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休業手当金とは?制度・計算方法・請求手続きを解説
休業手当は、企業の都合で従業員が働けない状況になった際に支給される手当です。
従業員の生活を守る上で重要な制度ですが、その支給条件や計算方法は複雑で、人事担当者にとって理解が難しい点も多いでしょう。
特に、労災保険との違いや、様々な休業の種類における適用について、明確な理解が必要です。
今回は、休業手当に関する疑問を解消し、スムーズな請求・支給を実現するための情報を提供します。
人事担当者の皆様にとって役立つ情報を網羅的に解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
休業手当の支給条件
使用者の責に帰すべき事由とは
休業手当は、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合に支給されます。
これは、企業側の都合、例えば経営不振、資材不足、設備故障などによって従業員が働けなくなった場合を指します。
従業員個人の都合による欠勤とは明確に区別される点に注意が必要です。
企業側の故意・過失はもちろん、予見可能性のあるリスク管理の不備も含まれます。
休業手当の対象となる事由
対象となる事由は多岐に渡ります。
例えば、企業の都合による一時的な操業停止、事業場の閉鎖、配置転換による休業などが挙げられます。
また、新型コロナウイルス感染拡大による休業も、企業の判断で自主的な休業措置を取った場合は対象となる可能性があります。
ただし、感染症法に基づく行政による休業指示などは、使用者の責に帰すべき事由とはみなされません。
個々のケースにおける判断は、状況証拠などを総合的に判断する必要があります。
関連法規の解説
休業手当の根拠となるのは、労働基準法第26条です。
同条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と規定されています。
この規定に基づき、企業は従業員への休業手当の支払義務を負うことになります。
ただし、労働協約や就業規則でより有利な条件が定められている場合は、そちらが優先されます。
休業手当の計算方法と請求
平均賃金の算出方法
平均賃金は、休業開始日の3ヶ月前(賃金締切日がある場合は直前の締切日)から遡って3ヶ月間の賃金総額を、その間の総日数で割って算出します。
賃金総額には、基本給に加え、通勤手当、時間外手当、賞与(分割して支給される場合)なども含まれます。
ただし、結婚手当や傷病手当などの臨時的な手当は除外される場合があります。
正確な算出には、賃金台帳などの記録を基に、細心の注意を払う必要があります。
休業手当の金額計算
平均賃金が算出できれば、休業手当の金額は、平均賃金に60%以上の割合を掛けて計算します。
例えば、平均賃金が1万円の場合、休業手当は最低6,000円となります。
1日あたりの金額を休業日数分計算し、支給額を算出します。
時間給制や日給制の場合は、最低保障金額(平均賃金の60%を1日あたりの賃金で割った額)を下回らないように注意が必要です。
労災保険との違い
休業手当と労災保険の休業補償給付は、どちらも休業中の賃金を補償する制度ですが、支給条件が大きく異なります。
休業手当は使用者の責に帰すべき事由による休業を対象とする一方、労災保険は業務上または通勤上の災害による休業を対象とします。
また、休業手当は給与所得として課税対象となるのに対し、労災保険の休業補償給付は非課税です。
両制度の適用要件を理解し、適切な手続きを選択することが重要です。
休業手当の請求手続き
休業手当の請求手続きは、企業の就業規則や労働協約に従って行われます。
一般的には、従業員が休業届を提出した後、企業が平均賃金などを算出し、休業手当を支給します。
必要な書類としては、休業届、賃金台帳、医師の診断書などが必要になる場合があります。
具体的な手続きは、企業ごとに異なるため、事前に人事部門などに確認することが重要です。
必要な書類と提出方法
休業届、賃金台帳、場合によっては医師の診断書などが必要となるでしょう。
これらの書類は、企業が定める方法で提出します。
郵送、電子メール、直接提出など、企業によって異なるため、事前に確認が必要です。
提出期限についても、企業の規定に従う必要があります。
まとめ
今回は、人事担当者にとって重要な休業手当の支給条件、計算方法、請求手続きについて解説しました。
使用者の責に帰すべき事由による休業を対象とする休業手当は、労災保険とは異なる制度であり、平均賃金の60%以上を支払う必要があります。
平均賃金の算出方法や、労災保険との違い、請求に必要な書類なども理解しておくことで、従業員への適切な対応が可能となります。
本記事が、人事担当者の皆様の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。
不明な点があれば、専門家への相談も検討ください。
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