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「休日」とは?意外と知らない労働基準法の基本と正しい考え方

2025.05.25 社労士コラム

働く中で、こんな疑問や悩みを感じたことはありませんか?

  • 「休日って、どこまでが労働基準法で決められているの?」
  • 「祝日や有給休暇も“休日”に含まれるの?」
  • 「休日出勤したら、必ず割増賃金がもらえるの?」

私たちが日常的に使う「休日」という言葉。ですが、その意味や法的な扱いについて、きちんと理解している人は少ないかもしれません。特に、労働基準法で定められた「休日」と、一般的な「休み」には違いがあり、誤解していると労働トラブルの原因になることも。

なぜこうした疑問が生まれるのでしょうか?

理由は、法律上の「休日」と、会社の就業規則で定められる「休暇」や「祝日」の概念が異なり、複雑に絡み合っているからです。たとえば、会社が休みでも法律上は「労働日」とみなされることがあったり、逆に出勤日でも「休日」となるケースもあります。これを知らずにいると、残業代や休日手当の計算でトラブルに発展しかねません。

この記事では、労働基準法における「休日」の基本的な考え方や、実務で気をつけるべきポイントをわかりやすく解説します。これを読めば、自分の働き方や会社のルールについて正しく理解でき、安心して仕事と休みのバランスが取れるようになります。

「休日」とは?|労働基準法で定められた基本とその仕組み

まず、「休日」とは何か。労働基準法では、次のように定義されています。

1. 法定休日

労働基準法第35条により、「**毎週1回、または4週間に4日以上の休日を与えなければならない**」とされています。この休日が、いわゆる「法定休日」です。週1回が基本ですが、変形労働時間制の場合は4週間に4日以上でも認められます。

この法定休日に労働させる場合、**休日労働割増賃金(35%以上)**を支払う義務があります。たとえば、A社(製造業)は、週1回の法定休日を日曜日に設定しています。この日に出勤した場合、35%の割増賃金が支払われています。

2. 法定外休日

会社の就業規則で設定される休日で、法定休日以外のものを指します。たとえば、週休2日制の場合、1日は法定休日、もう1日は「法定外休日」となります。この法定外休日に出勤した場合、割増賃金は**時間外労働(25%以上)**として扱われます。

3. 祝日・年次有給休暇

祝日は法律で定められた休日ですが、労働基準法ではなく「国民の祝日に関する法律」で定められています。会社が祝日を休みにする義務はありません。一方、有給休暇は労働者の権利であり、取得すれば「休日」となりますが、これは労働日を休みに変える制度です。

具体例:週休2日制のケース

B社(小売業)は、毎週日曜と水曜が休日です。このうち日曜が法定休日、水曜が法定外休日と位置づけられています。水曜に出勤した場合は時間外労働扱い、日曜に出勤した場合は休日労働扱いで、割増率が異なります。

このように、同じ「休み」でも、法律上の位置づけが異なるため、給与計算や労働時間管理で注意が必要です。

「休日」トラブルを防ぐための8つの実践ポイント

  • 1. 就業規則で法定休日と法定外休日を明記する

    理由:休日区分が不明確だと、割増賃金の計算ミスが発生するため。

    方法:就業規則に、週に何日が法定休日で、どの日が法定外休日かを明記します。

    効果:トラブル時にも、正確な説明ができ、労使の信頼関係が保てます。

  • 2. 休日出勤時の割増賃金率を説明する

    理由:従業員が納得できる環境を整えるため。

    方法:労働契約書や社内ガイドラインで、休日出勤時の割増率を説明します。

    効果:給与計算時の疑問や不満を未然に防げます。

  • 3. 祝日を休日とするかどうか、社内で明確にする

    理由:祝日が法定休日でないため、就業規則に明記が必要。

    方法:「祝日は休日とする」「祝日勤務の場合は代休を付与する」などを規定します。

    効果:祝日勤務の際の混乱を防げます。

  • 4. 勤怠管理システムで休日出勤を正確に記録する

    理由:休日出勤や時間外労働の記録が曖昧になると、トラブルに発展するため。

    方法:勤怠管理システムで法定休日、法定外休日を区別して記録します。

    効果:正確な労働時間管理ができ、割増賃金の算出ミスを防げます。

  • 5. 変形労働時間制を導入する場合は説明を徹底する

    理由:4週4休制などは労働者が誤解しやすいため。

    方法:変形労働時間制のルールを事前に説明会で共有し、資料も配布します。

    効果:制度への理解が深まり、トラブル防止につながります。

  • 6. 年次有給休暇と休日の違いを説明する

    理由:「有給休暇を取得しても休日出勤したことになる」と誤解しないようにするため。

    方法:有給休暇は労働日を休みに変える仕組みであることを説明します。

    効果:労働者の権利が正しく理解され、安心して取得できます。

  • 7. 代休と振替休日の違いを理解する

    理由:割増賃金の計算に影響するため。

    方法:振替休日は事前に休日を変更する制度、代休は休日出勤後に休みを与える制度と説明します。

    効果:正確な賃金計算ができ、労使間の誤解を防げます。

  • 8. やってはいけない行動:法定休日を与えない

    理由:労働基準法違反となり、罰則や指導を受けるため。

    効果:法定休日がない場合、労基署の是正勧告や訴訟リスクが高まります。

「休日」に関するQ&A

Q. 週休2日制は法律で義務付けられていますか?

A. いいえ。労働基準法で定められているのは「週1回以上の休日」だけであり、週休2日は義務ではありません。ただし、企業独自の制度として取り入れている場合が多いです。

Q. 振替休日と代休の違いは何ですか?

A. 振替休日は事前に休日を別の日に変更することで、割増賃金は不要です。代休は休日出勤した後に休みを与えるため、割増賃金が必要になります。

Q. 祝日に働いた場合は、休日出勤手当が出ますか?

A. 祝日は法定休日ではないため、就業規則で「休日」と定めていない限り、割増賃金は発生しません。就業規則を確認しましょう。

Q. 休日出勤の割増率は?

A. 法定休日に働いた場合は35%以上の割増賃金、法定外休日に働いた場合は25%以上が基本です。

まとめ|休日のルールを理解して、安心して働こう

この記事では、「休日」の基本的な定義や、労働基準法上の取り扱い、実務で注意すべきポイントについて解説しました。同じ「休み」でも、法定休日・法定外休日・祝日・有給休暇などがあり、割増賃金や管理方法が異なります。

就業規則を整え、従業員に説明することで、労使間のトラブルを未然に防ぎましょう。休日の仕組みを正しく理解し、安心して働ける環境を整えていきましょう。

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