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勤怠管理のミスをなくす!システム導入なしで実現するプロの改善策7選

2026.01.04 勤怠管理

導入

「毎月の給与計算前になると、タイムカードの集計ミスや打刻漏れの確認で残業が続いている」「高価な勤怠管理システムを導入する予算はないが、法改正には対応しなければならない」

勤怠管理のミスをなくす!システム導入なしで実現するプロの改善策7選

多くの中小企業の現場では、こうした勤怠管理の悩みが尽きません。働き方改革関連法の施行により、残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化など、企業に求められる管理レベルは年々高まっています。しかし、コストや社内文化の壁により、システム導入に踏み切れない企業も少なくありません。

実は、高機能なシステムがなくとも、運用フローの見直しとExcelなどの既存ツールの活用、そして「意識の改革」によって、勤怠管理の精度を劇的に向上させることは可能です。本記事では、社会保険労務士法人の専門的知見に基づき、システム導入なしで勤怠管理のミスを極限まで減らし、法令遵守を徹底するための具体的な改善策を解説します。手作業特有のリスクを排除し、監査にも耐えうる堅牢な管理体制を構築するためのプロの手法を公開します。

勤怠管理のミス、その真の原因を特定する3つの視点

勤怠管理におけるミスを単なる「不注意」で片付けてはいけません。再発を防ぐためには、ミスの根本原因を構造的に分解し、特定する必要があります。以下の3つの視点から、自社の現状を分析することから始めましょう。

1. プロセスに潜む「転記」のリスク

アナログ管理で最もミスが発生しやすいのが、情報の「転記」プロセスです。タイムカードから集計用紙へ、集計用紙からExcelへ、Excelから給与ソフトへと、データが移動する回数が多いほど、入力ミスや行のズレといったヒューマンエラーが発生する確率は飛躍的に高まります。また、手書きの数字(特に「1」と「7」、「0」と「6」など)の読み間違いも、給与計算ミスの典型的な原因です。

2. ルールの曖昧さと「事後承認」の常態化

「残業申請は口頭で済ませている」「有給休暇の申請書が締め日ギリギリに出される」といったルールの形骸化も大きな原因です。事前に申請・承認されてない残業や休日出勤は、管理者と従業員の間で認識のズレを生みやすく、結果として労働時間の集計ミスや未払い残業代のトラブルに直結します。ルールが曖昧だと、修正対応に追われる時間が膨大になります。

3. 法令認識の欠如と「独自ルール」の横行

労働基準法では原則として「1分単位」での労働時間把握が求められますが、現場では依然として「15分単位で切り捨て」といった独自の(そして違法な)端数処理が行われているケースが見受けられます。また、休憩時間が実際には取れていないのに自動的に控除しているケースなど、現場の運用と法令とのギャップが、管理上の歪み=ミスを生む温床となります。

システム導入なしで始める勤怠管理改善のロードマップ

システムに頼らずに改善を進める場合、いきなりすべてを変えようとすると現場が混乱します。以下のロードマップに従い、段階的に体制を整えていくことが成功の鍵です。

  • Step 1:現状フローの可視化と棚卸し
    • まずは、誰が・いつ・どのようなツールを使って勤怠を集計しているのか、業務フロー図を作成して可視化します。「実は総務担当者が個人的なメモで補正していた」といった属人化している作業を洗い出します。
  • Step 2:標準フォーマットの策定と統一
    • 部署ごとにバラバラなExcelシートや出勤簿を使用している場合は、全社で統一されたフォーマットを作成します。計算式や入力規則(リスト選択など)を予め設定し、入力者が勝手に行や列を追加できないよう保護機能を活用します。
  • Step 3:運用ルールの明文化と周知徹底
    • 「打刻漏れがあった場合の修正フロー」「残業申請の締切時間」など、具体的な運用ルールを就業規則とは別の「勤怠管理マニュアル」として明文化し、全従業員に説明会等で周知します。
  • Step 4:テスト運用とフィードバック
    • 新しいフォーマットとルールで1〜2ヶ月ほど並行稼働(テスト運用)を行います。実際に発生した問題点や使いにくさを現場から吸い上げ、微調整を行った上で本稼働に移行します。

