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【給料の支払いが遅れたら?】遅延リスクと正しい対処法を社会保険労務士が徹底解説
「給料日なのに振り込まれていない…」「このまま支払われなかったらどうしよう…」「給料の遅延って違法じゃないの?」
そんな不安を抱えたことはありませんか?働いた対価である給料が予定日に支払われないと、家計への影響はもちろん、精神的にも大きなストレスとなります。しかし、実際に給料が遅れた場合、どう対応すれば良いのかわからず泣き寝入りしてしまう方も少なくありません。
この記事では、給料支払いの基本ルール、遅延が発生した際のリスクや具体的な対処法について、社会保険労務士がわかりやすく解説します。もしもの時に慌てず行動できるよう、正しい知識を身につけましょう。
給料支払いの基本ルールと遅延のリスク
給料は働いた対価として、労働基準法により適切に支払われることが義務付けられています。まずは、基本的なルールと、遅延が発生した場合のリスクについて理解しましょう。
1. 労働基準法が定める「賃金支払いの5原則」とは?
労働基準法第24条では、賃金支払いに関して次の5つの原則が定められています。
- 通貨払いの原則:現金(通貨)で支払う。
- 直接払いの原則:労働者本人に支払う。
- 全額払いの原則:賃金は全額を支払う(法令や労使協定で控除が認められた場合を除く)。
- 毎月1回以上払いの原則:少なくとも月1回以上、定期的に支払う。
- 一定期日払いの原則:支払い日はあらかじめ決めておく。
これにより、会社は給与の支払い日をきちんと定め、労働者に対して遅れなく支払う義務があります。
2. 給料遅延の主な原因
給料遅延は、会社の資金繰り悪化、経営者の管理不足、システムトラブルなど様々な理由で起こります。とくに以下のような状況が発生している場合は注意が必要です。
- 会社の業績悪化や倒産危機
- 資金繰りの悪化による一時的な支払い困難
- 経営者の不正や怠慢
- 給与計算システムのトラブル
いずれの理由であっても、給料が遅れることは法律違反に該当する可能性があります。
3. 給料遅延がもたらすリスク
給料が遅れることで、以下のようなリスクが労働者に発生します。
- 生活費や家賃の支払いが困難になる
- 信用情報に傷がつく(カード支払いの遅延など)
- 精神的なストレスが増大する
- モチベーションの低下、生産性の悪化
さらに、遅延が慢性化すると、会社が倒産する可能性もあり、最悪の場合、未払い賃金が回収できなくなるリスクもあります。
4. ケーススタディ:Cさんの例
例えば、Cさんは毎月25日が給料日でしたが、ある月に振込が確認できず、会社に問い合わせたところ「来週中には支払う」と言われました。しかし翌週も振り込まれず、2週間遅れて支払われました。このような場合、会社は労働基準法違反となり、遅延損害金の支払い義務が生じます。
給料遅延時にとるべき8つの具体的アクション
万が一、給料の支払いが遅れた場合に備え、以下の8つの行動を覚えておきましょう。
-
1. まずは会社に確認する
理由:単なるシステムエラーや手違いの場合もあるため。
方法:人事部門や経理部門に、支払い予定日や遅延理由を問い合わせる。
効果:状況が早期に把握でき、安心につながる。 -
2. 支払い期日と未払い額を記録する
理由:後で証拠として活用するため。
方法:給与明細や振込履歴を保管し、支払い日や金額を記録。
効果:未払いの証拠が整理でき、トラブル時に有利。 -
3. 他の社員と情報共有する
理由:自分だけの問題か、全体的な遅延かを確認できる。
方法:信頼できる同僚に状況を聞いてみる。
効果:問題の深刻度を把握しやすくなる。 -
4. 内容証明郵便で請求書を送る
理由:正式な請求の意思表示となる。
方法:未払い分を明記した請求書を内容証明で会社に送付。
効果:法的手続きに移行しやすくなる。 -
5. 労働基準監督署に相談する
理由:会社が対応しない場合、第三者機関が介入できる。
方法:最寄りの労働基準監督署に事情を説明し、指導や調査を依頼。
効果:強制力のある指導が行われる場合がある。 -
6. 遅延損害金を請求する
理由:労働基準法により、遅延賃金に年14.6%の遅延損害金を請求できる。
方法:内容証明郵便や労働基準監督署を通じて請求。
効果:会社側に支払いを促す圧力になる。 -
7. 法的措置を検討する
理由:最終的な回収手段となるため。
方法:弁護士に相談し、労働審判や訴訟を検討。
効果:給与の強制執行が可能になる。 -
8. 転職活動を開始する
理由:会社の経営状態が危険な可能性があるため。
方法:転職エージェントに相談し、他の職場を探す。
効果:最悪の事態に備え、安定した生活を確保できる。 -
やってはいけない行動:放置する
理由:未払いが慢性化し、回収できなくなるリスクが高まる。
たとえば、給料遅延が続くと倒産の前兆であることも多く、早期対応が重要です。
よくあるQ&A:給料支払いに関する疑問を解決
Q. 給料が遅れた場合、すぐに労働基準監督署に行った方が良い?
A. まずは会社に事情を確認しましょう。それでも解決しない場合、労働基準監督署に相談するのが適切です。冷静に対応することが大切です。
Q. 給料日が土日祝の場合はどうなる?
A. 一般的には、直前の平日に支払われます。ただし、就業規則に記載がある場合はそのルールが優先されます。事前に確認しておきましょう。
Q. 退職後の給料が遅れた場合も対応できる?
A. 退職後でも未払い給料の請求は可能です。労働基準監督署や弁護士に相談し、適切な手続きを行いましょう。
Q. ボーナスの支払いも遅れたら違法?
A. ボーナスは法律上の義務ではありませんが、支払い時期が決まっている場合は、その期日に従う必要があります。遅れた場合、契約違反として請求できることがあります。
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