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中小企業は2023年4月から残業代が高くなります

2022.08.23 社労士コラム

現行法では、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える時間外労働(法定時間外労働)に対して、事業主は25%以上の率で計算した割増賃金を支払うこととなっています。

ただし、2010年4月より大企業については、月60時間を超える時間外労働をさせると割増率が引き上げられるルールが適用されています。

中小企業にも割増率引き上げが適用開始される

割増率の引き上げは中小企業には 長らく猶予期間が適用されていました。しかし、いよいよ2023年4月からは大企業と同様に、月60時間超えの残業の割増率が現在の25%以上から50%以上に引き上げられます。

(例)時給1200円の従業員が残業した場合

残業すると時給は1500円になります。

その従業員が60時間以上の残業をすると、60時間を超えた残業分については時給1800円となります。

さらに、60時間を超える時間外労働を深夜(22時から5時)に行う時は、時間外割増50%に追加して深夜労働割増25%を上乗せするので、合計75%割増しの2100円になります。


2022年4月からは、残業代未払いに対しての賃金請求権の時効が2年から3年(※)に延びていますので、給与計算ミスで未払いを起こしてしまうと、後から多額の未払い賃金を一気に支払うような事態も起こりかねません。

恒常的に残業が60時間を超えている事業所は、給与計算が煩雑になる上、人件費負担が多くなることは間違いないですので、なんとか対策を考えておく必要があります。


※ 2020年4月1日以降に支払日の到来した賃金請求権(残業代請求権)の消滅時効の時効期間が3年です。2020年3月31日までに支払日の到来した賃金請求権(残業代請求権)については、消滅時効の時効期間は2年となります

会社がとるべき対策とは?

-1- 代替休暇を設ける

月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するために、引き上げ分割増賃金を支給する代わりに有給の代替休暇を付与することが認められています。

-2- 労働時間の適正な現状把握をする

勤怠管理システムの導入などで勤怠管理をする。長時間労働を是正管理する。

50%以上の割増賃金を支払う必要があるのは、1か月の起算日から累計した時間外労働時間数が60時間を超えた時点からです。

月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、それ以外の休日(法定外休日)に行った労働時間は含まれます。

ヒトの手で集計するのは、ミスのリスクや労力の面で適切とはいえません。出来るだけ勤怠システムを導入するなどして正確に管理することが求められます。

勤怠管理や給与計算のミス削減、効率化について別のコラムで解説していますので、よければ こちら も参考にしてシステムの活用を検討してみてください。

-3- 就業規則の変更

多くの会社の現状の就業規則の規定は、おそらく割増率引き上げ後の計算ルールを満たしていないでしょう。法律以下のルールを定めた就業規則の規定は無効となるだけでなく、労働基準監督署の指導の対象となりますので、制度改正に合わせてしっかりバージョンアップしておきましょう。

残業代対策したいなら、残業時間を減らすしかない

月60時間を超える時間外労働が発生するのであれば、どうあがいても割増率の引き上げは避けては通れません。残業代対策したいという会社は、根本的に従業員の残業時間を減らす改革を行う必要があります。

従業員の残業時間を減らすためには、

・人材の確保

・生産性の向上

いずれかによって一人あたりの労働時間を短くするしかありません。

昨今は労働人口の減少により、なかなか欲しい人材が採用できないと悩む会社も多くありますので、人材の確保は、思うように進まないということも想定されます。

そのような会社でしたら、無駄な作業を効率化し、ヒトの力を代替する機器や設備の導入、労働者の能力開発を図る方が賢明かもしれません。

そのような生産性向上のための取組に対しては、「働き方改革推進支援助成金」や「業務改善助成金」等、環境整備に必要な費用の一部が助成される制度がありますので、積極的に活用していきましょう。

「働き方改革推進支援助成金」については、別のコラムで概要を解説していますので、よければ こちら から一度目を通してみてくださいね!

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