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【役員報酬と給与の違いとは?】社長・役員・従業員それぞれの“お金のルール”を社労士が解説

2025.07.06 スタッフブログ

「役員報酬って給与と何が違うの?」「役員にボーナスは出せるの?」「役員も社会保険に入るの?」

大阪・東京・名古屋・福岡をはじめ全国の中小企業で、「役員報酬と従業員の給与の違い」についての誤解が多く見られます。

税務・社会保険・就業規則・給与計算など、法的扱いや制度上の違いがあるため、正しく区別していないと「税務調査で否認された」「助成金申請が通らなかった」といったトラブルにつながることも。

本記事では、300社超の顧問先を持つ社労士事務所の視点から、役員報酬と給与の違いを総まとめ。制度的背景・会計処理・社会保険・実務対応まで詳しく解説します。

まず押さえたい「役員」と「従業員」の違い

■ 法的な立場の違い

  • 従業員(労働者):労働契約に基づき会社の指揮命令下で働く
  • 役員(取締役・代表取締役・監査役など):会社法上の機関であり、経営判断を行う立場

つまり、役員=会社の指揮命令を受ける立場ではないため、労働者としての保護(労働基準法など)は原則適用されません。

■ そのため扱いが変わる

  • 給与ではなく「報酬」や「役員報酬」という表現を使う
  • 社会保険・税金・助成金などにおいて適用の有無や条件が変わる

役員報酬と給与の主な違い

項目 従業員(給与) 役員(役員報酬)
契約 労働契約 委任契約(または準委任)
報酬の名称 給与・賞与 役員報酬・賞与(制限あり)
社会保険 原則加入義務あり 報酬がある場合、原則加入対象
労働保険(雇用保険・労災) 原則適用対象 原則、適用除外
残業代 支払い義務あり 対象外(労働時間の規定なし)
助成金 多くが対象 対象外となるケースが多い
税務 損金算入可 原則、定期同額報酬のみ損金可

役員報酬の会計・税務ルールの注意点

■ 定期同額報酬が原則

役員報酬は「毎月同じ額」を継続して支払うことが前提。年途中で増減すると、増額分が損金不算入となり、会社の課税所得が増える可能性があります。

■ ボーナス(賞与)は基本NG

  • 役員賞与は事前確定届出(税務署への申請)を行わないと損金不算入
  • 「決算賞与」として支払ったつもりが、法人税で否認されるケースあり

■ 役員退職金

  • 支給は可能だが、社内規定の整備と適正額の検証が必要
  • 税務署から「過大」と判断されると否認されるリスクあり

実務面でのよくある誤解とリスク

■「代表取締役も労働者」と思っているケース

実際には労働者性が否定されるため、雇用契約書・就業規則の適用などが不適切になることがあります。

■「役員も雇用保険に入れる」はNG

原則加入不可です。助成金の受給要件に該当しなくなるため注意が必要です。

■ 給与計算ソフトで「給与」として処理している

「役員報酬」は別扱いにする必要があります。社会保険・税務処理が混同されるとリスク大。

■ 就業規則に「役員への適用範囲」が明記されていない

役員には別規定(取締役規程等)を整備すべきです。従業員との混同は、懲戒や服務規律の観点でも問題に。

Q&A:役員報酬と給与に関するよくある質問

Q. 役員でも社会保険に加入しないといけないの?

A. 報酬が月額8.8万円以上(※目安)ある場合、原則健康保険・厚生年金に加入義務ありです。加入除外はできません。

Q. 役員報酬を途中で変えることはできないの?

A. 原則、事業年度開始時に決定し、その後は例外的状況(役員変更など)を除き変更不可です。税務調査でもチェックされます。

Q. 従業員から昇進して取締役になったら、何が変わる?

A. 労働者ではなくなるため、就業規則適用外・残業代なし・労働保険適用外になります。また給与ではなく役員報酬となり、税務処理も変わります。

Q. 助成金申請において、役員は対象になりますか?

A. 原則役員は対象外です。雇用保険の被保険者ではないため、「雇用関係がある従業員」が条件となる助成金は申請不可になります。

まとめ:役員報酬と給与は「明確に区別」しなければならない

役員報酬と給与は、契約形態・法律上の立場・税務会計処理・社会保険の扱いなど、制度上の扱いが大きく異なります

大阪・東京・福岡・名古屋などの中小企業においては、顧問社労士と連携し、就業規則・取締役規程・給与計算システムの整備を行うことで、トラブルや税務リスクの回避が可能です。

「役員にも雇用保険つけてます」や「給与と一緒に支払ってます」は要注意!まずは現状の体制を点検し、専門家の助言を受けながら、制度と運用の分離を進めていきましょう。

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