新着情報

残業代1.25倍計算で損していませんか?正しい割増賃金の全知識

2025.10.05 スタッフブログ

「残業代の1.25倍計算、本当に正しくできているか不安で眠れない…」
「労基署の調査で残業代未払いを指摘されたらどうしよう」
「複雑な割増計算で毎月の給与計算が憂鬱になってしまう」

そんな悩みを抱える100人規模企業の経営者や総務担当者の皆様、残業代1.25倍の正しい計算方法を理解することは、企業の労務リスク回避において極めて重要な課題です。

労働基準法における割増賃金の計算は、単純に見えて実は多くの落とし穴があります。残業代1.25倍の適用要件や計算基礎、除外すべき手当の判断など、一つでも間違えると重大な法的リスクを招く可能性があります。

本記事では、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人が、残業代1.25倍の正確な計算方法から実務上の注意点、そして最新の法改正情報まで、企業が押さえるべき全ての知識を実例とともに詳しく解説いたします。

残業代1.25倍の法的根拠と計算の基本構造

多くの企業が誤解しているのは、残業代1.25倍の計算が「基本給×1.25×残業時間」という単純な計算で済むという認識です。実際には、計算基礎となる賃金の範囲、割増率の適用条件、除外手当の判定など、複雑な要素を正確に理解する必要があります。

■ 残業代1.25倍の法的根拠

労働基準法第37条により、残業代1.25倍の支払いが義務付けられるのは以下の場合です:

  • 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働
  • 法定休日以外の休日労働(所定休日労働)
  • 深夜労働(午後10時~午前5時)

重要なのは、「所定労働時間」と「法定労働時間」の違いです。所定労働時間が7時間の企業でも、法定労働時間の8時間までは残業代1.25倍の対象外となります。

■ 計算基礎となる賃金の範囲

給与計算で最も間違いが多いのが、この計算基礎の算定です。以下の手当は計算基礎から除外できます:

除外可能な手当:

  • 家族手当(扶養家族数により変動するもの)
  • 通勤手当(実費弁償の性格を持つもの)
  • 別居手当、子女教育手当
  • 住宅手当(住居費に応じて変動するもの)
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

注意点:一律支給の「家族手当」や定額の「住宅手当」は除外できません。多くの企業がこの判定を間違え、労基署調査で指摘を受けています。

■ 経営者と総務担当者の視点の違い

経営者の視点:
残業代1.25倍の正確な計算は、労務コンプライアンスの根幹です。未払い残業代の時効は3年に延長されており、遡及支払いのリスクは年々高まっています。適切な計算により、労働基準監督署の調査リスクを最小限に抑えることが可能です。

総務担当者の視点:
日常の給与計算業務において、残業代1.25倍の計算精度向上は急務です。手作業による計算ミスは、従業員とのトラブルだけでなく、法的リスクにも直結します。システム化による自動計算の導入も検討課題の一つです。

■ よくある計算ミスのパターン

1. 月給制の時間単価計算ミス
月給÷月平均所定労働時間で算出しますが、年間休日数や所定労働日数の計算を間違えるケースが多発しています。

2. 諸手当の取り扱いミス
役職手当、技能手当などは原則として計算基礎に含める必要がありますが、除外している企業が散見されます。

3. 端数処理の方法
労働基準法施行規則では「50銭未満切り捨て、50銭以上切り上げ」が原則ですが、システム設定を間違えている場合があります。

これらの計算精度向上は、企業のDX推進においても重要な要素となります。適切なシステム導入により、計算ミスの撲滅と業務効率化を同時に実現できます。

残業代1.25倍計算の実践的な対応策と成功事例

「理論は理解したが、実際の運用でどう改善すればいいのか」という経営者や総務担当者の疑問にお応えして、具体的な改善手法と実際の成功・失敗事例をご紹介します。

■ ステップ1:現状の計算方法の総点検

成功例:製造業A社(従業員130名)
労基署の調査予告を受け、緊急で残業代1.25倍の計算方法を見直しました。外部の社労士と連携して3ヶ月間の集中的な総点検を実施した結果、以下の問題が発見されました:

  • 技能手当(月額2万円)を計算基礎から除外していた
  • 年間休日数の計算が間違っており、時間単価が過少だった
  • 深夜労働との重複時間で1.5倍計算を誤っていた

修正により月額平均12万円の残業代増加となりましたが、労基署調査では「適切に対応している」と評価され、追加指摘を回避できました。

失敗例:IT企業B社(従業員80名)
給与計算システムの設定を「なんとなく」で行い、残業代1.25倍の計算基礎から通勤手当を除外し忘れていました。通勤手当が一律2万円支給だったため、除外要件を満たさず、2年間で約480万円の未払い残業代が発生。労働基準監督署から是正勧告を受け、遡及支払いと付加金の支払いを命じられました。

■ ステップ2:システム化による精度向上とDX推進

成功例:建設業C社(従業員150名)
従来の手作業による給与計算から、クラウド型給与システムに移行。残業代1.25倍の計算ロジックをシステムに組み込み、以下の改善を実現しました:

