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【希望退職と退職金のリアル】制度の仕組み・支給額・経営者が知るべきリスクと対策
「希望退職を募集したいけど、退職金はどれくらい積めばいい?」「法律上の制約は?トラブルにならない?」「対象者が応募してくれない…」
大阪・東京・福岡・名古屋をはじめとする多くの中小企業が、経営悪化・組織再編・DX推進を背景に、人員削減やスリム化の選択肢として「希望退職制度」を検討するケースが増えています。
しかし、希望退職には退職金の特別加算、就業規則の整備、社内説明、税務処理、労使トラブル対策など、事前に押さえるべきポイントが多数存在します。
この記事では、顧問先300社以上の実務に携わる社労士の立場から、希望退職と退職金に関する基礎知識・運用方法・よくある誤解・実務の落とし穴をわかりやすく解説します。
希望退職とは?通常退職との違い
■ 希望退職とは
- 会社が募集し、従業員が“自ら希望して”退職する制度
- 法的には自己都合退職として扱われる
- ただし、特別退職金などのインセンティブを付与することで希望を促す
■ 解雇・整理解雇との違い
- 希望退職:本人の意思による退職(自由意思)
- 整理解雇:会社都合で解雇する(法的4要件あり、ハードル高)
■ 実施される場面
- 業績悪化による人件費削減
- 事業再編・統廃合(M&Aや子会社吸収など)
- 定年延長前のスリム化・若返り
希望退職における退職金の基本
■ 通常退職金+特別加算の構造
項目 | 内容 |
---|---|
基本退職金 | 就業規則または退職金規程に基づく支給 |
特別加算金 | 希望退職対象者に対し、上乗せとして任意に支給 |
■ 特別加算の支給例(実務相場)
- 勤続年数×月給×倍率(例:20年×40万円×1.5=1200万円)
- 基本退職金の1.5倍~2倍程度を支給する企業が多い
- 年齢上限・年功序列で不公平感が出ないよう調整が必要
■ 税制上の優遇
- 退職所得控除が適用(勤続20年超で1年あたり70万円)
- 特別加算金も退職金として扱われ、税制優遇の対象
企業が気をつけるべき5つの注意点
- 就業規則の整備
→ 「退職金の上乗せは任意であり、一律支給ではない」と明記しておくことで、不支給時のトラブル防止に。 - 対象者の選定と説明責任
→ 特定の部署・年齢層に偏りがあると差別的取扱いと見なされる可能性。
募集要項・目的・選考基準を文書化し、明示する。 - 広報・社内説明の徹底
→「退職強要ではない」ことを強調し、応募を“自己選択”として明確化。 - 助成金との整合
→ 高年齢者雇用継続給付や両立支援等助成金など、一部の制度は希望退職実施によって不支給となるリスクあり。 - 再雇用・転職支援の対応
→ 社外キャリア相談や再就職支援会社との連携も好印象。企業イメージ低下の防止につながる。
Q&A:希望退職と退職金に関する疑問
Q. 希望退職の募集は必ずしも受け入れなければならない?
A. 会社側に受け入れ義務はなく、選考制にすることも可能です。ただし、その場合は基準の公平性と透明性が求められます。
Q. 退職金の特別加算は“全員に一律”にしないとダメ?
A. 法的には任意支給ですが、差別的・不公平な扱いは労使トラブルの火種になります。事前の説明・合意が重要です。
Q. 定年退職者にも希望退職を適用できる?
A. ケースバイケースですが、早期退職による割増支給制度として設ける企業もあります。60歳前後での実施が多い傾向です。
Q. 希望退職後に退職金規程を変えても問題ない?
A. 原則として就業規則変更は不利益変更に該当する可能性があるため、従業員代表との協議・同意が必要です。
まとめ:希望退職は「制度設計」と「説明責任」が命
希望退職制度は、法的には“任意の退職”ですが、実際には会社の誘導に近いグレーな運用となりやすく、慎重な制度設計が必要です。
特に、退職金の特別加算、募集条件の整備、就業規則・給与計算との整合は、誤ると労使トラブルや行政指導、助成金返還の原因となります。
大阪・東京・福岡・名古屋をはじめ、各地で希望退職制度を検討する企業では、社労士顧問や外部コンサルを活用して、制度設計とリスク対応の両立を図る動きが広がっています。
「円満な退職=制度の信頼性と準備にかかっている」。今のうちから、備えておきましょう。
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