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【労務デューデリジェンスとは?】M&Aや企業買収で絶対に外せない確認ポイントを徹底解説
「M&Aを進めるにあたって、労務デューデリジェンスって何をするの?」「労務リスクが怖いけど、何を確認すればいいの?」「そもそも労務デューデリジェンスの重要性がわからない…」
そんな疑問や不安を抱えていませんか?企業買収やM&Aを行う際、財務や法務の確認はよく知られていますが、実は**労務分野のデューデリジェンス**も非常に重要です。ここをおろそかにすると、買収後に**未払い残業代**や**労働基準法違反**が発覚し、思わぬコストやトラブルに発展することも。
この記事では、労務デューデリジェンスの基礎知識から、確認すべき具体的なポイント、進め方まで、社会保険労務士がわかりやすく解説します。M&Aや企業買収に関わる方、あるいはこれから自社を売却検討している方も必見です。
労務デューデリジェンスとは?基礎知識と重要性を徹底解説
まずは、労務デューデリジェンスの基本的な概念と、なぜ必要とされるのかを解説します。
1. 労務デューデリジェンスとは?
労務デューデリジェンスとは、企業買収やM&Aの際に、対象企業の**労務管理状況**を調査・確認するプロセスのことです。具体的には、雇用契約、労働条件、就業規則、社会保険の加入状況、残業代の支払い実態などを確認します。
2. なぜ労務デューデリジェンスが必要なのか?
労務リスクは、M&A後に思わぬ損害や経営トラブルを引き起こす可能性があります。たとえば、
- 未払い残業代の請求(過去3年分まで遡って請求可能)
- 違法な労働契約や不適切な雇用形態
- 社会保険未加入による追加負担
- 労働基準監督署からの是正勧告や指導
こうしたリスクを事前に把握し、買収価格や条件に反映させるためにも、労務デューデリジェンスは欠かせません。
3. 歴史と背景:M&Aにおける労務リスクの増大
近年、働き方改革の影響や労働法令の強化により、企業の労務管理に対する社会的な目が厳しくなっています。特に2019年4月に施行された「働き方改革関連法」以降、未払い残業代やハラスメント対策が注目されるようになり、M&Aでも労務デューデリジェンスの重要性が増しています。
4. よくある誤解:「小規模企業だから関係ない?」
労務デューデリジェンスは、大企業だけの話ではありません。むしろ、中小企業ほど労務管理が甘く、リスクが潜んでいるケースが多いため、しっかり確認が必要です。たとえ従業員数が少なくても、法令違反があれば買収後にトラブルになる可能性があります。
5. ケーススタディ:E社のM&A事例
たとえば、E社が従業員50名の製造業を買収した際、労務デューデリジェンスで**未払い残業代**が総額1,000万円あることが判明しました。交渉の結果、買収価格から差し引く形で合意しましたが、事前調査がなければ後から請求されていた可能性がありました。
労務デューデリジェンスで確認すべき8つのポイント
労務デューデリジェンスでは、以下の8つの項目を重点的に確認します。それぞれの理由と方法、効果について詳しく解説します。
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1. 雇用契約書・労働条件通知書の確認
理由:法令に基づいた契約内容であるか、トラブル防止のため。
方法:契約期間、賃金、労働時間、業務内容を確認。
効果:違法な契約があれば早期に是正できる。 -
2. 就業規則の確認
理由:労働条件や社内ルールが法令に準拠しているか確認するため。
方法:最新の就業規則を取得し、弁護士や社労士が精査。
効果:違法リスクを最小限に抑えられる。 -
3. 社会保険・労働保険の加入状況
理由:未加入や適用漏れがないかを確認するため。
方法:保険料納付状況、加入者リストをチェック。
効果:追加負担を防ぎ、適正な加入状況が確認できる。 -
4. 残業代の支払い状況
理由:未払いがあると、買収後に遡って請求される可能性があるため。
方法:勤怠記録と給与明細を突き合わせる。
効果:隠れた労務コストを把握できる。 -
5. 労働時間・休日・休暇管理
理由:法定労働時間や休日、休暇の運用が適正かを確認するため。
方法:勤怠データや管理体制をチェック。
効果:働き方改革関連法への適合状況が確認できる。 -
6. ハラスメント対策・安全衛生管理
理由:職場環境の健全性を確認するため。
方法:相談窓口の有無、実績、マニュアル類を確認。
効果:買収後の職場トラブルを防げる。 -
7. 労使協定や組合関係
理由:労使間の合意状況や潜在的な労使紛争を把握するため。
方法:協定書や議事録、組合との交渉記録を確認。
効果:将来の紛争リスクを把握できる。 -
8. 訴訟・行政指導歴
理由:過去の労務関連トラブルの有無を確認するため。
方法:訴訟記録や行政指導、是正勧告の履歴を確認。
効果:リスクの有無を把握し、必要に応じて対策が取れる。 -
やってはいけない行動:書類確認だけで終わらせる
理由:実態と乖離している可能性があるため。
たとえば、契約書は適正でも、実際の勤怠管理が形骸化しているケースが多く、現場ヒアリングも必ず行う必要があります。
よくあるQ&A:労務デューデリジェンスに関する疑問に答えます
Q. 労務デューデリジェンスは誰が行うの?
A. 社会保険労務士や弁護士が中心となって実施します。特に労務分野は専門知識が必要なため、社労士の関与が重要です。
Q. どのタイミングで行うべき?
A. 基本合意(LOI)締結後、最終契約締結前が一般的です。リスクを把握してから条件交渉に活かします。
Q. 労務デューデリジェンスにどれくらい時間がかかる?
A. 企業規模や確認項目によりますが、1か月程度が一般的です。必要な資料の提出がスムーズであれば短縮できます。
Q. 労務デューデリジェンスで問題が見つかったらどうなる?
A. 買収価格の調整や契約条件の変更、リスク対応の計画が検討されます。場合によっては買収を見送ることもあります。
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