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【役員報酬と給与の違い】税務・手続き・助成金で損しないための基礎知識

2025.07.08 スタッフブログ

企業経営において、「役員報酬」と「給与」の違いは意外と曖昧なまま運用されていることが多く、それが原因で税務リスクや助成金の不支給といった問題が発生することがあります。本記事では大阪・東京・名古屋・福岡の中堅中小企業(従業員100名以上)の経営者・総務担当者を対象に、「役員報酬と給与の違いとその影響」について詳しく解説します。

なぜ“役員報酬と給与の違い”がトラブルの火種になるのか

「役員にアルバイト代のような形で手当を出してもいい?」「就業規則には役員の扱いも書くべき?」「助成金の申請で役員が“従業員”にカウントされる?」—これは企業の総務担当者からよく寄せられる相談です。

背景には、以下のような要因があります。

  • 役員報酬は労働の対価ではなく、経営貢献への対価という特殊性がある
  • 社会保険・雇用保険・労働保険で「役員=被保険者外」とされる場面が多い
  • 税務上、給与との区分が曖昧な場合は経費否認のリスクがある

このような理由から、「内製化」した管理では限界があり、「顧問」社労士による適切なサポートや「DX化された給与計算・手続きアウトソース」が有効です。

役員報酬と給与の違いを正しく理解しよう:制度・税務・実務の全体像

■ そもそも「給与」と「役員報酬」は何が違う?
給与は「労働の対価」として雇用契約の下で支払われるものであり、雇用保険・労働保険・健康保険などが適用されます。一方で役員報酬は「経営責任への対価」であり、就業規則の適用外、雇用関係もありません。

■ 歴史的背景と法制度
戦後の法人税法整備により、役員報酬は「定期同額給与」の原則が導入され、毎月一定でなければ損金算入が認められません。これは脱税防止のためですが、多くの企業が「昇給・賞与」の設計に悩む原因にもなっています。

■ よくある誤解とリスク
・役員に残業代や通勤手当を支払っている → 経費否認の恐れ
・役員に賞与を支給 → 定期同額でなければ原則損金不算入
・助成金申請時に役員をカウント → 不支給となる可能性あり

■ A社の失敗事例(名古屋)
名古屋市の製造業A社では、役員に通常の給与体系で交通費や住宅手当を支給していたが、税務調査で否認され、約300万円の追徴課税を受けた。しかも雇用調整助成金も返還を求められる事態に。

■ 実は意外と知られていない制度の裏話
役員でも「非常勤・報酬のない取締役」は社会保険加入義務がない。逆に「非常勤でも報酬あり」であれば加入義務が発生する可能性がある。東京のIT企業B社では、この理解不足から遡及加入による過去2年分の保険料を請求された。

■ 他社はどうしている?業界・地域での傾向
大阪・福岡の流通業界では、近年「役員も一部社員として兼務」する例が増加。その場合、業務内容や契約形態に応じて“給与扱いの報酬”と“役員報酬”を明確に分け、DX化された「給与計算システム」で処理しているケースが多い。

役員報酬の設計・管理で失敗しないための8つの実践アクション

  • 1. 「定期同額報酬」の原則を遵守
    役員報酬は、毎月同額で支払わなければ原則として損金扱いにならず、税務調査で否認される恐れがあります。設計時には期首に必ず金額を決定し、年度途中の変更は原則不可。経営計画に連動して「賞与ではなく報酬に反映」する工夫を。
  • 2. 就業規則とは別に「役員規程」を整備
    役員の報酬体系や支給方法は、一般従業員の就業規則とは区別が必要。大阪の企業C社では、「役員報酬規程」を策定したことで税務・労務トラブルを未然に防げた。
  • 3. 社会保険加入の基準を明確化
    非常勤役員や報酬ゼロの役員は社会保険の加入義務がないことも。ただし“実態として業務に従事しているか”が問われるため、社労士による判断を仰ぐべきです。
  • 4. 助成金申請に際しての区分明確化
    雇用関係助成金(人材開発支援助成金など)は、役員を労働者としてカウントすると不支給の原因に。東京の商社D社では、顧問社労士の助言により申請書の「役員除外」が適切に行われ、無事150万円を受給。
  • 5. 報酬決定の社内フローを整備
    役員報酬は株主総会や取締役会の議決が必要。議事録や承認プロセスを文書化し、外部から見ても適正に設計されていることを示すべきです。
  • 6. アウトソースによる手続きの正確性向上
    福岡の医療法人E社では、役員報酬の処理をアウトソース化。ミスなく手続きされ、税務署からの問い合わせも激減。特に報酬支払い時の「源泉所得税・社会保険料」の計算ミスがゼロに。
  • 7. 給与計算システムに役員区分を設定
    DX推進により、給与計算ソフトで「役員」「一般社員」の区分が容易に可能に。自動計算により社内での確認漏れや人為的ミスを防止。
  • 8. 顧問社労士・税理士との連携を強化
    役員報酬は「労務+税務」の両面を理解して設計する必要があり、専門家との月次面談や年次見直しが不可欠。名古屋の企業F社では、社労士と税理士が連携し、役員報酬の再設計で年間120万円の節税に成功。
  • 【やってはいけない行動】役員に賞与を出す
    原則として、役員への賞与は損金扱いになりません。例外として「事前確定届出給与」の制度はありますが、届出や支給時期を誤ると逆にリスクとなります。

よくある疑問に答えます!役員報酬Q&A

Q. 役員にも有給休暇や残業手当は必要ですか?
A. 原則として不要です。役員は労働者ではないため、労基法の適用対象外。ただし「役員兼務社員」として雇用契約がある場合は別です。勤務実態や契約内容により判断が分かれます。

Q. 役員報酬を途中で増額・減額しても問題ない?
A. 原則NGです。税務上は「定期同額給与」でなければ損金算入できません。ただし「経営状況の急変」「法令による変更」など一定の例外あり。顧問税理士・社労士に必ず相談を。

Q. 雇用調整助成金で役員も対象になる?
A. なりません。あくまで“労働者”が対象であり、役員は支給対象外。人数カウントも慎重に。誤って記載すると不支給や返還命令の対象になります。

Q. 「給与をもらってるから従業員扱いでいい」は正しい?
A. 間違いです。報酬の「名目」ではなく「実態(雇用契約の有無・業務内容・裁量性)」が判断基準。給与処理されていても役員であれば、労基法の対象外になります。

まとめ:役員報酬の正しい理解と実務で、企業リスクを回避しよう

本記事では、役員報酬と給与の違い、制度背景、税務・労務上のポイント、助成金や手続き面の注意点を解説しました。東京・大阪・名古屋・福岡など、全国の中堅企業でトラブルが増えているテーマでもあります。

「うちも実は曖昧にしていたかも…」という方は、今すぐ顧問社労士や税理士と協議し、役員報酬の適正な設計とDXによる管理体制の整備をおすすめします。正しく設計すれば、税務リスクも助成金不支給も未然に防げます。

今後も法改正が想定される分野だからこそ、プロと連携して備えていきましょう。

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