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【マイカー通勤規程の作り方】事故・保険・通勤手当のリスク管理と就業規則のポイント
2025.07.07
スタッフブログ
「マイカー通勤を許可しているけど、ルールが曖昧で不安…」「通勤中の事故、会社の責任になる?」「ガソリン代はどこまで支給すればいいの?」
大阪・東京・福岡・名古屋など、地方や郊外に事業所を持つ企業では、従業員のマイカー通勤が一般的です。しかし、「明確な通勤規程がない」「車両保険の加入が不十分」「通勤手当が適当」といった状態のまま放置されているケースも多く見られます。
本記事では、マイカー通勤における企業のリスクと、安全・法令遵守を両立するための「マイカー通勤規程」の作成ポイントを、300社以上の顧問実績を持つ社会保険労務士の視点から解説します。
マイカー通勤における企業のリスクと対応
■ 1. 通勤災害時の労災適用
- 原則として、通勤途中の事故は労災保険の通勤災害として適用されます
- ただし「合理的経路でない」「寄り道」などの場合は対象外に
- 就業規則や通勤規程で経路・車両の届出を求めることが重要
■ 2. 会社の管理責任が問われる可能性
- 業務使用中の事故は使用者責任(民法715条)が問われる
- たとえば、営業職が会社指示で車を使っていた場合
- 通勤時でも、許可制にしていないと会社に過失があるとされることも
■ 3. 任意保険・自賠責保険の加入義務
- 自家用車を使用させる場合、任意保険加入の確認が必須
- 対人・対物賠償が無制限か、搭乗者保険の有無なども確認ポイント
- 保険未加入で事故が起きた場合、従業員・会社の双方に大きな損害リスク
マイカー通勤規程に盛り込むべき8つの要素
- 通勤手段の原則と例外
→ 通常は公共交通機関を推奨し、マイカー通勤は許可制とする - 申請・届出の義務
→ 車種・経路・駐車場の有無・任意保険加入状況を申請書で管理 - 許可条件
→ 任意保険(対人・対物無制限)の加入が条件。
違反があれば許可取り消しと明記 - 通勤災害時の対応
→ 事故発生時の報告義務・労災申請の流れを定める - ガソリン代・通勤手当の支給基準
→ 支給額は通勤距離・燃費・ガソリン単価を基準に定める - 駐車場の管理責任
→ 自己確保・会社負担の有無、駐車場での事故責任区分 - 安全運転の遵守事項
→ 飲酒運転・無保険運転の禁止。違反時の懲戒規定との連動 - 業務利用の禁止または明確な区分
→ 通勤目的以外での使用禁止、営業車との区別などを明記
マイカー通勤規程の運用と注意点
■ 1. 毎年の更新チェック
- 任意保険の更新有無、車両変更などを毎年確認する
- DX化によってクラウド管理・自動通知化も可能に
■ 2. 通勤手当の「課税・非課税」管理
- 通勤手当の非課税限度額は、片道距離で計算(国税庁基準)
- 上限超過分は課税対象となるため、給与計算時に分離処理が必要
■ 3. 就業規則との整合
- 通勤規程は就業規則の別規程または付属文書として位置づけ
- マイカー通勤に関連する懲戒・服務規律との整合を確認
Q&A:マイカー通勤に関するよくある質問
Q. 任意保険に入っていない従業員にも許可できますか?
A. 原則NGです。会社として安全管理責任を果たすには加入確認が必須です。
Q. 社員が通勤中に事故を起こしたら会社の責任になる?
A. 原則は本人責任ですが、無許可の車両使用や整備不備を放置していた場合、会社にも過失ありとされる可能性があります。
Q. ガソリン代はどこまで支給すればいい?
A. 通勤距離に応じて定めるのが一般的です。
例:片道10km → 1kmあたり15円×往復×出勤日数など
Q. 自転車通勤やバイク通勤も規程が必要?
A. はい。交通手段別に規定を設けることで、事故や通勤災害のリスクを抑えられます。
まとめ:マイカー通勤は“許可制と明文化”がリスク対策のカギ
マイカー通勤は便利な反面、事故や保険未加入による企業リスクが潜んでいます。
大阪・東京・福岡・名古屋などの多拠点企業では、就業規則+マイカー通勤規程の整備、通勤手当の支給基準統一、社労士顧問による定期点検がスタンダードになりつつあります。
「うちは昔から許可制にしてないから大丈夫」では済まされない時代。安全と法令順守の両立のために、今すぐマイカー通勤規程の整備を始めましょう。
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