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知らないと危険!労働基準法に基づく正しい残業手当の計算方法

2025.05.23 スタッフブログ

「うちの残業手当、この計算で合ってるのかな?」
「残業代が支払われていない気がするけど、何が正しいのか分からない…」
「固定残業代って言われてるけど、本当にこれで大丈夫?」
そんな疑問や不安を抱えていませんか?

残業手当は、労働基準法で明確に定められた労働者の権利です。しかし、その計算方法や適用範囲が複雑なため、経営者側も労働者側も誤解しているケースが少なくありません。知らずに違法な状態が続くと、未払い残業代の請求リスクや、労基署の是正勧告を受けることも。

なぜ残業手当でトラブルが起きるのか?

その原因は、残業手当の計算が単純な時給×時間ではなく、割増率や除外賃金などのルールが絡むからです。さらに、固定残業代制度なども存在し、正しく運用されていないと大きな問題に発展します。

この記事では、労働基準法に基づく残業手当の基本から、よくある誤解や計算方法までわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、トラブルを未然に防ぎましょう。

労働基準法における残業手当の仕組み

残業手当の法的根拠

労働基準法第37条では、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超えた労働には、通常の賃金の1.25倍以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。また、深夜労働(午後10時〜午前5時)にはさらに0.25倍、休日労働には1.35倍以上の割増が必要です。

歴史的背景

日本の労働基準法は1947年に制定され、戦後の労働環境を改善するために導入されました。当時の長時間労働の是正が目的であり、割増賃金は労働時間抑制のインセンティブとして機能しています。

よくある間違い

「基本給だけを基に計算していればいい」と思っていませんか? 実は、住宅手当や職務手当なども含めて計算しなければならない場合があります(除外可能な手当もありますが、限られています)。また、「固定残業代を支払っているから大丈夫」と安心している企業も、明確な内訳説明や超過分の支払いがなければ違法となるケースがあります。

具体例:Aさんのケース

例えば、Aさんが月給25万円で、固定残業代として月30時間分(45,000円)を支給されている場合。この30時間を超える残業が発生した場合、超過分の割増賃金を別途支払う必要があります。しかし、固定残業代の内訳や時間数が明確でなければ、全額が未払いとみなされることも。特に、みなし残業制と誤解されがちな裁量労働制や管理監督者についても注意が必要です。

意外と知られていない豆知識

実は、労働時間に含まれるべきか判断が難しい「休憩時間中の業務対応」や「着替えの時間」なども、場合によっては労働時間としてカウントされ、残業代の対象となることがあります。こうした細かい部分での判断が、企業と労働者の間で認識のズレを生む原因になっています。

残業手当トラブルを防ぐ8つのアクション

  • 1. 労働時間を正確に記録する

    理由:労働時間の根拠が曖昧だとトラブルのもとになるため。
    方法:タイムカードや勤怠システムで打刻を徹底する。
    効果:未払い残業代請求時に適正な証拠となる。

  • 2. 固定残業代制度の内訳を明示する

    理由:制度が不透明だと違法と判断されるため。
    方法:労働契約書に、固定残業時間と金額を明確に記載する。
    効果:労基署の調査でも説明責任を果たせる。

  • 3. 超過分の残業代を適正に支払う

    理由:固定残業時間を超えた分は別途支払う義務があるため。
    方法:超過分の割増賃金を計算し、翌月給与で支給。
    効果:未払いリスクを回避できる。

  • 4. 除外できる手当を正確に把握する

    理由:割増賃金の計算基礎に含まれる賃金を誤解しがちなため。
    方法:労働基準法に基づき、除外対象の通勤手当や家族手当などを確認。
    効果:適正な残業代計算ができる。

  • 5. 管理監督者の範囲を正しく設定する

    理由:名ばかり管理職は残業代請求の対象となるため。
    方法:労務管理の実態を確認し、管理監督者の基準に適合させる。
    効果:誤った適用による訴訟リスクを減らせる。

  • 6. 裁量労働制の適用範囲を見直す

    理由:対象外の業務で適用すると違法となるため。
    方法:対象業務や労使協定を定期的に確認。
    効果:制度の適正運用を維持できる。

  • 7. 残業申請・承認のルールを整備する

    理由:無許可残業がトラブルになるため。
    方法:事前申請・承認制を導入し、運用ルールを周知。
    効果:不要な残業を抑制し、コスト削減にもつながる。

  • 8. やってはいけない!残業代を「みなし」で払わない

    理由:労働実態に合わない場合は違法となるため。
    方法:実際の労働時間に基づき、割増賃金を正確に支払う。
    効果:労基署調査や訴訟リスクを回避できる。

よくある疑問Q&A

Q. 固定残業代を超えた分は支払わなくていい?

A. いいえ、超過分は別途支払う必要があります。固定残業時間を超える労働が発生した場合、その分の割増賃金を適正に支給しないと、未払い残業代として請求される可能性があります。

Q. 管理職だから残業代は不要?

A. 役職名だけで判断するのは危険です。実際に労務管理上の権限(採用・解雇の決定権など)があるかが重要。名ばかり管理職は残業代請求の対象となります。

Q. 深夜残業の割増率は?

A. 深夜(22時~翌5時)は通常の賃金の1.25倍に0.25倍を加算し、1.5倍以上の割増賃金が必要です。これを怠ると、労基法違反となります。

Q. 裁量労働制なら残業代は不要?

A. 一部の専門業務などでは裁量労働制が適用されますが、業務内容や労使協定が適正でないと違法です。誤った適用は違法残業とされる可能性があります。

まとめ

残業手当は労働基準法で厳密に定められた労働者の権利です。計算方法を誤ると、企業側は未払い残業代請求や労基署の是正勧告を受けるリスクがあります。この記事では、残業手当の基礎から、よくある誤解やトラブル回避の具体策まで解説しました。

まずは自社の残業手当の運用を見直し、正確な労働時間管理と制度の適正運用を心がけましょう。疑問点があれば、労務の専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

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