事では、大阪の社会保険労務士が、「みなし労働時間制」と残業代の正しい関係性、就業規則や給与計算・助成金・アウトソースとの連携まで、実務に即した視点で解説します。

1. みなし労働時間制とは?制度概要と残業代の考え方

◆ みなし労働時間制の3つの種類

  • ① 事業場外みなし労働時間制(労基法第38条の2)
    外回り営業など、労働時間の把握が困難な業務に適用。
  • ② 専門業務型裁量労働制(労基法第38条の3)
    デザイナー・プログラマー等の専門職に適用。労使協定が必要。
  • ③ 企画業務型裁量労働制(労基法第38条の4)
    本社での企画・立案業務に限定。労使委員会設置と届け出が必須。

◆ 「みなし」とは“決まった時間働いたと見なす”という意味

例えば、「みなし8時間」と定めれば、実際の労働時間が7時間でも10時間でも8時間働いたとみなします。
ただし、深夜・休日労働は別途割増賃金が必要です。

◆ 残業代が不要なわけではない

  • みなし時間を超えた労働(例:10時間勤務でみなし8時間)→ 超過分の残業代が必要
  • 深夜勤務(22時~翌5時)→ 25%割増賃金が必要
  • 休日労働(法定休日)→ 35%割増が必要

◆ A社(名古屋・IT企業)の実例

裁量労働制を導入していたが、適正な労使協定を結んでおらず、残業代未払いで訴訟トラブルに。
顧問社労士と協議し、制度の廃止と通常のフレックスタイム制へ移行。

◆ よくある誤解

  • 「裁量制=残業代ゼロ」→ ×:割増賃金の支払いは義務
  • 「みなし制ならタイムカード不要」→ ×:管理台帳や実労働時間の把握は必要
  • 「就業規則に書いていないけど実務で運用している」→ ×:法令違反の可能性大

2. みなし労働時間制を正しく導入・運用するための企業アクション8選

  1. 就業規則に「みなし労働時間制」の記載を明記
    対象者・みなし時間・割増賃金支払いの方針など詳細に記載。大阪の広告会社で整備済。
  2. 対象業務と職種を限定し、適用基準を明確に
    社内での不公平感を防ぎ、制度の透明性を確保。東京の開発会社で成功。
  3. 導入時に労使協定・労使委員会の議事録を用意
    裁量労働制には届け出と文書保存義務あり。福岡の設計事務所で運用中。
  4. 深夜・休日労働の割増分は別途支給ルールを設定
    勤怠システムに時間帯判定を連携。名古屋のエンジニア企業で実装。
  5. 実働時間の把握と健康管理措置を導入
    長時間労働防止のため、みなし制でも月次の労働時間チェックが必須。
  6. 給与計算ソフトに制度設定を反映
    固定残業代との混同を防止し、みなし制の賃金体系を明確化。
  7. 制度運用状況を年1回以上見直し
    制度が実態と乖離していないかをチェックし、必要に応じて改訂。
  8. やってはいけない:説明・同意なく制度を導入
    合意形成のないまま運用すると、制度無効と判断されるリスクあり。

3. よくある質問(Q&A)

Q. みなし労働時間制を使えば残業代は一切払わなくていい?
A. いいえ。深夜・休日勤務、みなし時間超過分については残業代の支払い義務があります。

Q. タイムカードは不要ですか?
A. 完全に不要ではありません。勤務状況把握や健康管理の観点から、実態の記録は必要です。

Q. 導入にあたり就業規則の変更は必要?
A. はい。制度の導入・適用範囲・時間数・割増賃金について明記する必要があります。

Q. フレックスタイム制との違いは?
A. フレックスタイムは実労働時間で管理されますが、みなし労働時間制は「働いたとみなす」時間で管理されます。

まとめ:みなし労働時間制は“制度理解×適正運用”が命綱

みなし労働時間制は、柔軟な働き方を支える一方で、制度の誤運用が深刻な法的リスクに直結します。
本記事では、制度の種類と定義、残業代との関係、就業規則・給与計算・社内合意の必要性、助成金との連携などを実務視点で解説しました。

大阪・東京・福岡・名古屋などの中小企業でも、社労士と協力して制度導入から運用までのフロー整備を進める企業が増えています。
自社の労働時間制度が正しく機能しているか、今こそ見直しのタイミングです。

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