新着情報

みなし残業手当の請求はできる?ケースと注意点

2025.06.13 社労士コラム

残業代、ちゃんと貰えていますか。
毎月の給与明細を見て、疑問を感じたことはありませんか。
実は、多くの人が知らないみなし残業手当の落とし穴があるかもしれません。
この制度、正しく理解すればメリットも多い一方、知らぬ間に損をしている可能性も秘めているのです。
そこで今回は、みなし残業手当の請求可能性と、その注意点について解説します。

みなし残業手当の請求可能性

請求できるケースとは

みなし残業手当は、一定時間分の残業代が給与に含まれている制度です。
しかし、この一定時間を超えて残業した場合、その超過分の残業代は請求できます。
例えば、月40時間分の残業代が含まれている契約で、実際には50時間残業した場合、残りの10時間分の残業代を請求できるのです。

また、みなし残業手当の金額が、法律で定められた最低賃金や割増賃金を下回っている場合も、差額を請求できる可能性があります。
休日労働や深夜労働の割増賃金が適切に支払われていない場合も同様です。

請求できないケースとは

一方、請求できないケースもあります。
まず、みなし残業時間内に収まっている場合は、超過分がないため請求できません。
また、会社が就業規則や雇用契約書にみなし残業手当の規定を明確に記載しており、かつ従業員がそれを理解し、同意している場合、みなし残業時間内の残業分は請求できません。
さらに、残業をしたという事実を証明する証拠がない場合も、請求は困難です。

請求に必要な証拠

請求には、残業をした事実を証明する証拠が必要です。
タイムカード、勤務表、パソコンのログインログ、日報、メールのやり取りなど、具体的な証拠をできるだけ多く集めましょう。
これらの証拠に加え、雇用契約書、就業規則、給与明細なども必要です。
証拠が乏しい場合でも、他の証拠と組み合わせることで、請求できる可能性があるケースもあります。

請求手続きの流れ

まず、会社に未払い残業代の支払い請求を行います。
この際、内容証明郵便で請求することで、証拠として残し、時効の進行を止める効果も期待できます。
会社が応じない場合は、労働審判や訴訟という手段も考えられます。
労働審判は訴訟より迅速な解決を目指せる一方、訴訟はより確実な回収を期待できます。
いずれの場合も、弁護士に相談することで、より有利に進めることができるでしょう。

みなし残業手当の注意点と制度概要

残業代の計算方法

残業代の計算は、1時間あたりの賃金×残業時間数×割増率で行います。
1時間あたりの賃金は、月給を平均所定労働時間で割って算出します。
割増率は、時間外労働で25%、深夜労働で25%、休日労働で35%など、労働の種類によって異なります。
みなし残業時間を超えた場合は、超過時間分の残業代を上記計算式で算出し、請求することができます。

みなし残業手当のメリット

企業にとって、人件費の見通しが立てやすくなり、残業代計算の手間が省けるというメリットがあります。
従業員にとっては、残業が少ない月でも一定額の残業代が得られるため、収入が安定します。
また、残業時間の削減を促す効果も期待できます。

みなし残業手当のデメリット

企業は、残業が少ない場合でも、みなし残業時間分の残業代を支払わなければなりません。
そのため、人件費が高くなる可能性があります。
また、サービス残業や長時間労働が横行するリスクも伴います。
従業員は、みなし残業時間を超えた分の残業代を請求する手続きが必要となるなど、制度の理解が不足すると、不利益を被る可能性があります。

違法となるケース

基本給が最低賃金を下回っている場合、残業代の割増率が法定基準を満たしていない場合、みなし残業時間を超えた分の残業代が支払われていない場合、給与明細に実際の労働時間が記載されていない場合、みなし残業時間が45時間を超えている場合などは違法となる可能性があります。
これらの違法性については、専門家に相談することが重要です。

導入時の注意点

みなし残業手当を導入する際は、就業規則や雇用契約書に、みなし残業時間数、基本給、残業代の計算方法などを明確に記載する必要があります。
また、求人情報にも、みなし残業手当に関する情報を正確に記載することが重要です。
従業員への周知徹底も不可欠です。
導入にあたっては、労働基準法を遵守し、専門家への相談も検討しましょう。

まとめ

みなし残業手当は、メリットとデメリットの両面を持つ制度です。
請求可能性は、残業時間、最低賃金、割増賃金、そして証拠の有無によって大きく左右されます。
請求手続きは、会社との交渉から始まり、必要に応じて労働審判や訴訟へと進む可能性があります。
制度の理解を深め、不明な点があれば専門家に相談することが、権利を守る上で非常に重要です。
自分の権利を守るためにも、今回紹介した情報を活用し、賢く残業代と向き合ってください。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです