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給与の日割り計算方法を解説!3つのパターンと注意点

2025.05.04 社労士コラム

給与計算における日割り計算は、人事担当者にとって避けて通れない課題です。
中途入社や退社、休暇取得など、様々な状況で正確な計算が必要となるため、適切な方法の理解と運用が求められます。
しかし、法律で明確に計算方法が定められているわけではなく、企業の裁量に委ねられています。
今回は、給与日割り計算の方法や注意点、よくある質問などを解説し、スムーズな給与計算に役立つ情報を提供します。

給与の日割り計算方法の基礎知識

日割り計算の法的根拠と企業の裁量

給与の日割り計算に関する法律上の明確な規定はありません。
そのため、企業は独自の計算方法を定めることができます。
ただし、賃金全額払いの原則や最低賃金法には抵触しないよう、合理的な方法を選択し、就業規則などに明記して従業員に周知することが重要です。
計算方法は、事業場内で統一し、担当者によって異なる方法を用いたり、頻繁に変更したりすることは避けなければなりません。

給与の日割り計算が必要となるケース

給与の日割り計算が必要となるケースとしては、主に以下のものがあります。

・中途入社・中途退社
・欠勤・休暇(有給休暇、病気休暇など)
・育児休暇・介護休暇
・昇給・降給
・時間外労働

日割り計算における公平性と透明性の重要性

日割り計算は、従業員にとって公平で分かりやすい方法で行われるべきです。
不公平な計算方法は、従業員の不満やモチベーション低下につながるだけでなく、労使トラブルの原因にもなりかねません。
透明性を確保するため、計算方法を明確にし、給与明細に計算根拠を記載するなど、従業員の理解を得ることが重要です。

給与の日割り計算方法の3パターンを徹底解説

暦日数による計算方法

最もシンプルな方法です。
月給を当該月の暦日数で割り、出勤日数を掛けます。
計算式は「月給 ÷ 該当月の暦日数 × 出勤日数」となります。
例えば、月給20万円の従業員が31日月のうち20日勤務した場合、200,000円 ÷ 31日 × 20日 = 約129,032円となります。
月の暦日数が異なるため、支給額も変動します。

所定労働日数による計算方法

月給を当該月の所定労働日数で割り、出勤日数を掛けます。
計算式は「月給 ÷ 該当月の所定労働日数 × 出勤日数」です。
例えば、月給20万円、所定労働日数20日の月のうち15日勤務した場合、200,000円 ÷ 20日 × 15日 = 150,000円となります。
暦日数による方法よりも1日あたりの金額が高くなる傾向があります。

月平均所定労働日数による計算方法

年間所定労働日数を12で割り、月平均所定労働日数を算出します。
月給をこの数値で割り、出勤日数を掛けます。
計算式は「月給 ÷ 月平均所定労働日数 × 出勤日数」です。
年間を通じて一定の基準で計算できるため、公平性が高いとされます。

3つの計算方法の比較と選択ポイント

3つの計算方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
暦日数はシンプルですが、月によって支給額が変動します。
所定労働日数は1日あたりの金額が高くなりますが、休日数の影響を受けます。
月平均所定労働日数は公平性が高い一方、計算がやや複雑です。
企業の状況や従業員の属性などを考慮し、最適な方法を選択する必要があります。

給与日割り計算の具体的な手順と計算例

・必要な情報の確認:月給、出勤日数、当該月の暦日数または所定労働日数、月平均所定労働日数など。

・計算方法の決定:上記3つの方法から選択。

・計算の実施:選択した計算式に従って計算。

・端数処理:切り上げ、切り捨て、四捨五入など、就業規則に則って処理。

・給与明細への記載:計算過程と結果を明記し、従業員の理解を促す。

各種手当の取り扱いと日割り計算への適用

通勤手当、家族手当など、各種手当の取り扱いも就業規則に明記する必要があります。
生活費補助的な手当は日割り計算の対象外とする場合が多い一方、職務手当や役職手当などは日割り計算の対象とするのが一般的です。

端数処理の方法と注意点

端数処理についても、就業規則に明記する必要があります。
一般的には、従業員に有利な方法(切り上げなど)を選択することが推奨されます。

よくある質問とトラブルシューティング

・日割り計算の対象となる休暇は?
・アルバイトやパートへの適用方法は?
・計算ミスが発生した場合の対応は?
など、事前に想定される質問への回答を用意しておくと、トラブル発生を予防できます。

まとめ

給与日割り計算は、法律で明確に定められていないため、企業独自のルールを定める必要があります。
本記事で紹介した3つの計算方法を参考に、自社に最適な方法を選択し、就業規則などに明記することで、公平性と透明性を確保し、従業員とのトラブルを回避することが重要です。
計算方法の選定だけでなく、各種手当の扱い、端数処理、よくある質問への対応などを事前に明確化することで、スムーズな給与計算を実現できます。
従業員への周知徹底も忘れずに行いましょう。

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