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【採用前に確認】「技術・人文知識・国際業務ビザ」の要件、実はこんな落とし穴も

2025.07.15 スタッフブログ

外国人を雇用する際、多くの企業が最初に検討するのが「技術・人文知識・国際業務ビザ(以下、技人国ビザ)」です。これは高度人材の受け入れを可能にする代表的な在留資格であり、多くの中小企業が活用しています。しかし、申請に必要な要件や注意点には誤解も多く、思わぬ不許可に繋がることもあります。

「技術・人文知識・国際業務」って何?制度の背景と基礎知識

技人国ビザは、専門的な知識や技能を持つ外国人が日本で就労するための在留資格で、「技術」「人文知識」「国際業務」という三領域に分類されます。これらは1990年の出入国管理法改正により体系的に整理されました。

たとえば「技術」は理工系の大学を卒業したITエンジニアや機械設計者などを対象に、「人文知識」は法学や経済、経営学といった文系分野の知識を生かす職種、そして「国際業務」は通訳や翻訳、海外取引など外国語能力や異文化理解が不可欠な業務に該当します。

しかし、ここで誤解されがちなのが「外国人が日本で働ければどの職種でもよい」という思い込みです。実際には、職務内容と本人の学歴や職歴がマッチしていることが極めて重要であり、厚労省のガイドラインや入管の審査でも重視されます。

たとえば、外国人が経済学部卒で日本語も堪能だからといって「飲食店のホールスタッフ」として採用しても、このビザでは認められません。なぜなら、その業務内容が「専門性のある業務」と見なされないからです。

業界・他社比較:申請の成否を分ける「書類力」

実は、同じような職務内容でも会社によっては許可され、別の会社では不許可になるケースが珍しくありません。その違いを生むのが「業務内容の説明資料」「雇用契約書の記載内容」「業務マニュアル」などの書類の精度です。

ある大阪の中小企業では、外国人営業担当を採用したものの、業務内容が曖昧だったために不許可となりました。一方、名古屋の同業他社では「営業戦略立案」「翻訳付きの会議資料作成」「英語での市場調査」など具体的に業務を記載したことで、スムーズに許可が下りました。

制度の裏話:実は大学専攻と業務内容の「直接的な関連」は必須ではない?

多くの企業が「専攻と業務内容が一致していないと不許可」と誤解しています。しかし実際には、「相当程度関連していればよい」とされており、柔軟な運用も見られます。たとえば「心理学専攻」でも、マーケティング分析や人材コンサル業務などに従事する場合、許可される可能性があります。

文化的視点:日本企業が見落としがちな“職種の定義”

日本の中小企業は「職種」よりも「社内での役割重視」の傾向がありますが、入管は職種ベースで審査します。このズレが原因で申請が通らないこともあるため、「具体的にどの業務を、何語で、どのようなスキルを使って行うか」の記述が重要です。

外国人を雇用するなら知っておくべき8つのアクション

  • 1. 業務内容の明文化
    理由:審査官に職務の専門性を伝えるため。
    方法:職務記述書を作成し、専門用語や業務例を含める。
    効果:申請時の説得力が増し、不許可リスクが下がる。
  • 2. 雇用契約書の見直し
    理由:労働条件が曖昧だと不信感を持たれる。
    方法:職務範囲、勤務地、業務時間を明記。
    効果:審査通過率が向上し、後のトラブル防止にも。
  • 3. 学歴・職歴の照合
    理由:本人の資格と職務内容が合致しているか確認するため。
    方法:履歴書・卒業証明書・職務経歴書の整合性をチェック。
    効果:要件の整合性が取れ、申請成功率が上がる。
  • 4. 登録支援機関との連携
    理由:ビザ取得・更新支援のプロに相談できる。
    方法:登録支援機関に定期的に相談・契約を行う。
    効果:手続きミスが減り、対応がスムーズになる。
  • 5. 面接時にビザの適合性を確認
    理由:採用後にビザが通らないリスクを回避するため。
    方法:専攻・職歴の説明を求め、職務内容との一致を確認。
    効果:不採用や再申請のリスクを減らせる。
  • 6. 福岡や大阪など地元の社労士に相談
    理由:地域に精通したアドバイスがもらえる。
    方法:社労士事務所を訪問またはオンライン相談。
    効果:地方特有の課題にも柔軟に対応可能。
  • 7. 社内マニュアルの整備
    理由:外国人社員が早期に業務に慣れるため。
    方法:多言語対応の業務マニュアルを整備。
    効果:離職率の低下、即戦力化が促進される。
  • 8. やってはいけない:単純労働への配属
    理由:技人国ビザの対象外であり、不法就労となる。
    方法:採用前に職務内容の適法性をチェック。
    効果:入管からの指摘・罰則を防ぐ。

Q&A:よくある疑問にプロが答えます

Q. 学歴が職務と少しズレている場合でもビザは取れますか?

A. 「相当程度の関連性」があれば可能です。たとえば国際関係学部卒で貿易事務に就くなど、職務との整合性を資料で説明できれば許可される例もあります。

Q. 東京にある中小企業でも技人国ビザの取得は難しい?

A. 企業規模は直接の要因にはなりません。むしろ説明力や書類の正確さが審査の鍵です。東京でも、小規模でも、成功事例は多数あります。

Q. 実務経験だけで学歴がない場合は?

A. 学歴要件が満たされない場合、10年以上の実務経験で代替可能です。ただし証明書や推薦状が必要になるため、準備は入念に。

Q. 特定技能との違いは?

A. 特定技能は現場系や介護などの分野が中心で、技人国は事務系・企画系などが中心。目的や業務内容に応じて使い分けが必要です。

まとめ:今こそ外国人雇用のルールを正しく理解しよう

技術・人文知識・国際業務ビザは、外国人高度人材を雇用するための強力な制度ですが、要件を誤解したままでは不許可になるリスクも高まります。業務内容の明確化、学歴・職歴の整合性、そして登録支援機関や社労士との連携が成功の鍵です。大阪、東京、福岡、名古屋など地域の中小企業も、今こそ制度を正しく理解し、適切な外国人雇用に踏み出すチャンスです。

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