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知らないと損する!「役員報酬」と「給与」の違いと正しい使い分け
「役員報酬と社員の給与、税金も保険も同じ扱い?」「役員にも残業代って出るの?」「家族を役員にしたらどうなる?」——従業員100名以上の中小企業の経営者・総務担当者がつまずきがちなのが、役員報酬と給与の違いです。
導入:よくある3つの混乱
- ・役員にも給与計算ソフトで給与を出しているが、これで正しいのか?
- ・役員を途中で追加した場合、報酬はいつから出せる?
- ・東京・大阪・福岡・名古屋の各拠点で処遇がバラバラになっている
このような混乱の多くは、「役員=従業員」ではないという法的な立場の違いを理解していないことに起因します。この記事では、役員報酬と給与の違いを法律・税務・社会保険の3つの視点からわかりやすく解説し、正しく設計・運用するための実務ポイントを提示します。
そもそも「役員報酬」と「給与」の定義の違い
役員とは?
会社法に基づき、会社の経営に関与する立場にある者(代表取締役、取締役、監査役など)で、従業員ではありません。雇用契約ではなく、委任契約や任意契約に基づいています。
給与とは?
労働基準法上の労働者(従業員)が、会社との雇用契約に基づいて労務提供を行い、その対価として支払われる賃金です。
大きく異なる3つのポイント
- ① 法的立場:役員は“経営者”、従業員は“労働者”
- ② 社会保険:等級、加入義務、保険料負担の計算が異なる
- ③ 税務処理:損金算入の条件が厳しく、期中変更に注意
よくある誤解
- ・「役員にも残業代がつく」→ × 法的には対象外
- ・「役員報酬は好きに変えられる」→ × 法人税上の規定あり
- ・「役員に賞与を出せば節税になる」→ × 要届出・制限あり
実務で押さえるべき8つのポイント
- ① 役員報酬は原則、定期同額が必要
毎月同じ金額を支給しなければ、税務上損金として認められません。途中変更は基本NG。 - ② 役員賞与は「事前確定届出」が必須
届出を出さずに賞与を支給すると、全額損金不算入となります。届出期限に要注意。 - ③ 社会保険の等級設定に注意
報酬額に応じて健康保険・厚生年金の保険料が決定されます。高額すぎると保険料も膨大に。 - ④ 給与計算ソフトでも「役員区分」で設定
社員と同じく給与計算ソフトを使えますが、役員扱いの設定が必要です。 - ⑤ 家族を役員にする場合のリスク管理
税務署から“同族会社”と見なされ、役員報酬の適正性が問われるケースも。 - ⑥ 助成金対象外となることも
役員は「労働者」ではないため、キャリアアップ助成金などの対象から除外されることがあります。 - ⑦ 就業規則との整合性をチェック
社員用の就業規則に役員を含めないよう注意。別途「役員規程」を設けることが望ましいです。 - ⑧ アウトソースによるリスク回避
給与計算・社会保険・手続きを社労士にアウトソースすれば、法的ミスや税務否認のリスクを低減できます。
よくある質問に答えます
Q. 役員にも有給休暇はありますか?
A. 原則としてありません。役員は労働者ではないため、労働基準法の適用外です。
Q. 役員報酬をゼロにすることはできますか?
A. 可能ですが、社会保険の資格喪失や、節税・助成金の観点から慎重な判断が必要です。
Q. 役員報酬の見直しタイミングは?
A. 原則として事業年度開始後3ヶ月以内が変更可能期間です。以降の変更は原則NG。
Q. 一人会社でも社会保険は必要?
A. はい。法人化している場合、役員1人でも厚生年金・健康保険への加入義務があります。
まとめ:「役員報酬と給与」は別物、正しい運用が会社を守る
役員報酬と社員給与は、見た目は似ていても法的・税務的には全く別物です。大阪・東京・福岡・名古屋など拠点ごとの運用ルールや社会保険、給与計算の設定に注意しないと、大きなトラブルに発展します。
顧問社労士や税理士と連携し、アウトソースを活用して正しい設計と手続きを行いましょう。経営と法務、労務を両立させるカギは、“違い”を理解することから始まります。
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