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【大阪難波の社労士】最低賃金の計算方法は?2023年10月の改定額も解説

2023.09.28 スタッフブログ

大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。

企業や組織を経営する際は最低賃金を遵守する必要がありますが、担当者様の中には「計算方法がよくわからない」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では最低賃金の簡単な計算方法について、時間給・日給・月給・出来高払いなどの種類別に紹介します。また2023年10月の改定額も解説するため、ぜひ参考にしてください。

最低賃金の概要

最低賃金とは、使用者が労働者に対して支払わなければいけない、賃金の最低額を指します。最低賃金法によって定められており、賃金の最低額を保障し、労働条件の改善を図ることが主な目的です。

以下で最低賃金の種類や対象者、含まれるもの・含まれないものを紹介します。

参照:厚生労働省「最低賃金制度の意義・役割について

2つの種類

最低賃金とひと口にいっても、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類に分けられます。地域別最低賃金は、各都道府県内にある事業場の使用者と労働者が対象で、産業や職種は問いません。

一方の特定(産業別)最低賃金は、特定の産業ごとに設定されているものです。地域別最低賃金より高い水準で最低賃金を定める必要があると認めた場合に設定され、2023年9月1日現在、大阪府では塗料製造業や金属線製品製造業、はん用機械器具製造業などがあります。

参照:大阪労働局「大阪府の最低賃金のお知らせ

制度の対象者

最低賃金は正社員だけでなく、アルバイトやパートタイム労働者など、雇用形態に関係なく適用されます。

ただし、最低賃金を一律に設定することで雇用機会をせばめるケースもあるため、都道府県労働局長の許可を得られれば、個別で最低賃金額の減額が認められています。

最低賃金に含まれるもの・含まれないもの

最低賃金には、含まれるものと含まれないものがあります。以下はそれぞれの一例です。

含まれるもの

  • 基本給
  • 諸手当(以下で紹介する、含まれないもの以外)

含まれないもの

  • 時間外手当
  • 休日手当
  • 深夜手当
  • 精皆勤手当
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 賞与といった1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 結婚手当といった臨時に支払われる賃金

たとえば、営業手当や資格手当など基本給に上乗せされる形で支払われるものは、最低賃金に含まれます。

参照:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金

【種類別】最低賃金の計算方法

時間給・日給・月給・出来高払いなど、種類別に最低賃金の計算方法は異なります。ただし、最低賃金は基本的に時間単位で設定されているため、どの種類も時給をベースにして計算します。

以下で種類別の計算方法を見ていきましょう。

時間給

時間給の場合は「時間給≧最低賃金額」があてはまるため、最も簡単に最低賃金がわかります。

特に計算する必要はなく、時間給そのままの金額が最低賃金額をクリアしているかどうかをチェックすれば大丈夫です。

日給

日給は「日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額」で計算します。

たとえば、日給が1万円で1日の所定労働時間が8時間だった場合は「1万円÷8時間」の計算式で、時給は1,250円です。休憩時間を引くのを忘れないようにしましょう。

ただし、特定最低賃金が定められている事業所で、かつ、日額が定められている場合は異なります。「日給≧最低賃金額(日額)」が適用され、日給を最低賃金額(日額)と比較します。

月給

月給の場合は「月給÷1カ月の平均所定労働時間≧最低賃金額」で計算します。

月給が20万円で1カ月の平均所定労働時間が160時間だった場合、計算式は「20万円÷160時間」となり、時給は1,250円です。

月給制では資格手当や時間外手当、家族手当といった各種の手当てを支給しているところが少なくありません。前述したように、手当の種類によっては最低賃金の対象とならないため、注意が必要です。

出来高払いなど

出来高払いや請負制は歩合制と呼ばれており、労働時間ではなく成果によって賃金が支払われるスタイルです。「賃金の総額÷総労働時間≧最低賃金額」で計算します。

たとえば、ひと月の賃金が30万円で総労働時間が200時間だった場合、計算式は「30万円÷200時間」で、時給は1,500円です。

【2023年10月】地域別最低賃金の改定額

地域別最低賃金は、労働者の生計費・類似の労働者の賃金・通常の事業の賃金支払い能力の3点から勘案し、毎年10月に見直されます。2023年10月からの全国最低賃金の平均額は1,002円で、初めて1,000円を超えました。以下は大阪府近辺や主要都市の改定額です。

都道府県 答申された改定額 引き上げ額 発行予定年月日
大阪府 1,064円 41円 2023年10月1日
京都府 1,008円 40円 2023年10月6日
兵庫県 1,001円 41円 2023年10月1日
奈良県 936円 40円 2023年10月1日
東京都 1,113円 41円 2023年10月1日

最低賃金額がアップすると、当然のことながら、雇用する側の費用負担が大きくなります。賃金引き上げに際して活用できるのが、厚生労働省の業務改善助成金です。事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などをした場合に、費用の一部を助成するものです。

当事務所で助成金の申請代行をしておりますので、ぜひご相談ください。

参照:厚生労働省「令和5年度 地域別最低賃金 答申状況
参照:厚生労働省「業務改善助成金

最低賃金のルールを守らなかった場合

地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合は、最低賃金法第40条によって、50万円以下の罰金に科される可能性があります。特定(産業別)最低賃金に最低賃金法の罰則は適用されないものの、代わりに労働基準法第12条によって、30万円以下の罰金に科される可能性が生じます。

たとえ労働者と使用者の合意によって最低賃金額以下の賃金で契約しても、契約内容は無効となるため、注意しましょう。

まとめ

最低賃金は法律で規定されており、従業員を雇用する際は賃金額を守らなければいけません。時間給・日給・月給・出来高払いなどの種類によって計算方法が異なるため、それぞれで正確に計算することが大切です。

また2023年10月からは地域別最低賃金が改定され、新しい額に従う必要があります。賃金引き上げに際しては、業務改善助成金を活用するのがおすすめです。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。給与計算のサポートや各種助成金の申請代行などに応じているため、ぜひお気軽にご相談ください。

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