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役員報酬の定期同額給与の改定はいつまでできる?適切な時期と減額の条件を説明します!

2025.12.20 社労士コラム

役員報酬は、企業の経営戦略を具現化する上で極めて重要な要素であり、その設定は税務上の損金算入の可否にも直接関わるため、多くの経営者がその運用方法について深い関心を寄せています。
特に、役員報酬が損金として認められるための要件である定期同額給与のルールは、適正な税務処理を行う上で理解しておくべき事項です。
事業年度の途中で役員報酬の見直しを検討する際には、そのタイミングや変更内容が税務上の不利益に繋がらないよう、細心の注意が必要です。
今回は、役員報酬の改定に関する税務上のルールや、期中改定が認められる例外的なケースについて、具体的な判断基準を交えながら解説を進めてまいります。

役員報酬の定期同額給与改定はいつまでできる?

定期同額給与の原則毎月同額支給が基本

役員報酬が税務上、法人の所得から損金として算入を認められるためには、その支給額が定期同額給与であるという原則を満たす必要があります。
この定期同額給与とは、具体的には、役員に対して毎月支給される給与の金額が、たとえ事業年度の途中で変更されたとしても、その変更前の期間と変更後の期間において、それぞれ同額である状態を指します。
つまり、原則として、役員報酬は毎月同じ金額で支給されることが、税務上の安全かつ明確な取り扱いとなります。
この毎月同額という基本原則を理解することが、役員報酬の適正な設定と管理の第一歩となります。

役員報酬の改定時期原則は事業年度開始前

役員報酬の金額を変更することが税務上認められる一般的な時期は、原則として、その変更が適用される事業年度の開始前であると定められています。
これは、役員報酬の額が、その事業年度における企業の収益計画や予算編成に深く関わる要素であるため、年度の途中において頻繁に金額が変動することを防ぎ、より正確で適正な税務処理を担保することを目的としています。
したがって、役員報酬の改定を検討する際には、来たるべき新しい事業年度が始まる前に、その改定内容を正式に決定しておくことが、税務上のリスクを回避する上で極めて重要となります。

期中改定は原則NG例外規定を確認

原則として、事業年度の途中で役員報酬の金額を増額改定することは、税務上、損金として認められず、法人税の課税対象となるため、避けるべきです。
しかしながら、役員報酬を期中に減額改定する場合には、例外的に損金算入が認められるケースが存在します。
その例外とは、業績悪化改定事由に該当する場合であり、この規定に則った減額であれば、所定の要件を満たすことで税務上の不利益を回避できる可能性があります。
この例外規定を適用するためには、その減額が経営上のやむを得ない措置であることを客観的に示す必要があり、厳格な要件の確認が必要です。

役員報酬の減額改定業績悪化改定事由の判断基準

業績悪化改定事由に該当する具体的なケース

役員報酬を事業年度の途中で減額改定し、それを税務上損金として算入するためには、それが業績悪化改定事由に該当すると認められる必要があります。
この業績悪化改定事由とは、具体的には、企業の業績が著しく悪化し、経営状況が継続的に逼迫しているような状態を指します。
例えば、予期せぬ大規模な自然災害や、市場環境の劇的な変化、あるいは深刻な業績不振により、企業の存続自体が危ぶまれるような状況などが、この業績悪化改定事由に該当しうるケースとして挙げられます。
これらの状況下では、役員報酬の減額が、経営改善に向けたやむを得ない措置と判断されることがあります。

客観的な判断基準となる経営状況の悪化

業績悪化改定事由と判断され、役員報酬の期中減額改定が税務上認められるためには、主観的な判断だけでなく、客観的かつ合理的な経営状況の悪化を示す基準が必要です。
単に一時的な業績の落ち込みでは認められず、例えば、継続的な大幅な売上高の減少、売上総利益率や営業利益率の顕著な低下、さらには債務超過に陥るような深刻な財務状況の悪化などが、客観的な判断基準となり得ます。
これらの指標は、企業の事業計画や過去の業績、あるいは同業他社の状況と比較して、著しく不利な状況にあることを具体的に裏付けるものでなければなりません。

まとめ

役員報酬を税務上の損金として計上するためには、原則として毎月同額を支給する定期同額給与のルール遵守が求められ、改定は事業年度開始前に行うのが基本となります。
事業年度途中の役員報酬の減額改定は業績悪化改定事由に該当する場合に限り例外的に認められますが、その判断には、売上高や利益率の低下といった客観的かつ具体的な経営状況の悪化を示す必要があります。
安易な期中改定は税務調査で否認されるリスクを伴うため、自社の状況に応じて慎重に判断しましょう。

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