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【混同注意!】労使協定と労働協約の違いを社労士がわかりやすく解説
「労使協定と労働協約って、どう違うの?」「就業規則には“労使協定に基づき…”とあるけど、労働協約じゃないの?」「行政調査で“協定が未提出”と言われたけど、何のこと?」
こうした疑問は、従業員数100名以上の中小企業で総務・人事を担当されている方からよく寄せられます。大阪・東京・福岡・名古屋といった都市部でも、労務管理の実務現場で“協定”と“協約”を混同するミスは非常に多く、トラブルの原因にもなります。
両者はどちらも「会社と従業員(またはその代表)との合意」ですが、法的性質・手続き・効果が大きく異なります。
この記事では、社労士の視点から「労使協定」と「労働協約」の違いをわかりやすく解説し、企業が整備・活用すべき場面や注意点も具体的に紹介します。
定義と基本の違い:労使協定と労働協約
◆ 労使協定とは
会社と従業員の過半数代表者との間で締結される合意文書です。労働基準法などで、一定の条件で例外運用を認めるために必要とされるものです。
- 例:36協定(時間外・休日労働の協定)
- 手続き:過半数代表者との書面締結+労基署への届出
- 効果:協定がないと法的に例外措置ができない
◆ 労働協約とは
会社と労働組合(労働者の団体)との間で締結される契約です。労働組合法に基づき、労働条件などを労働者集団で交渉・合意したものです。
- 例:賃金体系・賞与支給基準・退職金制度など
- 手続き:組合と会社の合意→文書化(届出不要)
- 効果:組合員には強制適用。就業規則より優先されることもある。
法的な違いを比較表で整理
項目 | 労使協定 | 労働協約 |
---|---|---|
締結相手 | 従業員の過半数代表 | 労働組合 |
法的根拠 | 労働基準法など | 労働組合法 |
締結の目的 | 法令の例外を認める | 労働条件の取り決め |
届出義務 | 原則あり(労基署) | 不要 |
適用範囲 | 会社と全従業員 | 組合員に強制適用 |
効力 | 就業規則より劣後 | 就業規則より優先 |
労使協定が必要な主なケース5選
- 36協定(時間外・休日労働の合意)
最も代表的。未提出企業は労基法違反。 - 1年単位の変形労働時間制
就業規則+労使協定のダブル要件。 - 賃金控除に関する協定
社宅・食事代など天引きには労使協定が必要。 - 年次有給休暇の計画的付与
年5日以上の取得義務とあわせ、計画的に付与するためには協定が必要。 - 育児・介護休業の個別措置(法定例外)
労使協定で対象外規定を定める必要がある。
労働協約を締結するケースと注意点
- 労働組合のある企業:定期的に団体交渉を行い、賃金・賞与などの合意事項を協約化。
- 企業別組合:組合員にしか効力が及ばないため、非組合員には別途規定が必要。
- 就業規則より優先:労働協約で定めた事項は、たとえ就業規則と異なっても協約が優先される。
社内整備の7つのアクション
- 1. 労働組合の有無を確認する
- 2. 就業規則に「労使協定」「労働協約」への言及があるか確認
- 3. 協定文書を毎年更新・保管する(36協定は毎年提出が原則)
- 4. 過半数代表者の選出プロセスを記録する
- 5. DX化により協定管理をクラウドで一元化
- 6. 助成金や労務監査での協定提出に備える
- 7. 顧問社労士によるチェックと届出代行
Q&A:労使協定と労働協約に関する疑問
Q. 労働組合があれば、過半数代表者は不要?
A. いいえ、労使協定を結ぶ場合は、原則として「過半数代表者」または「過半数組合」が必要。労働協約と混同しないように注意が必要です。
Q. 労働協約は全社員に適用される?
A. 原則、組合員にのみ適用されます。ただし、実質的に同じ条件で運用する企業も多いため、非組合員にも就業規則で準拠させることが一般的です。
Q. 協定がなくても時間外労働は命じられる?
A. 36協定がないと原則として時間外・休日労働は違法になります。必ず労使協定を提出しましょう。
Q. 届出を忘れたらどうなる?
A. 行政指導・是正勧告の対象になり、助成金の不支給・労働基準監督署からの監査対象になる場合もあります。
まとめ:両者の違いを理解し、適切な整備と運用を
労使協定と労働協約は似ているようで法的にも手続きも大きく異なります。“協定は過半数代表者と、協約は労働組合と”という区別をまず押さえましょう。
大阪・東京・福岡・名古屋といった都市部では、労務トラブル対応やDXによる労務管理の高度化が進み、制度設計が企業の信頼に直結します。
今こそ、自社の「協定・協約」の管理体制を見直し、顧問社労士やアウトソースと連携して、適切な整備を進めましょう。
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