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【60歳以上の社会保険】定年後も注意すべき加入・免除・手続きの全知識

2025.07.04 スタッフブログ

「60歳を超えたら社会保険から外れるの?」「定年後再雇用でも保険料は同じ?」「厚生年金の支給開始と保険料の支払い、どっちが得?」

大阪・東京・名古屋・福岡など全国の中小企業で、定年後の再雇用・継続雇用が一般的になる中、60歳以上の社会保険の取り扱いはますます複雑化しています。

多くの企業で「60歳で社会保険は自動的に外れる」と誤解されていますが、実際には雇用形態・労働時間・報酬額によって適用有無が大きく変わります。

この記事では、60歳以上の社会保険の取り扱いについて、基礎知識から手続き・注意点・企業側の実務対応まで、社労士の視点からわかりやすく解説します。

60歳以上でも社会保険は原則「加入対象」

■ 「60歳で自動脱退」は誤解!

社会保険(健康保険・厚生年金)は年齢で加入義務が終わるわけではありません。以下の条件を満たしていれば、60歳以上でも原則加入が必要です。

■ 社会保険の加入条件(被保険者要件)

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 雇用期間が2ヶ月超見込み
  • 学生ではない

この条件は、パート・嘱託などの再雇用者にも適用されます。

■ 一方で「75歳到達時」は健康保険脱退

75歳以上になると後期高齢者医療制度に切り替わるため、健康保険の被保険者資格は自動的に喪失します(厚生年金は70歳到達時に喪失)。

60歳以上の社会保険に関する企業側の注意点

  1. 1. 再雇用時の労働条件を精査
    高年齢者雇用安定法により、企業には「65歳までの継続雇用義務」があります。再雇用契約でも社会保険適用条件を満たせば強制適用になります。
  2. 2. 健康保険料は高くなる?
    60歳以降は標準報酬月額の下限が12等級に引き下げられるため、収入が少ない場合でも比較的高い保険料になるケースがあります。
  3. 3. 「高年齢被保険者」の扱い
    60歳以降も厚生年金に加入していれば、65歳未満は在職老齢年金の調整対象に。企業は正確な報酬管理が必要。
  4. 4. 「70歳到達時」の厚生年金資格喪失届
    健康保険は75歳で自動喪失しますが、厚生年金は70歳になった時点で企業が「資格喪失届」の手続きを行う必要があります。
  5. 5. 賞与や手当の取り扱いにも注意
    役員報酬や特別手当も含めた総額で保険料算定がされるため、企業としては給与計算の見直し・手続きのDX化が重要になります。
  6. 6. 短時間勤務のパートは社会保険対象外の可能性も
    60歳以上のパートタイマーで上記加入要件を満たさない場合は、国民年金・国民健康保険の加入となります。

助成金や制度の活用:企業にとってのメリット

  • 65歳超雇用推進助成金:70歳超までの継続雇用制度導入で支給
  • 高年齢労働者処遇改善促進助成金:同一労働同一賃金を意識した制度構築で支給
  • キャリアアップ助成金:60歳以降の正社員転換も対象となる場合あり

Q&A:60歳以上の社会保険についての疑問

Q. 60歳を超えたら社会保険料は免除になる?

A. いいえ、条件を満たす限り、原則として加入義務があり、保険料も発生します。ただし、厚生年金は70歳、健康保険は75歳で喪失します。

Q. 嘱託社員も社会保険に入れる?

A. はい。勤務時間・報酬要件を満たせば、雇用形態に関係なく被保険者になります

Q. 在職老齢年金の影響は?

A. 60歳台前半の年金受給者で、一定の賃金(月28万円超)を受け取っていると、年金が一部または全額停止されることがあります。企業側も報酬管理が重要です。

Q. 定年後の再雇用時、社会保険に入らない契約は可能?

A. 入らないためには、所定労働時間を週20時間未満かつ賃金を月額8.8万円未満に設定する必要があります。ただし、意図的な回避はリスクもあるため注意。

まとめ:60歳以上の社会保険は「誤解しやすいけど、非常に重要」

定年後も労働を希望する方が増えるなか、60歳以上の社会保険の取り扱いは、企業にとって重要な制度理解・設計ポイントです。

大阪・東京・名古屋・福岡の企業でも、給与設計・DX・就業規則の整備を通じて、手続きの自動化・負担軽減・助成金活用を進める動きが増えています。

「知らなかった」では済まされない60歳以降の社会保険。今こそ、顧問社労士やアウトソースと連携して、制度対応を万全に整えましょう。

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