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役職手当と固定残業代の正しい理解と就業規則のポイント:経営者・総務必見

2025.10.01 スタッフブログ

役職手当と固定残業代は、従業員の給与計算や就業規則の整備において重要なテーマですが、誤解や勘違いが多く見られ、トラブルの原因になりやすいポイントでもあります。従業員100人規模の会社の総務担当者や経営者の方々に向けて、役職手当が本当に「残業代の代わりになるのか」や、就業規則でどのように定めるべきかをわかりやすく解説いたします。また、社会保険労務士として助成金申請の際の注意点やDX(デジタルトランスフォーメーション)の観点からの給与計算のアウトソース活用についても触れます。

役職手当と固定残業代の基本的な仕組みと誤解されがちなポイント

役職手当とは、店長や課長などの役職に就いていることに対する手当です。一方、固定残業代はあらかじめ一定の残業時間分の割増賃金を定額で支払うものです。重要なのは、「役職手当=固定残業代」ではない点です。

よくある誤解として、「課長以上には残業代がつかない」や「役職手当が残業代の代わりだ」と考えられることがありますが、実際には多くの課長や店長は「管理監督者」に該当せず、残業代支給の対象です。また、役職手当が残業代の代わりとして明示されていなければ、その手当だけでは残業代不払いのリスクがあります。

さらに、役職手当は割増賃金の算定基礎に含める必要があり、残業代未払いが発覚すると、二重計算による多額の未払賃金精算が発生するリスクもあります。こうしたリスクを避けるために、固定残業代は下記のルールで導入する必要があります。

  • 固定残業代として支払う時間外労働時間数を明確に就業規則に定める。
  • 残業時間の集計は必須で、定められた時間を超えた分は別途割増賃金を支払う。
  • 給与改定があった場合は固定残業代の見直し・再計算を行う。

就業規則における役職手当と固定残業代の記載例と留意点

就業規則では、役職手当に固定残業代が含まれる場合、下記のポイントを必ず記載する必要があります。

  1. 役職手当が時間外労働の割増賃金の一部として支給されることを明示。
  2. 何時間分の残業(時間外・深夜・休日労働)を対象とするかを具体的に記載。
  3. 固定残業代として支払った手当を重複して残業代として支払わないこと。

例えば、就業規則の規定例としては以下のような記載が一般的です。

(固定残業手当)
第●条 固定残業手当は、法定時間外労働、深夜労働及び法定休日労働に対する割増賃金として支給する。
2 固定残業手当の額は月額●万円とし、所定時間外労働●時間分の割増賃金が含まれるものとする。
3 会社は、実際の残業時間に基づき、対象時間を超えた場合は超過分を別途支給する。
4 賃金支払時に、従業員に対し時間外労働時間数及び固定残業代額を明示する。

また、基本給に一定の固定残業代を組み込む場合も、金額と対象時間を明確に区分して雇用契約書に記載し、従業員に周知することが必要です。就業規則に記載した内容と実際の運用が異なると問題になるので、実務上の管理には注意が必要です。

給与計算のアウトソースとDX対応の重要性

役職手当や固定残業代を含む複雑な給与計算はミスが起きやすく、社会保険の手続きや助成金申請などにも影響を及ぼします。そこで、給与計算の一部または全部をアウトソースし、社労士による顧問サポートを受けることがリスク回避に効果的です。

また、Googleフォームなどのツールやクラウドサービス、チャットツールを活用し、情報共有や進捗管理をデジタル化(DX)することで、業務の効率化とミス防止が促進されます。これにより、総務担当者と経営者が協力して正確な就業規則運用と給与計算を実現できます。

Q&A—役職手当と固定残業代に関するよくある質問

Q1. 役職手当がある人は必ず残業代が不要ですか?
A1. ほとんどの場合、管理監督者に該当しないため残業代支給が必要です。役職手当の有無で判断せず、職務実態から判断します。
Q2. 固定残業代を支給する場合の労働時間集計は省略できますか?
A2. いいえ、省略できません。残業時間は必ず集計し、固定残業時間を超過した分は別途支給が必要です。
Q3. 就業規則に固定残業代の金額や時間数を明示しなければなりませんか?
A3. はい、法律上就業規則または雇用契約書に記載し、従業員に周知することが求められます。

まとめ

役職手当と固定残業代は混同されがちですが、その違いを正確に理解し、就業規則に適切に記載・運用することが重要です。未払い残業代のリスクを防ぎながら、給与計算のアウトソースやDX活用を組み合わせて業務効率化を図ることが、従業員の信頼獲得と企業の持続的成長につながります。
全国対応のHR BrEdge社会保険労務士法人では、現場に即した専門的アドバイスやアウトソース支援を実施しています。まずはお気軽にご相談ください。

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