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【歩合給とは?】トラブルを防ぐための給与制度設計と実務対応のポイント

2025.07.04 スタッフブログ

「歩合給ってどうやって決めるの?」「売上ゼロの月でも支給しないと違法?」「歩合制って残業代どうなるの?」

大阪・東京・名古屋・福岡などの営業系・サービス業中心の企業では、歩合給(インセンティブ制)を導入している会社が増えています。

しかし、制度設計が曖昧なまま運用してしまうと、労働時間との整合性・最低賃金の保証・就業規則との不一致など、多くのトラブルにつながります。特に従業員数100名以上の企業では、適切な給与設計と労務手続きが求められます。

この記事では、歩合給の基本構造、メリット・注意点、制度設計と給与計算の方法、そして社労士の視点から見たリスク回避策を徹底解説します。

歩合給とは?定義と給与制度の分類

■ 歩合給の定義

歩合給とは、労働者の成果や売上高などに応じて変動する給与のことです。「インセンティブ給」「出来高払い」「業績連動給」とも呼ばれます。

■ よくある歩合給の構成パターン

  • 基本給+歩合給:最低保障あり。一般的な営業職など。
  • 完全歩合給:成果に応じて100%変動(原則NG。一定の条件下でのみ許容)。

■ 法的な前提条件

  • 最低賃金以上の保障:成果がゼロでも法定賃金(地域別最低賃金)を下回ってはならない
  • 労働時間との整合:変形労働制・フレックスなどとの組合せに注意
  • 残業代の基礎賃金に含む:歩合給は「割増賃金の計算基礎」に含まれるため注意

歩合給制度のメリットとリスク

◆ メリット

  • 成果へのモチベーション向上
  • 人件費の変動費化により経営リスク抑制
  • 人事評価・査定制度と連動しやすい

◆ リスク

  • 売上不振で生活不安→従業員の離職
  • 最低賃金未満で労基法違反リスク
  • 歩合率や支給基準に不満・不透明感

歩合給導入のポイント|制度設計・計算・トラブル防止

  1. 1. 歩合給の支給対象を明確化
    例:受注額、粗利、販売件数など。曖昧な基準はトラブルの元。
  2. 2. 歩合率・計算方法を明文化
    「売上の5%」「粗利の3%」など、数式化+表記ルールを就業規則か別規程に記載。
  3. 3. 成果確定のタイミングを定める
    「納品完了時」「入金確認時」など、成果発生の条件を文書化。
  4. 4. 支給時期・締日を固定する
    月末締・翌月20日支給など、歩合部分だけ遅配にならないよう要注意。
  5. 5. 保証給(基本給)を最低賃金以上に設定
    たとえ成果ゼロでも法的基準は下回らないよう設計。
  6. 6. 歩合給の割増賃金計算を正確に
    残業代・深夜・休日出勤の割増対象に含まれる点を踏まえ、歩合給も「基礎賃金」に含めて再計算が必要。
  7. 7. DXツールで計算ミス防止
    クラウド型給与計算システム(例:freee、マネーフォワード)で、個別歩合設定・自動反映が可能。
  8. 8. 就業規則・賃金規程との整合を保つ
    歩合給の定義・計算式・支給条件を就業規則に反映。顧問社労士の監修推奨。

Q&A:歩合給に関するよくある疑問

Q. 完全歩合制って合法なの?

A. 条件付きで可能ですが、最低賃金保障・労働時間管理・雇用契約明示が絶対条件です。実務上は「最低保証付き歩合制」が無難です。

Q. 歩合給に残業代はつくの?

A. はい、歩合給も割増賃金の対象です。たとえば「売上に応じた10万円」の歩合給は、時給換算して基礎賃金に含める必要があります。

Q. 成果がなかった月に給与ゼロでもいい?

A. いいえ。労働の対価として最低賃金を支払う義務があります。基本給ゼロの完全歩合制はリスクが非常に高いです。

Q. 歩合給を一時的に支払わない契約はできる?

A. 原則として、契約時に明示された条件を変えるには本人の同意が必要です。一方的な未払いは債務不履行になります。

まとめ:歩合給制度は「透明性」と「法令対応」が成功のカギ

歩合給は、営業成績に連動した公平な評価が可能な一方で、制度設計を誤ると重大な労務トラブルにつながります。

特に従業員100名以上の企業では、給与計算・手続き・就業規則・DX・助成金との整合性を含めて、全体設計が不可欠です。

「歩合給は売上連動型の成果給」だと理解し、社内ルールを明文化・共有・運用することで、納得感ある制度運用を実現しましょう。

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