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その金額、本当に妥当?知らないと損する取締役報酬の決め方と実務の注意点

2025.06.10 スタッフブログ

「取締役の報酬っていくらに設定すべき?」「途中で金額を変えたら税務上問題になる?」「会社の経費にできるルールって?」——大阪・東京・福岡・名古屋の中小企業経営者・総務担当からよく寄せられる実務的な疑問です。

次のような悩みを抱えていませんか?

  • 「取締役報酬の決め方が曖昧で毎期悩む」
  • 「株主から“もっと報酬を抑えるべき”と言われて困っている」
  • 「報酬を変更したら損金にならないと言われた」

取締役報酬は、会社の意思決定・税務・社会保険・助成金に大きな影響を及ぼす制度です。
特に中小企業では、「誰が決めるのか」「いつ決めるのか」「いくらが妥当か」など、ルールを知らないまま決めてしまうと損をすることもあります。

この記事では、取締役報酬の法的根拠・決定方法・損金処理の注意点・就業規則や社会保険との関係・顧問社労士やアウトソースの活用など、実務で使えるポイントを分かりやすく解説します。

取締役報酬の基本と制度の仕組み

1. 「役員報酬」と「従業員給与」は違う

取締役などの役員は使用人ではないため、通常の「給与」とは扱いが異なります。
役員報酬は株主総会などの決議によって決める必要があり、税務上も一定の条件を満たさないと損金不算入

2. 税務処理で損金にするための条件

法人税法では、以下3つの形態で支払われた役員報酬のみ、損金(経費)として認められます:

  • 定期同額給与(毎月同じ日に同じ額を支給)
  • 事前確定届出給与(あらかじめ金額・支給日を届出)
  • 利益連動給与(上場企業限定)

3. 社会保険と役員報酬

役員も原則、社会保険の被保険者となるため、報酬額に応じた保険料負担が発生します。
報酬を高く設定すると保険料も上がるため、報酬額の設計は会社と役員の双方にとって重要です。

4. 決定時期と手続き

取締役報酬は事業年度開始から3か月以内に決定 変更する場合は、「事前確定届出給与」の提出が必要です。

5. 報酬額はどう決める?

一般的には、次の要素を踏まえて決定します:

  • 同業他社の報酬水準
  • 業績・利益・資金繰り
  • 税務・社会保険の最適化

実務で取るべき8つのアクション

  1. 株主総会議事録を作成・保管
    理由:税務署や監査対応で求められるため。
    方法:報酬決議内容を明記した議事録を作成し、5年間保管。
    効果:報酬の正当性を証明できる。
  2. 定期同額給与のルールを厳守
    理由:支給額が月ごとに違うと損金にできない。
    方法:給与支給日・金額を固定。
    効果:節税と法令遵守を両立。
  3. 事前確定届出給与を検討
    理由:変更の柔軟性を確保するため。
    方法:税務署に届出を行い、支給内容を事前登録。
    効果:イレギュラーな報酬でも損金計上可能。
  4. 社会保険料の試算を実施
    理由:会社と役員双方のコストを把握するため。
    方法:報酬額に応じた保険料を社労士にシミュレーション依頼。
    効果:保険料負担の最適化が可能に。
  5. 報酬額の業績連動性を検討
    理由:業績が大きく変動する業種に適している。
    方法:事前確定方式で「利益×〇%」などの設定。
    効果:業績と連動した柔軟な設計が可能。
  6. 給与明細に役員報酬を明示
    理由:従業員報酬と区分するため。
    方法:給与ソフトで役員用フォーマットを作成。
    効果:帳簿上の区分と透明性が向上。
  7. 就業規則と役員報酬規程を区別
    理由:役員は労働者ではないため。
    方法:別文書で「役員規程」を整備。
    効果:内部統制と助成金対応の明確化。
  8. 給与計算・社保処理をアウトソース
    理由:報酬変更や社保手続きの煩雑化を避けるため。
    方法:社労士事務所や代行業者に委託。
    効果:ミスの削減と業務負担軽減。

よくあるQ&A

Q1. 赤字でも取締役報酬は払うべき?
A. 法的には問題ありませんが、損金処理ができても資金繰りや金融機関評価に影響するため、慎重な判断が必要です。

Q2. 報酬を期の途中で変更したい場合は?
A. 原則は変更不可ですが、「事前確定届出給与」の制度を利用すれば対応可能です。

Q3. 役員にも賞与を支給できる?
A. 定期同額給与には賞与が含まれず、賞与を支給するには事前確定届出給与の方式で届け出が必要です。

Q4. 役員報酬が助成金申請に影響する?
A. はい。役員は「雇用関係」に該当しないため、助成金の対象外となる場合が多く、明確な区分が必要です。

まとめ

取締役報酬は、会社経営に直結する戦略的な制度です。

  • 税務上のルール(定期同額・事前届出)を理解して損金化を図る
  • 社会保険料・助成金・内部規程との整合を取る
  • 社労士・税理士・アウトソースを活用し、制度運用を最適化する

大阪・東京・福岡・名古屋でも、役員報酬の見直しと制度設計を進める企業が増えています。今こそ、報酬制度の見える化と最適化に取り組み、健全な経営基盤を整えましょう。

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