  • 計算ミス:月平均15件 → 0件
  • 給与計算時間:40時間 → 12時間
  • 従業員からの問い合わせ:月20件 → 月3件

特に効果的だったのは、勤怠管理システムとの連動です。タイムカードの打刻データから自動で残業時間を算出し、残業代1.25倍を正確に計算するため、人的ミスが完全に排除されました。

■ ステップ3:内製化vs アウトソース判断

アウトソース選択例:小売業D社(従業員100名)
複雑な勤務体系(シフト制、深夜勤務、休日出勤が混在)により、残業代1.25倍の計算が極めて困難でした。給与計算アウトソースを決断し、専門業者に委託した結果:

  • 計算精度:95% → 99.8%
  • 総務担当者の残業時間:月30時間削減
  • 年間コスト:内製120万円 → 外注180万円(差額60万円)

コストは上がりましたが、労務リスクの大幅軽減担当者のストレス軽減により、「投資として十分ペイする」と経営判断しています。

内製化成功例:サービス業E社(従業員90名)
顧問社労士と連携し、給与計算内製化を強化しました。月1回の定期指導により、総務担当者のスキル向上を図り、残業代1.25倍の計算精度を向上させています。

■ 就業規則との整合性確保

多くの企業で見落とされがちなのが、就業規則との整合性です。残業代1.25倍の計算方法や割増率を就業規則に明記することで、従業員への説明責任を果たし、トラブル防止に繋がります。

また、助成金申請においても、適切な労務管理の証明として就業規則の整備が重要な要素となります。

残業代1.25倍に関するよくある疑問と回答

Q1. 管理職には残業代1.25倍を支払わなくてもよいと聞きましたが、本当ですか?

A1. 「管理監督者」に該当する場合は残業代1.25倍の支払い義務はありませんが、要件は非常に厳格です。①経営者と一体的な立場、②出社・退社や勤務時間について裁量がある、③地位・職責に見合った待遇を受けている、の全てを満たす必要があります。単に「課長」「部長」という役職名だけでは管理監督者とは認められません。多くの企業で誤解されており、労基署調査で最も指摘の多い項目の一つです。顧問社労士との相談により、適切な判定を行うことをお勧めします。

Q2. 固定残業代制を導入していれば、残業代1.25倍の個別計算は不要ですか?

A2. 固定残業代制度を導入していても、実際の残業時間に基づく残業代1.25倍の計算は必要です。固定残業代が実際の残業代を下回る場合は、差額の支払いが必要となります。また、固定残業代制度が有効となるためには、①固定残業代部分と基本給の明確な区分、②対象となる残業時間数の明示、③実際の残業代との差額精算の合意、が必要です。制度設計が不適切だと、固定残業代そのものが無効となり、全額が基本給と判定される危険性があります。

Q3. 在宅勤務やテレワークでも残業代1.25倍の支払いは必要ですか?労働時間の把握が困難ですが…

A3. 在宅勤務であっても労働基準法は適用され、残業代1.25倍の支払い義務があります。重要なのは適切な労働時間管理です。厚生労働省のガイドラインでは、①事前の申請制、②PC等のログ記録、③メール送信時間等の客観的記録、を推奨しています。DX化の進展により、勤怠管理システムのクラウド対応も進んでおり、在宅勤務者の労働時間把握も技術的に可能になっています。適切な手続きとシステム導入により、法令遵守と業務効率化の両立が可能です。

まとめ

残業代1.25倍の正確な計算は、企業の労務コンプライアンスの根幹をなす重要な業務です。単純に見える計算の裏には、多くの法的要件と実務上の注意点が潜んでいます。

重要なのは、「間違いは必ず発覚する」という前提での制度設計です。労働基準監督署の調査、従業員からの申告、労働審判など、様々な経路で計算ミスは発見されます。発覚時の遡及支払いや付加金のリスクを考慮すると、事前の適切な対応が経営上も不可欠です。

また、DX化の進展により、従来の手作業による給与計算には限界があります。システム化による自動計算の導入は、計算精度の向上だけでなく、総務担当者の業務負荷軽減にも大きく寄与します。

内製化アウトソースの選択については、企業の規模、業務の複雑性、コスト等を総合的に判断する必要があります。重要なのは、どちらを選択しても法令遵守が確実に実現できる体制を構築することです。

HR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人では、250社の顧問先での豊富な実績をもとに、残業代1.25倍の正確な計算体制構築を全面的にサポートします。現状の計算方法の点検から、システム導入支援、就業規則の整備まで、包括的な解決策をご提案します。

「現在の残業代計算が正しいか不安」「労基署調査に備えて体制を見直したい」「給与計算の精度向上とDX化を同時に実現したい」とお考えの経営者・総務担当者の方は、今すぐ無料相談をご利用ください。全国オンライン対応により、迅速かつ的確なアドバイスをご提供いたします。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】HR BrEdge社会保険労務士法人

こちらの内容もお勧めです