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【60才になったら社会保険はどうなる?】定年・再雇用・保険料の変更点を徹底解説
「60才になったら社会保険はどうなるの?」「定年後も厚生年金と健康保険に加入するの?」「再雇用社員の手続きって何が変わる?」
大阪・東京・名古屋・福岡など全国の企業で、60才前後の雇用継続や定年延長が増加するなか、社会保険の取り扱いは非常に重要な実務ポイントとなっています。
しかし、「60才になったら自動的に社会保険は外れる」「年金がもらえるから加入不要」などの誤解も多く、企業側の手続き漏れや保険料計算のミスにつながることもあります。
本記事では、60才時点での社会保険の基本的な考え方、加入条件の変化、注意すべき手続き、そして企業実務への影響について、わかりやすく解説します。
60才でも社会保険は基本的に「継続加入」
■ よくある誤解:「60才で脱退する」はウソ
社会保険(健康保険・厚生年金)は、60才という年齢を理由に脱退することはありません。勤務状況と報酬条件によって、70才・75才まで継続される場合がほとんどです。
■ 継続加入の条件
- 健康保険:75才未満まで加入(75才以降は後期高齢者医療制度へ移行)
- 厚生年金:70才未満まで加入
つまり、60才・65才の節目では「支給開始」「加入終了」ではなく、あくまで“就労条件”が重要になります。
■ 雇用形態別の社会保険の取り扱い
雇用形態 | 社会保険の適用 |
---|---|
正社員(フルタイム) | 健康保険・厚生年金ともに継続 |
再雇用・嘱託(週20時間以上・賃金8.8万円以上) | 原則加入 |
短時間パート(条件未満) | 加入対象外(国民健康保険・国民年金) |
60才からの社会保険:具体的な変更点と手続き
-
1. 標準報酬月額の下限がリセット
60才以上は、報酬額が大幅に下がった場合に適用される「特例措置(下限12等級)」があるため、保険料が軽減される場合あり。 -
2. 再雇用後の「資格取得届」が必要
定年退職→再雇用となる場合、一度資格喪失→再取得の手続きが必要。雇用保険・社会保険ともに注意。 -
3. 高年齢雇用継続給付との調整
雇用保険の給付(高年齢雇用継続給付)と、社会保険・賃金とのバランスを意識した設計が求められる。 -
4. 在職老齢年金の影響
60代前半の厚生年金受給者が働き続けて報酬を得ていると、一定額以上で年金が減額または停止される仕組み。 -
5. 70才・75才到達時には自動喪失・切替
・厚生年金→70才で喪失(会社が「資格喪失届」を提出)
・健康保険→75才で喪失し、後期高齢者医療制度へ自動加入
企業が押さえるべき実務対応ポイント
- 就業規則の見直し:再雇用制度と賃金制度の整合性を図る
- 給与計算システムの対応:60才以降の報酬変更に対応するDX化
- 社会保険料の見積・調整:賞与支給や等級変更も含めた設計が重要
- 顧問社労士との連携:正確な届出とタイムラグのない手続きを
- 従業員説明会の実施:本人にも制度の理解を促す(誤解・不安の防止)
Q&A:60才と社会保険にまつわる素朴な疑問
Q. 定年退職したらすぐ厚生年金はもらえる?
A. 受給開始年齢(原則65才)を満たしていないと支給は開始されません。ただし、60~64才の方には「特別支給の老齢厚生年金」がある場合も。
Q. 再雇用社員も厚生年金に入るの?
A. はい。週20時間以上かつ賃金8.8万円以上であれば被保険者として加入義務があります。会社側も届出が必要です。
Q. 保険料は高くなりますか?
A. 報酬額が下がれば保険料も下がります。60才以上には等級の特例措置もあるため、軽減されるケースが多いです。
Q. 社会保険に入りたくない場合は?
A. 労働条件(週20時間未満、月8.8万円未満)で設定すれば適用外になりますが、意図的な適用回避は行政からの指導対象になる可能性もあります。
まとめ:60才は「年齢節目」よりも「制度節目」として見直しを
60才になったからといって自動的に社会保険から外れることはありません。労働時間と賃金水準に応じて、加入・脱退の判断がなされます。
大阪・東京・福岡・名古屋などの企業でも、定年再雇用制度を見直す中で、就業規則や給与制度、社会保険料の取り扱い、DXによる手続き対応が重要性を増しています。
「年齢」ではなく「働き方と条件」で判断するという視点を持ち、適切な手続きと制度設計を進めましょう。
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