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【混同注意】労働協約と労使協定の違いとは?法的効力と実務への影響を徹底解説
「労働協約と労使協定って何が違うの?」「就業規則との関係は?」「総務として何を提出すればいいか分からない…」
このような疑問は、大阪・東京・名古屋・福岡などの中小企業、特に従業員100名以上の企業でよく聞かれます。労働関係の書類は似たような言葉が多く、内容の理解を誤ると就業規則との整合性崩壊、手続きミス、行政指導などのリスクにつながります。
この記事では、「労働協約」と「労使協定」の違いを法律・実務・届出面からわかりやすく解説し、給与計算・助成金・DX対応の文脈でも押さえておくべきポイントを、顧問社労士の視点でお届けします。
労働協約と労使協定の基本的な違い
1. 労働協約とは(労働組合法による)
労働協約は、労働組合と使用者(会社)との間で結ばれる書面による契約です。
- 労働組合法第14条に基づく
- 組合員全員に法的拘束力がある
- 就業規則より優先される効力がある
- 例:賃金・賞与・退職金・労働時間などの労働条件
ポイント:労働組合が存在しない企業では、労働協約そのものが存在しません。
2. 労使協定とは(労働基準法などによる)
労使協定は、過半数代表者(労働者側)と使用者の間で締結される協定です。
- 労働基準法第36条(36協定)などが代表例
- 全社員に効力を持つが、法律上の定めがある項目に限られる
- 書面での締結が必須、所轄の労働基準監督署に届出が必要なケースが多い
- 例:時間外・休日労働(36協定)、賃金の控除(第24条)など
ポイント:労働組合がない企業でも必ず作成が必要な場面があり、未締結は法令違反になる可能性があります。
違いをまとめた比較表
項目 | 労働協約 | 労使協定 |
---|---|---|
根拠法 | 労働組合法 | 労働基準法など |
締結者 | 労働組合と使用者 | 労働者代表と使用者 |
対象者 | 組合員 | 全従業員 |
法的効力 | 強く、就業規則より優先 | 特定項目に限り効力 |
届出義務 | なし(任意) | あり(労基署) |
代表例 | 賃金・退職金制度の合意 | 36協定、賃金控除協定 |
企業が実務で気をつけるべき8つのアクション
-
1. 自社に労働組合があるか把握する
方法:従業員代表との違いを明確にし、法的枠組みを確認
効果:どの文書が必要か判断できる -
2. 36協定(時間外労働・休日労働)を締結
方法:過半数代表者と協定書を作成し、労基署に届出
効果:残業・休日出勤が法的に可能となる -
3. 賃金控除に関する労使協定を整備
方法:給与からの控除(社宅・社内積立等)がある場合
効果:違法控除と見なされるリスクを排除 -
4. 就業規則と協定の整合性を確認
方法:協定内容を就業規則に反映、または上位規定として整理
効果:社員の混乱や訴訟リスクを回避 -
5. 社員に内容を周知する
方法:イントラ掲示・配布・説明会等で開示
効果:納得性が高まり、トラブルが減る -
6. DXによる文書管理と届出効率化
方法:クラウドで労使協定を保管・更新、電子申請の活用
効果:人的ミス・期限忘れを削減 -
7. 顧問社労士と定期点検する
方法:法改正・組織改編時に協定内容の見直しを依頼
効果:最新の法令遵守と実態に合った運用が可能に -
8. 協定に基づく助成金要件を確認
方法:「働き方改革推進支援助成金」など、協定整備が要件になるものあり
効果:助成金申請の漏れ防止と制度活用に直結
Q&A:労働協約・労使協定に関するよくある質問
Q. 労働組合がないから、うちには労働協約は不要?
A. はい。労働組合がない限り、労働協約そのものが存在しません。ただし労使協定は必要なケースがあります。
Q. 労働協約と就業規則の内容が異なる場合、どちらが優先?
A. 労働協約が優先されます。これは法的に明確に定められており、就業規則は協約の下位規定になります。
Q. 36協定を出さないとどうなる?
A. 時間外・休日労働がすべて違法となり、労基法違反で罰金または指導を受ける可能性があります。
Q. 協定書の保管義務はある?
A. はい。労基署提出分も含め3年間の保存義務があります。電子保管も可能です。
まとめ:労働協約と労使協定を区別し、正しく整備することが企業の信頼を守る
労働協約と労使協定は、法的性質・締結主体・効力範囲が大きく異なります。大阪・東京・名古屋・福岡などの中堅中小企業にとって、特に労使協定は、就業規則・給与計算・助成金制度の基盤にもなる重要な文書です。
「よくわからないまま署名している」「更新が何年もされていない」といった状態は法令違反・行政指導・社内トラブルのリスクを高めます。DXやアウトソースを活用し、顧問社労士と連携することで、正確・迅速な運用が可能です。
ルール整備が“会社を守る盾”になります。違いを正しく理解し、制度運用のアップデートを始めましょう。
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