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【迷わず処理できる!】通勤手当の正しい勘定科目と仕訳ルールを徹底解説

2025.07.04 スタッフブログ

「通勤手当って“給与手当”で処理していいの?」「仕訳は毎月必要?年末調整との関係は?」「非課税なのに“福利厚生費”で処理しても大丈夫?」

大阪・東京・名古屋・福岡などで多拠点を構える中小企業において、従業員数が100名を超えると、給与計算や経理処理の複雑さが一気に増します。特に「通勤手当」の扱いは、税務・社会保険・会計の3つが絡むため、処理方法を誤ると後々大きなトラブルに発展しかねません。

本記事では、会計・労務・税務の視点を整理しながら、通勤手当の正しい「勘定科目」と「仕訳処理」について、企業が押さえるべき実務ルールを社労士の視点から解説します。

通勤手当とは?|会計・税務・社会保険での扱い

通勤手当の定義と種類

通勤手当とは、従業員が自宅から勤務先まで通うために要する費用を会社が負担するものです。一般的には以下の形で支給されます:

  • 公共交通機関(定期代)
  • 自家用車通勤(ガソリン代・距離に応じた定額)
  • 自転車通勤(条件付きで支給可能)

税務上の非課税枠

所得税法により、以下の上限まで非課税扱いとなります:

  • 交通機関利用:月額15万円まで
  • 自動車通勤:距離に応じた定額制(2km未満は原則対象外)

この非課税枠を超える分は、給与として課税対象になります。

社会保険・労働保険の対象

  • 通勤手当は原則すべて報酬として算定基礎に含まれる(健康保険・厚生年金保険)
  • ただし、労災保険の算定基礎からは除外されます

勘定科目の正解は?:目的別に使い分ける3つのポイント

1. 給与と一緒に支給する場合:『旅費交通費』 or 『給与手当』

会計上は、通勤手当を旅費交通費として計上するのが原則です。ただし、給与と一緒にまとめて支給しており、明細上も分かれていない場合は、給与手当で処理しても問題ありません。

2. 通勤費が明細で明確に分かれている場合:『旅費交通費』

支給内容をしっかり分けている企業では、通勤手当部分を旅費交通費として仕訳するのが最も正確です。税務調査でも安心です。

3. 福利厚生費ではNG?

通勤手当を福利厚生費で処理するのは基本的に誤りです。福利厚生費は「全従業員が平等に利用できる制度」に該当する費用(例:健康診断、懇親会費など)であり、個別に支給される通勤手当とは性質が異なります。

仕訳の実務例:月次処理のテンプレート

例)通勤手当を給与と同時に10万円支給した場合(非課税)

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借方:旅費交通費 100,000円
貸方:現金 or 普通預金 100,000円

例)通勤手当を給与と合算して支給した場合(給与支給額に含む)

plaintext
借方:給与手当 300,000円(内訳:給与190,000円+通勤手当110,000円)
貸方:預金 300,000円

例)通勤手当のうち非課税限度を超過している場合

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借方:給与手当 150,000円(うち非課税通勤手当15万円)
貸方:預金 150,000円
※ 給与課税所得に含めて源泉徴収対応

DX・アウトソース活用で手続き・計上ミスを防ぐ

  • 給与計算ソフト(例:freee、マネーフォワード)では、通勤手当の課税・非課税区分が設定でき、正確な処理が可能
  • 社労士顧問やアウトソースを活用すれば、毎月のチェック体制も強化可能
  • 通勤手当が変更になった場合、すぐに給与・就業規則・社会保険の手続きを連携させる仕組みを構築すると◎

Q&A:通勤手当の勘定科目に関するよくある疑問

Q. 通勤手当を『福利厚生費』で処理しているが問題?

A. はい、税務上は不適切です。福利厚生費ではなく「旅費交通費」または「給与手当」で処理すべきです。

Q. 電車通勤と車通勤では勘定科目を分けた方が良い?

A. 必須ではありませんが、部署・通勤手段ごとに分けると分析や原価計算の精度が上がります。

Q. 通勤手当の支給を現金でしているが問題ある?

A. 現金支給も認められますが、仕訳・支払記録の証拠が残るよう帳票管理が重要です。DX化による振込支給が推奨されます。

Q. 期末にまとめて支給する場合の処理は?

A. 発生主義で仕訳するなら、毎月の未払費用計上→支給月に精算仕訳を行うことが望ましいです。

まとめ:通勤手当の勘定科目は“正確な区分”と“整合性”がカギ

通勤手当は、金額としては少額であっても税務・社会保険・会計すべてに関係する項目です。正しい勘定科目(旅費交通費 or 給与手当)で処理し、福利厚生費と混同しないことが大切です。

給与計算のDX化、手続きのアウトソース化、顧問社労士との連携を活用しながら、制度・会計・手続きの一体運用を実現することが、経営効率とコンプライアンス両立の近道です。

小さな科目こそ、経理と人事が連携して“ルール化”することが、強い組織の礎になります。

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