手作業だからこそ徹底すべき勤怠記録の正確性向上策

手作業やExcel管理では、システムのような自動エラーチェック機能がありません。そのため、工夫を凝らした「仕組み」で正確性を担保する必要があります。

Excel機能のフル活用による入力制御

Excelで管理する場合、自由に入力できるセルを極力減らすことが重要です。

  • 入力規則の設定: 「出勤」「有給」「欠勤」などの区分は、プルダウンリストから選択させるようにし、表記ゆれ(例:「有休」と「有給」の混在)を防ぎます。
  • 条件付き書式の活用: 例えば、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合や、深夜時間帯(22:00〜5:00)に入力があった場合に、セルの色が変わるように設定します。視覚的にアラートを出すことで、入力時の気づきを促します。
  • 計算式のロック: 合計時間や残業代計算に関わるセルは、「シートの保護」機能を使って編集不可に設定し、意図しない数式の破壊を防ぎます。

ダブルチェック体制の構築と「読み合わせ」

集計作業におけるダブルチェックは必須ですが、単に「眺めるだけ」ではミスを見落とします。

  • 読み合わせ確認: 一人がタイムカードの数字を読み上げ、もう一人がExcel画面を確認するといった、聴覚と視覚を使った確認作業が有効です。
  • 自己チェックの義務化: 提出前に従業員自身がチェックするための「簡易チェックリスト」を出勤簿に添付し、本人の署名を必須とすることで、記録に対する当事者意識を高めます。

原本とデータの整合性確認

月末の締め処理時だけでなく、週次などの短いサイクルで、タイムカード(原本)とExcelデータ(集計値)の突き合わせを行う時間を設けます。早期にズレを発見できれば、記憶が鮮明なうちに修正が可能であり、月末の業務負荷も分散されます。

法改正に柔軟に対応する勤怠管理ルールの構築方法

労働関連法規は頻繁に改正されるため、システムが自動アップデートされないアナログ管理では、担当者が能動的に情報をキャッチアップし、ルールに反映させる必要があります。

最新情報の入手ルート確保

厚生労働省のメールマガジンや、信頼できる社会保険労務士法人のニュースレターに登録し、法改正情報を常にチェックする体制を作ります。特に、時間外労働の上限規制や割増賃金率の変更などは、施行の数ヶ月前から準備が必要です。

「マスタ分離型」のExcel設計

Excelで管理する場合、計算式の中に直接「1.25」(割増率)などの数値を書き込むのは避けましょう。別シートに「設定マスタ」を作成し、そこに割増率や所定労働時間などの変数を入力して、計算式から参照させる設計にします。これにより、法改正で数値が変わった際も、マスタの数値を変更するだけで全シートに対応でき、メンテナンス性が向上します。

36協定の遵守状況を可視化する

36協定(時間外・休日労働に関する協定届)で定めた上限時間を超えそうになった段階で、警告が出る仕組みを作ります。手作業管理であっても、Excelの条件付き書式を活用し、月の残業時間が「35時間」や「40時間」を超えた時点でセルを赤く表示させるなどして、法的リスクを未然に防ぎます。

管理職がリードする勤怠管理:ミスを防ぐチェックポイント

勤怠管理の責任を総務や経理だけに押し付けてはいけません。現場の管理職(ラインマネージャー)こそが、一次承認者として最も重要な役割を担います。

日次・週次でのモニタリング習慣

管理職は、月末にまとめて承認印を押すのではなく、部下の出勤簿をこまめに確認する必要があります。

  • 日次確認: 遅刻・早退の有無、事前の申請通りの残業か。
  • 週次確認: 週40時間を超えるペースでの稼働になっていないか。

「乖離」への感度を高める

タイムカードの打刻時間と、実際の業務終了時間に乖離がないかを常に意識します。「打刻後に業務を行っていないか(サービス残業)」「休憩時間に電話番をさせていないか」といった実態を把握できるのは現場の管理職だけです。不自然な記録がある場合は、その場で部下にヒアリングを行い、理由を確認・記録することが、後の労務トラブル防止につながります。

