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36協定の印鑑で労基署に指摘される前に!適正な押印手続きの全て

2025.10.06 スタッフブログ

「36協定に押す印鑑は何を使えばいいのか分からない…」
「労働基準監督署から印鑑の押印ミスで受理されなかったらどうしよう」
「従業員代表の印鑑がもらえず、36協定の締結が進まない」

そんな悩みを抱える100人規模企業の経営者や総務担当者の皆様、36協定印鑑の適正な処理は、労働時間管理の法的根拠を確保する上で極めて重要な手続きです。

労働基準法第36条に基づく時間外労働協定(36協定)は、適切な印鑑による押印がなされていなければ、労働基準監督署で受理されません。不適切な押印による協定の無効化は、残業の法的根拠を失い、企業に重大な労務リスクをもたらします。

本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、36協定印鑑の法的要件から具体的な押印方法、よくあるトラブルの回避策まで、企業が安全に協定を締結するための全ての知識を実例とともに詳しく解説いたします。

36協定における印鑑の法的位置づけと押印要件

多くの企業が見落としているのは、36協定印鑑には単なる「署名の代替」以上の法的意味があることです。印鑑による押印は、労使双方の合意の証明であり、協定の有効性を担保する重要な要件となります。

■ 36協定における印鑑の法的要件

1. 使用者側の印鑑要件

  • 法人:代表印(法務局登録印)または代表印と同等の効力を持つ印鑑
  • 個人事業主:個人の実印または認印(ただし三文判は避けることが望ましい)
  • 支店・営業所:本社からの委任状がある場合は支店長印でも可

2. 労働者代表側の印鑑要件

  • 労働組合:組合印(正式な組合印である必要がある)
  • 従業員代表:個人の認印または実印(シャチハタは不可)
  • 委任を受けた者:代表者からの委任状と委任者の印鑑

■ 印鑑の押印方法と技術的注意点

36協定印鑑の押印には、以下の技術的要件があります:

押印の位置:
署名欄に隣接して押印。署名と印鑑が重複しないよう注意が必要です。

押印の鮮明性:
かすれ、二重押し、逆さ押しは避け、鮮明な印影が求められます。朱肉の量と押印圧力の調整が重要です。

訂正時の処理:
協定内容に訂正がある場合は、訂正箇所に双方の印鑑による訂正印が必要です。

■ よくある印鑑関連のトラブル事例

受理されない事例1:シャチハタ使用
従業員代表がシャチハタで押印した36協定が労基署で受理拒否。正式な認印で再提出が必要となりました。

受理されない事例2:権限なき者の押印
支店長が本社の委任なく代表印で押印。権限確認書類の不備により受理されませんでした。

受理されない事例3:印影の不鮮明
朱肉の不足により印影が不鮮明となり、再提出を求められました。

■ 経営者と総務担当者の視点

経営者の視点:
36協定印鑑の適正な処理は、残業の法的根拠確保に直結します。不適切な押印による協定無効は、過去の残業代の遡及支払いリスクを招く可能性があり、経営上の重大なリスク要因となります。

総務担当者の視点:
日常の労務管理において、36協定の締結は年1回の重要な手続きです。印鑑の管理、従業員代表との調整、労基署への提出など、複数の段階で注意が必要な業務となります。

■ デジタル化の影響と今後の動向

政府のDX推進により、一部の労務手続きでデジタル化が進んでいますが、36協定については現在も印鑑による押印が原則です。ただし、電子申請システムの活用により、一部の手続き簡素化も可能になっています。

また、就業規則との整合性確保や、給与計算システムとの連携により、36協定に基づく労働時間管理の効率化も重要な課題となっています。

36協定印鑑の実務的な管理方法と成功・失敗事例

「法的要件は理解したが、実際の運用でどう管理すればいいのか」という経営者や総務担当者の疑問にお応えして、具体的な管理手法と実際の成功・失敗事例をご紹介します。

■ ステップ1:印鑑管理体制の構築

成功例:製造業A社(従業員120名)
従来、36協定印鑑の管理が曖昧で、毎年提出直前に慌てる状況でした。以下の管理体制を構築し、スムーズな協定締結を実現しました:

印鑑管理台帳の作成
使用者側:代表印の保管場所、使用権限者、代理押印の委任関係を明文化
労働者側:従業員代表の選出方法、印鑑登録、委任状の整備

年間スケジュールの策定
10月:従業員代表の選出手続き開始
11月:36協定案の作成と労使協議
12月:印鑑押印と労基署提出
1月:新協定の効力発生と周知

この体制整備により、手続き遅延ゼロを3年連続で達成しています。

失敗例:IT企業B社(従業員90名)
従業員代表の選出を怠り、総務担当者が勝手に同僚の印鑑で押印。労基署の調査で発覚し、36協定が無効と判定されました。過去1年間の残業について法的根拠を失い、残業代の追加支払いと労基署からの指導を受ける結果となりました。

■ ステップ2:従業員代表選出と印鑑確保の標準化

成功例:小売業C社(従業員150名)
従業員代表の選出から印鑑押印までの標準手続きを確立しました:

1. 選出手続きの透明化

  • 全従業員への選出通知(投票用紙の配布)
  • 候補者の公募と立候補受付(2週間)
  • 無記名投票による選出(過半数による選出確認)

2. 印鑑確保の確実化

  • 選出と同時に印鑑の種類確認(シャチハタ排除)
  • 印影の事前確認と保管
  • 緊急時の代理押印体制(委任状の事前作成)

この標準化により、従業員代表の協力度向上手続きの確実性を両立させています。

■ ステップ3:DXによる手続き効率化

成功例:建設業D社(従業員140名)
36協定印鑑の管理にデジタル技術を活用し、効率化を実現しました:

