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【休業補償と休業手当の違いとは?】知らないと損する正しい制度と受給方法を解説

2025.05.28 社労士コラム

「休業補償と休業手当って何が違うの?」「休業中でも給料はもらえる?」「会社が払ってくれない場合はどうすればいい?」

こんな疑問を感じたことはありませんか?病気やケガで働けなくなったとき、あるいは会社の都合で休業を余儀なくされたとき、生活を支えるのが休業補償休業手当の制度です。しかし、この2つの制度は似ているようで全く違う仕組みで、混同している人がとても多いのが現実です。

正しく理解していないと、受け取れるはずのお金を受給できなかったり、損をしてしまうことも。この記事では、休業補償と休業手当の違いやそれぞれの仕組み、受給方法について、社会保険労務士がわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読み、自分の状況に合った正しい対応を知りましょう。

休業補償と休業手当の違いとは?基本知識を解説

まずは、休業補償と休業手当の違いを押さえましょう。どちらも休業時の生活を支える制度ですが、適用されるケースや支払元、金額の計算方法が異なります。

1. 休業補償とは?

休業補償は、**労災保険**によって支給される補償金です。業務中や通勤中にケガや病気になり、働けなくなった場合に、労災保険から支給されます。対象となるのは、業務上・通勤災害による休業です。

  • 支払元:労災保険(国)
  • 支給額:休業4日目から、給付基礎日額の**60%**+特別支給金(20%)

つまり、日額の80%相当が支給されます。

2. 休業手当とは?

休業手当は、労働基準法第26条に基づき、会社の都合で労働者を休ませた場合に会社が支払う手当です。自然災害など不可抗力を除き、会社の責任による休業(生産調整、設備トラブルなど)の場合、支払義務があります。

  • 支払元:会社
  • 支給額:平均賃金の60%以上

つまり、会社都合で休業させられた場合に、給与の6割以上が支払われます。

3. よくある誤解:「どちらも同じ制度じゃないの?」

休業補償と休業手当は、以下のように全く異なる制度です。

項目 休業補償 休業手当
対象 業務上のケガ・病気 会社都合の休業
支払元 労災保険 会社
支給額 給付基礎日額の80% 平均賃金の60%以上
支給開始 4日目から 休業開始日から

このように、対象となる状況も、支払元も異なるため、自分がどちらに該当するのかを正確に把握することが大切です。

4. ケーススタディ:Gさんの例

Gさんは工場勤務中に機械で手を負傷し、2週間仕事を休むことになりました。この場合、**休業補償**の対象となり、労災保険から給付基礎日額の80%が支給されます。

一方、Hさんは設備トラブルで会社から「1週間休業」と指示を受けました。この場合は**休業手当**の対象となり、会社から平均賃金の60%以上が支給されます。

休業補償・休業手当で押さえておきたい8つのポイント

休業補償や休業手当を正しく理解し、損をしないための8つのポイントを紹介します。

  • 1. 労災かどうかの確認を最優先する
    理由:労災が認められれば、休業補償が受けられるため。
    方法:事故発生時に上司や労災担当に報告し、労災申請を行う。
    効果:適正な補償が受けられる。
  • 2. 会社都合の休業は休業手当の対象
    理由:労働基準法で定められているため。
    方法:休業命令を受けた場合は、支給額や条件を確認。
    効果:正当な権利を主張できる。
  • 3. 休業手当の金額は「平均賃金」で決まる
    理由:平均賃金が低いと手当も少なくなるため。
    方法:直近3か月の賃金総額 ÷ 総日数で平均賃金を確認。
    効果:金額に納得できる。
  • 4. 労災補償は休業4日目から支給
    理由:労基法により初日から3日間は会社が補償(賃金補償)するため。
    方法:会社が補償しない場合は指摘。
    効果:抜け漏れなく受給できる。
  • 5. 自宅待機も休業手当の対象になる
    理由:会社都合で出社できない場合、支払い義務があるため。
    方法:待機指示の経緯を確認し、証拠を残す。
    効果:不当な無給を防げる。
  • 6. 自然災害は休業手当の対象外になることも
    理由:不可抗力の場合、会社の支払義務が免除されるため。
    方法:災害時の社内規定や就業規則を確認。
    効果:納得できる対応が取れる。
  • 7. ハラスメントやうつ病での休業も労災対象になる可能性
    理由:精神疾患も労災認定されるケースがあるため。
    方法:労災申請時に医師の診断書や状況証拠を提出。
    効果:補償を受けられる可能性が広がる。
  • 8. 支払いがない場合は労基署や社労士に相談
    理由:会社が支払わない場合、第三者の介入が必要になるため。
    方法:証拠資料をまとめ、労働基準監督署や社労士に相談。
    効果:適正な支払いが実現できる。
  • やってはいけない行動:泣き寝入りする
    理由:正当な権利を主張しないと、補償を受け損ねる可能性がある。
    たとえば、休業手当を拒否されても放置すると、未払いのままになることが多いです。

よくあるQ&A:休業補償・休業手当に関する疑問を解決!

Q. 労災が認められなかった場合はどうなる?

A. 労災が認められない場合は、健康保険の傷病手当金を申請できます。ただし、支給額や条件が異なるため、医師の診断書などを準備しておきましょう。

Q. 会社が休業手当を払わないと言ったらどうする?

A. 労働基準監督署に相談しましょう。労基法違反となり、是正勧告が行われる可能性があります。

Q. 休業手当と有給休暇はどちらが優先?

A. 労働者が希望すれば有給休暇を取得できますが、会社都合の休業の場合は休業手当が原則です。会社が勝手に有給扱いにするのは違法です。

Q. 休業補償はいつまで支給される?

A. 労災補償は、療養が続く限り支給されます。ただし、症状固定(治療が終了し、状態が安定した段階)となった場合は、傷病補償年金などに移行します。

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