コミュニケーションによる未然防止

打刻忘れや申請漏れが多い部下に対しては、単なる注意だけでなく、「なぜ忘れるのか」を一緒に考え、リマインダーの設定や業務終了時の声掛けなど、行動変容を促すコミュニケーションをとります。

勤怠管理の課題を定期的に見直し、改善を続けるサイクル

一度ルールを決めたら終わりではありません。運用状況を定期的に評価し、改善し続けるPDCAサイクルを回すことが重要です。

  • Plan(計画): 法改正や社内事情の変化に合わせて、勤怠管理のルールやフォーマットを定期的に見直します。
  • Do(実行): 定めたルール通りに運用されているか、現場を巡回して確認します。
  • Check(評価): 毎月の締め処理後に「振り返り」の時間を設けます。「今月発生したミスの件数と内容」「修正にかかった時間」を集計し、前月と比較します。
  • Action(改善): 発生したミスに対して、「なぜ起きたのか(Why)」を5回繰り返し、根本原因に対する対策(フォーマット修正、研修実施など)を講じます。

システムなし勤怠管理で陥りがちな落とし穴と回避策

最後に、アナログ管理特有の法的リスクと、その回避策について解説します。

落とし穴1:客観的記録義務への抵触

労働安全衛生法の改正により、事業者は労働者の労働時間を「客観的な方法」で把握する義務があります。自己申告(手書き出勤簿など)は原則として推奨されず、やむを得ず採用する場合でも十分な補完措置が必要です。

  • 回避策: パソコンの使用時間記録(ログオン・ログオフ時刻)や、入退室記録などを別途保存し、自己申告との間に大幅な乖離がないか定期的に実態調査を行います。これは厚生労働省のガイドラインでも求められている措置です。

落とし穴2:属人化によるブラックボックス化

「複雑なマクロが組まれたExcelがあり、作成した担当者が退職して誰も触れない」という状況は、法改正対応ができなくなる致命的なリスクです。

  • 回避策: 複雑すぎる関数やVBA(マクロ)の使用は避け、誰でも構造が理解できるシンプルな設計を心がけます。また、シートの仕様書や計算式のロジックを記したドキュメントを必ず残し、共有サーバーで管理します。

落とし穴3:記録保存期間の誤認

労働基準法の改正により、勤怠記録の保存期間は原則「5年」(当分の間は3年)に延長されています。タイムカードや出勤簿を誤って早期に廃棄してしまうと、法違反となるだけでなく、未払い残業代請求などの紛争時に反証できなくなります。

  • 回避策: 年度ごとに箱詰めして管理し、廃棄予定日を大きく明記します。また、退職者の記録も含めて法定期間は確実に保管できるよう、保管スペースの確保や電子化(スキャン保存など)を検討します。

システムを導入せずとも、正確で法に則った勤怠管理は可能です。しかし、それには正しい知識に基づいたルールの設計と、現場の協力が不可欠です。まずはできるところから、一つずつ改善を進めていきましょう。

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まとめ

勤怠管理のミスをなくし、効率化を図るためには、システム導入が唯一の解ではありません。プロセスの可視化、標準フォーマットの活用、そして管理職を含めた全社的な意識改革によって、アナログ管理でも高い精度を実現することは十分に可能です。

特に重要なのは、法的な「客観的記録」の要件を満たすための工夫と、属人化を防ぐための運用の標準化です。今回ご紹介した改善策は、今日からでも着手できるものばかりです。自社の現状に合わせた改善のサイクルを回し続け、従業員と会社双方にとって安心できる勤怠管理体制を築いてください。

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