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特別支給の老齢厚生年金とは?制度のしくみをわかりやすく解説!

2025.09.09 社労士コラム

「定年後すぐに年金はもらえるの?」「“特別支給の老齢厚生年金”って何のこと?」「年金の繰り上げ・繰り下げとどう違う?」

こんな疑問を持つ50代後半〜60代前半の方、またはその従業員を持つ中小企業の総務担当者も多いのではないでしょうか。

実は特別支給の老齢厚生年金は、かつての年金支給開始年齢が60歳だった名残として存在する制度で、現在も一定条件を満たせば60歳からの受給が可能です。

この記事では、「特別支給の老齢厚生年金」とは何か、その仕組みや対象者、企業側の対応方法まで、わかりやすく解説します。大阪・東京・福岡・名古屋など全国の企業での事例を交え、給与計算や手続きにも役立つ知識を紹介します。

特別支給の老齢厚生年金とは?制度のしくみを理解しよう

1. なぜ「特別支給」が存在するのか?

かつて老齢厚生年金の支給開始年齢は男性60歳、女性55歳でした。しかし、少子高齢化に伴う財政負担の増加から、支給開始年齢は段階的に65歳へと引き上げられています。

この移行期間に生まれた人(主に昭和36年4月1日以前生まれ)は、60歳から65歳までの間に特例として年金を受け取れる制度が「特別支給の老齢厚生年金」です。

2. 対象者は誰?

基本的には以下の2つの条件を満たす人が対象となります:

  • 昭和36年4月1日以前生まれ
  • 厚生年金保険の加入期間が1年以上

また、60歳以降も働いている場合は、「在職老齢年金」の調整が発生するため、給与と年金のバランスが重要になります。

3. 給付の内容と計算方法

支給される金額は、「報酬比例部分」と「定額部分」に分かれています。

  • 報酬比例部分:厚生年金に加入していた期間と報酬に応じて算出。
  • 定額部分:一定の基準を満たした場合に支給される追加部分。

現在は段階的に「定額部分」が廃止されており、昭和30年代前半生まれの方では定額部分が受け取れないケースもあります。

4. 在職中の支給制限:「在職老齢年金」制度

在職中に給与+年金の合計が月28万円を超えると、年金が一部または全部停止される「在職老齢年金」制度が適用されます。

たとえば、福岡の建設会社では、社員が年金受給開始後も働き続けていたため、給与と年金の調整が必要になりました。企業の給与計算や社会保険料にも影響を与える重要なポイントです。

企業が理解すべき実務アクション8選

  • 1. 対象社員の生年月日を確認する
    昭和36年以前生まれかを確認し、該当者がいれば特別支給年金の対象かをチェック。
  • 2. 在職老齢年金の影響を理解する
    従業員の給与が年金支給額にどう影響するかを把握し、説明できる体制を整える。
  • 3. 給与明細に支給停止額を反映
    年金調整による差額を見落とすと従業員トラブルの原因に。給与計算ソフトの設定を見直しましょう。
  • 4. 年金請求手続きのサポートを検討
    名古屋の製造業では、60歳前に年金説明会を実施し、従業員からの信頼が向上。
  • 5. 顧問社労士に年金対応を依頼する
    法改正や計算方法の確認は専門家と連携することで、ミスやトラブルを防げます。
  • 6. 就業規則で定年後再雇用者の賃金設計を見直す
    年金と賃金のバランスを取ることで、労使双方にメリットを。
  • 7. DX化で年金・雇用データを一元管理
    クラウド型の労務管理ツールで、対象者の把握と給与連携を自動化。
  • 8. 助成金制度との併用を検討
    60歳以上の再雇用支援には助成金も活用可能。東京の企業では人件費の一部をカバーできた事例も。

よくある質問Q&A

Q. 特別支給の老齢厚生年金は自動的にもらえる?

A. いいえ。原則として、60歳前に自分で請求手続きが必要です。案内が届くので、手続きを忘れずに。

Q. パート勤務でも受給できる?

A. はい。厚生年金の加入歴が1年以上あれば、勤務形態に関係なく対象となります。

Q. 定年後に年金をもらいながら働ける?

A. 可能です。ただし、給与が高いと在職老齢年金制度により支給額が減額・停止される可能性があります。

Q. 65歳以降も年金が増えるの?

A. 65歳以降は通常の老齢厚生年金が支給され、70歳までの繰り下げで増額も可能です。

まとめ

特別支給の老齢厚生年金は、年金制度の移行期に生まれた人への“つなぎ年金”として重要な制度です。対象者の確認、在職老齢年金との関係、給与計算や就業規則との整合性を把握し、企業として適切な対応を行いましょう。

大阪・東京・名古屋・福岡の中小企業では、顧問社労士の協力で年金支給に関する社内制度の見直しや従業員説明会を実施し、信頼感のある労務管理体制を構築しています。

正しい理解が、企業の信頼と従業員満足を支える第一歩です。

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