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賞与から引かれる社会保険料はどう計算する?具体的な方法と確認手順を解説

2025.09.13 社労士コラム

賞与の支給を前に、気になるのは手取り額ですよね。
給与とは異なる計算方法となる賞与から控除される社会保険料の計算は、やや複雑です。
今回は、賞与にかかる社会保険料の計算方法を、具体的な計算式や必要な要素を交えながら解説します。

賞与から控除される社会保険料の計算方法

賞与にかかる社会保険料の計算式

賞与にかかる社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の3種類があります。
それぞれの保険料を計算し、合計することで賞与から控除される社会保険料の総額を求めることができます。
計算式は、基本的には「(標準報酬月額×賞与支給月数×社会保険料率)÷12」となります。
また、保険の種類によって計算方法や適用条件が異なるため、注意が必要です。
さらに、賞与の計算方法は複雑なので、事前に確認しておきましょう。

健康保険料の計算方法

健康保険料の計算は、上記の基本式に則ります。
標準報酬月額、賞与支給月数、そして健康保険料率を掛け合わせて、12ヶ月で割ることで、賞与にかかる健康保険料が算出されます。
標準報酬月額は、直近3ヶ月間の給与を元に算出されることが多いのです。
また、健康保険料率は、加入している健康保険組合によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
例えば、A健康保険組合は9%、B健康保険組合は10%と料率が異なる場合があります。

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料の計算も基本式に基づきます。
標準報酬月額、賞与支給月数、厚生年金保険料率を用いて計算します。
健康保険料と同様に、標準報酬月額は直近3ヶ月間の給与を元に算出されます。
厚生年金保険料率は法定の料率です。
一方で、年齢や勤続年数によって、標準報酬月額の算出方法が異なる場合があります。
そのため、自身の状況に合わせた計算方法を確認することが重要といえます。

雇用保険料の計算方法

雇用保険料の計算は、他の社会保険料と少し異なります。
賞与にかかる雇用保険料は、賞与支給額に雇用保険料率を乗じて算出します。
標準報酬月額は使用しません。
また、雇用保険料率は、企業規模や業種によって異なる場合があります。
例えば、大企業と中小企業で料率が異なるケースもあるのです。
さらに、業種によっても料率が異なるため、注意が必要です。

賞与の社会保険料計算に必要な要素

標準報酬月額

標準報酬月額は、社会保険料の計算において最も重要な要素の1つです。
これは、直近3ヶ月間の給与を基に算出され、健康保険料と厚生年金保険料の計算に使用されます。
計算方法は、会社によって異なる場合がありますので、人事部等に確認するのが確実です。
また、標準報酬月額は毎年4月に見直されるため、最新の情報を把握しておくことが大切です。
さらに、昇給や降給があった場合も、標準報酬月額に影響が出ます。

賞与支給額

賞与支給額は、賞与から控除される社会保険料を計算する上で、雇用保険料計算の際に直接使用されます。
また、健康保険料や厚生年金保険料の計算においては、賞与支給月数と合わせて使用されます。
賞与支給額は、会社の業績や個人の評価によって変動することがあります。
そのため、賞与支給額が確定したら、速やかに社会保険料の計算を行うことが重要です。

社会保険料率

社会保険料率は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険それぞれに設定されています。
これらの料率は、政府によって定められており、定期的に見直される場合があります。
そのため、常に最新の料率を確認することが重要です。
例えば、法律改正によって料率が変更されるケースがあります。
また、料率は年度によって異なる場合もあるため、注意が必要です。

社会保険料計算の実例と確認方法

具体的な計算例

例えば、標準報酬月額が30万円、賞与支給月数0.5ヶ月、健康保険料率が10%、厚生年金保険料率が18.3%、賞与支給額が150万円、雇用保険料率が0.5%の場合、健康保険料は(30万円×0.5ヶ月×10%)÷12=1250円、厚生年金保険料は(30万円×0.5ヶ月×18.3%)÷12=2287.5円、雇用保険料は150万円×0.5%=7500円となります。
合計は11037.5円となります。
この例はあくまでも一例であり、個々の状況によって計算結果は異なります。

計算結果の確認方法

計算結果の正確性を確認するために、給与明細や社会保険事務所のウェブサイトなどを参照する、もしくは人事部などに確認することをお勧めします。
また、社会保険料計算ツールなどを利用するのも有効な手段です。
さらに、税理士や社会保険労務士に相談することで、より正確な情報を得ることができます。

よくある間違い

よくある間違いとしては、標準報酬月額の算出ミスや、社会保険料率の適用間違い、計算式の誤用などがあります。
計算前に、各要素の正確性を確認し、計算式を理解した上で計算を行うことが重要です。
また、計算ツールを利用する際も、入力ミスがないか注意深く確認する必要があります。

賞与から控除される社会保険料率は?

健康保険料率

健康保険料率は、加入している健康保険組合によって異なります。
一般的に、8%~10%程度です。
料率は、組合の財政状況などによって変動することがあります。
また、同じ企業内でも、所属する健康保険組合が異なる場合、料率が異なることもあります。

厚生年金保険料率

厚生年金保険料率は、法定の料率です。
2023年現在、18.3%です。
この料率は、法律によって定められており、将来的に変更される可能性があります。
変更があった場合は、速やかに最新の情報を確認することが重要です。

雇用保険料率と適用条件

雇用保険料率は、企業規模や業種によって異なります。
一般的には、0.5%です。
ただし、企業規模が大きいほど料率が高くなる傾向があります。
また、業種によっても料率が異なるため、自身の所属する企業や業種の料率を確認することが重要となります。

社会保険料控除後の賞与の手取り額の計算方法

手取り額の計算式

手取り額は、賞与支給額から社会保険料、所得税、住民税を差し引いた金額です。
計算式は「賞与支給額-社会保険料-所得税-住民税」となります。
所得税と住民税は、賞与の金額に応じて変動します。

所得税と住民税の計算方法

所得税と住民税の計算は、所得税法と地方税法に基づいて行われます。
これらの税金の計算は複雑であるため、税務署や税理士に相談する方が確実です。
また、市販の税金計算ソフトやオンラインツールを利用する方法もあります。
さらに、給与計算ソフトに税金計算機能が備わっている場合もあります。

控除後の賞与額の確認方法

計算した手取り額と、実際に支給された賞与額を比較することで、計算結果の正確性を確認できます。
もし、計算結果と実際の支給額に大きな差がある場合は、計算ミスや控除項目の見落としなどが考えられます。
もし計算結果と実際の支給額に齟齬(ずれ)がある場合は、人事部や税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

賞与の手取り額を知るには、健康保険料・厚生年金・雇用保険の計算方法を理解することが大切です。
標準報酬月額や賞与支給額、料率をもとに計算し、所得税や住民税を差し引くことで実際に受け取る金額がわかります。

計算例やシミュレーションを活用して事前に把握し、昇給や料率の変更にも注意することで、安心して賞与を受け取れるでしょう。

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