電子申請システムの活用

  • 労基署への電子申請による提出時間短縮
  • 申請状況のリアルタイム確認
  • 受理通知の自動受信と保管

印鑑管理のデジタル化

  • 印影のデジタル保管と履歴管理
  • 押印予定日の自動アラート機能
  • 給与計算システムとの協定内容連携

このDX化により、手続き時間を60%短縮し、ヒューマンエラーを大幅に削減しました。

■ ステップ4:顧問社労士との連携強化

成功例:サービス業E社(従業員100名)
顧問社労士と連携し、36協定印鑑の適正管理を実現しています:

専門的サポートの活用

  • 協定内容の法的チェックと印鑑要件の確認
  • 労基署との事前相談と受理可能性の確認
  • 従業員代表との協議における専門的アドバイス

継続的な制度改善

  • 法改正への対応と協定内容の随時見直し
  • 就業規則との整合性確保
  • 労務監査における36協定の適正性確認

■ アウトソースvs内製化の判断基準

アウトソース成功例:物流業F社(従業員110名)
複雑な勤務体系と多拠点展開により、36協定の管理が困難でした。労務管理業務を専門業者にアウトソースし、以下の効果を実現:

  • 専門知識による確実な手続き
  • 複数拠点の一括管理
  • 法改正への迅速な対応
  • 年間コスト:内製80万円 → 外注150万円(70万円の追加で安心確保)

内製化成功例:製薬企業G社(従業員130名)
顧問社労士の指導により、36協定印鑑を含む労務管理を完全内製化。担当者のスキル向上と継続的な改善により、高品質な管理を実現しています。

■ 助成金活用による制度改善

働き方改革推進支援助成金の活用により、労働時間管理システムの導入と36協定管理の効率化を同時に進める企業が増加しています。システム導入費用の一部補助を受けながら、DX化を推進できます。

36協定印鑑に関するよくある疑問と専門的解答

Q1. 従業員代表が退職してしまった場合、36協定の効力はどうなりますか?印鑑の取り扱いはどうすべきでしょうか?

A1. 従業員代表の退職により36協定が自動的に無効になることはありませんが、速やかな対応が必要です。まず新たな従業員代表を適正な手続きにより選出し、必要に応じて協定の変更手続きを行います。印鑑については、退職した代表者の印影は使用できなくなるため、新代表者の印鑑による押印が必要です。重要なのは、代表者の交代を労働基準監督署に適切に報告することです。顧問社労士と相談し、法的リスクを避けながら確実な手続きを行うことをお勧めします。

Q2. 36協定に使用した印鑑を紛失してしまいました。どのような手続きが必要ですか?

A2. 印鑑紛失の場合、まず警察への遺失届提出を検討し、不正使用防止を図ります。36協定については、紛失した印鑑と同じものが必要な変更手続きがある場合は、印鑑証明書等により本人確認を強化する必要があります。法人の代表印を紛失した場合は、法務局での印鑑変更登録も必要です。労働基準監督署への届出については、印鑑紛失の事実と新しい印鑑での手続き継続について事前相談することが適切です。今後の印鑑管理体制の見直しも併せて行い、再発防止を図ることが重要です。

Q3. 電子印鑑やデジタル署名は36協定で使用できますか?DX化を進めたいのですが…

A3. 現在、36協定においては物理的な印鑑による押印が原則であり、一般的な電子印鑑の使用は認められていません。ただし、労働基準監督署への電子申請システム「e-Gov」を利用する場合は、電子署名による申請が可能です。この場合、電子証明書による本人確認が前提となります。DX化については、協定の作成・管理プロセスの効率化、給与計算システムとの連携、労働時間データの自動集計等で活用できます。将来的にはより広範な電子化が進む可能性もありますが、現段階では物理的な印鑑による適正な押印を確実に行うことが重要です。

まとめ

36協定印鑑の適正な処理は、企業の労働時間管理における法的根拠の確保において極めて重要な要素です。単なる形式的な手続きではなく、残業の適法性を担保する基盤となる重要な業務として位置づける必要があります。

重要なのは、「確実性の追求」です。印鑑の種類、押印方法、権限確認、従業員代表の適正選出など、すべての要件を満たして初めて有効な協定となります。一つでも不備があれば協定無効のリスクを招き、企業に重大な労務リスクをもたらします。

また、DX化の進展により、手続きの効率化と精度向上が同時に実現できるようになっています。電子申請システムの活用、印影のデジタル管理、自動アラート機能など、技術を活用した管理体制の構築により、ヒューマンエラーの排除と業務効率化が可能です。

内製化アウトソースの選択については、企業の規模、専門性、リスク許容度等を総合的に判断する必要があります。どちらを選択しても、就業規則との整合性確保と法令遵守の徹底は不可欠です。

さらに、顧問社労士との連携により、専門的知識に基づく確実な手続き実行と継続的な制度改善が可能になります。法改正への対応、労基署との調整、労務監査対応など、専門性を要する業務のサポートにより、企業のリスク軽減が図れます。

HR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人では、250社の顧問先での豊富な実績をもとに、36協定印鑑を含む労働時間管理の適正化を全面的にサポートします。協定締結の手続き支援から、印鑑管理体制の構築、労基署対応まで、包括的な解決策をご提供します。

「36協定の印鑑手続きが不安」「従業員代表の選出から印鑑押印まで確実に行いたい」「労働時間管理のDX化と法令遵守を両立したい」とお考えの経営者・総務担当者の方は、今すぐ無料相談をご利用ください。全国オンライン対応により、あなたの会社の状況に応じた最適な支援をご提案いたします。

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