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【残業申請制とは?】運用のコツとトラブル防止策を社労士が徹底解説
「社員が勝手に残業してしまう」「残業代の管理がずさんで困っている」「就業規則に“残業申請制”を入れたいが、法律的に問題はない?」
大阪・東京・福岡・名古屋などの中小企業でも、働き方改革や労働時間の適正管理への関心が高まる中、残業申請制(=事前申請制)を導入する企業が増えています。
しかし「申請していない残業には賃金を払わない」といった誤解も多く、制度設計や運用を誤ると、労働基準法違反や未払残業代トラブルにつながる可能性があります。
この記事では、残業申請制の法的な位置づけ、導入時の就業規則の書き方、企業にとってのメリット・デメリット、そして運用上の注意点まで、社労士の視点から詳しく解説します。
残業申請制とは?
■ 概要
残業(時間外労働)を行う場合、事前に上司の許可・申請を必要とする制度です。これにより、労働時間の見える化と抑制が期待できます。
■ 目的
- 無駄な残業の抑制
- 人件費(残業代)の管理
- 長時間労働の是正
- 業務の効率化
残業申請制の法的ポイント
■ 残業申請がなくても「労働」があれば賃金発生
労働基準法では、「使用者の明示的または黙示的な指示」によって行われた労働については、申請の有無にかかわらず賃金支払い義務が生じます。
つまり、「申請していないから支払わない」は違法となるリスクがあります。
■ 黙認残業とは?
申請なしでも、上司が黙って残業を見逃していた場合、それは黙示の指示=労働時間としてカウントされ、残業代が発生します。
■ 残業の許可制=残業代不払いの根拠にはならない
制度を導入しても、運用と指導がセットで必要です。
就業規則・制度設計での書き方とポイント
■ 記載例(モデル文)
社員が所定労働時間外に労働を行う場合は、事前に所属長の承認を得なければならない。
事前承認のない残業については、原則として認めないものとする。ただし、業務上やむを得ない事情がある場合は、事後申請により認めることがある。
■ ポイント
- 原則=事前申請/例外=事後承認を明記する
- 労働時間の記録と実態に齟齬が出ないようにする
- PCログ・入退館記録など、客観的データの整備も有効
- ルールに違反した社員への注意指導ルールも就業規則に盛り込む
企業にとってのメリット・デメリット
■ メリット
- 無駄な残業の抑制
- 残業代の予算管理がしやすい
- 労働時間の「見える化」ができる
- 業務改善のきっかけになる
■ デメリット・注意点
- 現場の柔軟性が失われる恐れ
- 制度導入だけで「残業ゼロ」にはならない
- 許可していない残業をどう扱うかが重要
- 管理職・現場に負担がかかることも
Q&A:残業申請制の運用に関する疑問
Q. 勝手に残業した社員に残業代は払う必要ありますか?
A. 原則として実際に働いていた時間に対して支払う義務があります。就業規則上の制限だけでは免責されません。
Q. 管理職にも残業申請させるべき?
A. 管理監督者(労基法第41条該当者)以外は、管理職でも残業時間の申請・管理が必要です。
Q. 「事後承認」でも良いの?
A. 業務の緊急性などを理由に事後承認を認める運用も可能です。ただし、頻発するようなら仕組みの見直しが必要です。
Q. 就業規則に書いていないが、口頭でルール化している場合は?
A. 明文化されていないルールは法的な効力が弱く、トラブル時に証明が難しいです。就業規則や服務規律にしっかり記載しましょう。
まとめ:残業申請制は「制度+教育+記録」で機能する
残業申請制は、働き方改革の流れの中で非常に有効な制度です。しかし、制度設計を誤ると未払い残業代や不信感の温床にもなりかねません。
大阪・東京・名古屋・福岡などで導入を進める企業では、顧問社労士と連携し、就業規則・給与計算・労務管理DXを一体で整備する動きが加速しています。
「制度を作るだけ」ではなく、実際に運用され、従業員にも納得される仕組みづくりこそが、残業管理の鍵となります。
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