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知らなかったでは済まされない!休業手当とは?中小企業が押さえるべき実務対応

2025.06.04 社労士コラム

「社員に休んでもらったけど、給料はどう処理すべき?」「台風や設備トラブルでの休業、賃金の支払い義務はあるの?」「休業手当と有給休暇って何が違う?」——大阪・東京・福岡・名古屋など、全国の中小企業から日々多くの相談が寄せられています。

こんな悩み、ありませんか?

  • 「急なトラブルで従業員に出勤してもらえなかったけど、給与って必要?」
  • 「コロナや自然災害などでやむなく休業させたが、補償の基準が分からない」
  • 「助成金と休業手当の関係性がよく分からない」

これらはすべて、労働基準法第26条で定められている「休業手当」に関わる問題です。
このルールを知らずに対応すると、従業員とのトラブルや未払い賃金としての訴訟リスクが発生する可能性もあります。

この記事では、休業手当の基本的な意味と支給義務の条件、就業規則への記載の必要性、給与計算との関係、助成金との連動、アウトソースの活用方法など、中小企業に必要な実務対応をわかりやすく解説します。

休業手当とは?制度の基本をわかりやすく解説

1. 休業手当とは何か?

休業手当とは、会社の都合で従業員を働かせることができなかった場合に支払う賃金補償です。
労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合、平均賃金の60%以上を支払うことが義務付けられています。

2. 対象となる「会社都合の休業」とは?

次のようなケースが「使用者の責」に該当します:

  • 業績不振による一時帰休
  • 設備トラブルによる停止(空調・電力・機械不具合)
  • 原材料不足によるライン停止
  • 人手不足による休業

一方で、地震・台風などの不可抗力や本人都合による欠勤は、休業手当の支給対象外となることがあります。

3. 休業手当と有給休暇の違い

休業手当:会社都合で働けなかった場合に支払う賃金の一部(60%以上)
年次有給休暇:労働者が自分の意思で休む制度。賃金は100%支給

福岡のある企業では、休業日に年次有給休暇を自動的に充てたことが問題視され、是正勧告を受けました。

4. 平均賃金の計算方法

休業手当の金額は、次の計算式で求めます:

平均賃金 = 過去3か月の総支給額 ÷ 総日数
支給額 = 平均賃金 × 60% × 休業日数

※残業代や通勤手当も含めて計算する必要があります。

5. 注意すべき「部分休業」のケース

勤務時間を短縮した場合も、1日あたりの労働時間に対して「働かなかった時間」分について休業手当が発生することがあります。

6. 助成金との関係

雇用調整助成金などでは、休業手当を実際に支払った事実が要件となります。正確な給与計算と就業規則、勤怠記録の整備が必要不可欠です。

休業手当対応でやるべき8つのアクション

  1. 休業規定を就業規則に明記
    理由:支給条件・金額の透明性を確保。
    方法:社労士に相談し、法定ルールを反映。
    効果:従業員とのトラブルを未然に防ぐ。
  2. 休業理由を記録・整理
    理由:「使用者責任」が問われるケースに備える。
    方法:設備故障、業績低下の記録、通知書の発行。
    効果:労基署対応・助成金申請にも有効。
  3. 平均賃金を正しく算出
    理由:休業手当の金額根拠となる。
    方法:過去3か月の給与データを基に算出。
    効果:計算ミスによる支払不足を回避。
  4. 給与明細に手当内訳を明記
    理由:支給証明として必要。
    方法:休業手当欄を設け、支給額を明示。
    効果:助成金申請・社内監査に対応しやすい。
  5. 勤怠システムで休業日管理
    理由:口頭や紙ベースでは不十分。
    方法:クラウド型勤怠管理ツールを活用。
    効果:正確な記録と証拠管理ができる。
  6. 給与計算業務をアウトソース
    理由:休業手当の扱いは複雑。
    方法:給与計算代行サービスに委託。
    効果:ミスのない正確な支給処理。
  7. 社労士と月次で制度チェック
    理由:法改正や行政通達への即応が可能。
    方法:定例ミーティングでケース別に相談。
    効果:制度整備と労務管理の精度が上がる。
  8. 助成金活用を検討
    理由:支払った休業手当の一部補填が可能。
    方法:雇用調整助成金、産業雇用安定助成金などを確認。
    効果:コスト負担を抑えつつ制度運用ができる。

よくあるQ&A

Q1. 天候不良での休業にも休業手当は必要?
A. 原則として不可抗力であれば不要。ただし、設備や準備不足など会社の管理不足が原因と判断されると、支払い義務が発生する可能性があります。

Q2. テレワークで仕事ができない時間も休業手当の対象?
A. 業務指示がなく、会社都合で作業ができない時間が明確にあれば、休業と判断されるケースがあります。

Q3. 休業手当は会社が自由に金額を決められる?
A. いいえ。最低でも平均賃金の60%が法的義務として定められています。就業規則で上乗せ設定することも可能です。

Q4. 助成金をもらえば、休業手当の支給義務はなくなる?
A. 助成金は補助金であり、手当支給義務とは別。まず会社が法定通り支払い、その後補填される仕組みです。

まとめ

休業手当は、会社都合で従業員を働かせられなかった際に必ず検討すべき賃金制度です。

  • 法的には「平均賃金の60%以上」が最低限の義務
  • 就業規則、給与明細、勤怠記録などとの連動が不可欠
  • 社労士の助言やアウトソースで対応の精度を高めることが重要

大阪・東京・福岡・名古屋の中小企業でも、トラブル予防や助成金活用の観点から、休業手当の制度整備を進める動きが加速しています。正しい理解と運用で、企業と従業員双方の安心を守りましょう。

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