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従業員30人規模の労務管理、失敗しない仕組み化の全貌!社労士が注意点を徹底解説
従業員30人規模の労務管理における「あるある」な課題
従業員数が30名を超えると、企業は成長フェーズにおいて「30人の壁」と呼ばれる大きな転換期を迎えます。これまで経営者や創業メンバーの「阿吽の呼吸」で回っていた組織運営が、通用しなくなるのがこの時期です。

特に労務管理の現場では、以下のような「あるある」な課題が噴出し始めます。
- 属人化の限界とブラックボックス化「給与計算は総務のAさんしか分からない」という状態が慢性化します。もしAさんが急病で休職や退職をした場合、翌月の給与支払いがストップするリスクがあります。
- Excel管理の破綻10人程度まではExcelでの勤怠管理や給与計算で十分でしたが、30人を超えるとデータ量が膨大になり、手入力によるミスや計算間違い(残業代の未払いなど)が多発し始めます。
- コミュニケーションコストの増大とルールの形骸化経営者の目が全員に行き届かなくなるため、個別の労働条件の把握が困難になります。また、就業規則を作成していても、現場では古い慣習が優先され、ルールが形骸化しているケースも少なくありません。
- 法改正への対応遅れ労働基準法や社会保険関連の法改正は頻繁に行われますが、専任の担当者がいない場合、情報のキャッチアップが追いつかず、「知らぬ間に違法状態」になっていることがあります。
自社で仕組み化すべき労務管理業務の基準と範囲
労務管理を効率的に仕組み化するためには、まず「何をどこまで自社でやるべきか」という業務範囲を明確にする必要があります。30人規模の企業において、優先的に仕組み化・標準化すべき業務は以下の3つです。
- 勤怠管理(労働時間の把握)2019年の法改正により、企業は従業員の労働時間を客観的に把握する義務があります。タイムカードや手書きの出勤簿から脱却し、正確な打刻データを収集するフローは、仕組み化の最優先事項です。
- 給与計算と明細発行勤怠データを元にした給与計算(残業代、社会保険料の控除など)と、給与明細の配布です。毎月必ず発生する業務であり、ミスが許されないため、ここをシステム化することで業務負担を劇的に減らせます。
- 入退社手続きと従業員情報管理雇用契約書の締結、社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続きです。30人規模になると人の出入りも増えるため、マイナンバー管理を含めた個人情報のデータベース化が必須となります。
安全衛生管理体制の整備も見逃せません。従業員が常時10人以上50人未満の事業場では、「衛生推進者」の選任が義務付けられています(労働安全衛生法第12条の2)。これは50人以上で義務化される「衛生委員会」の前段階として、職場の健康管理や環境整備を行う重要な役割です。
失敗しない!労務管理の仕組み化で避けるべき落とし穴と注意点
「システムを入れれば解決する」という安易な考えは、労務管理の仕組み化において最も危険な落とし穴です。失敗を防ぐために、以下の注意点を押さえてください。
- 現状のルールを整理せずにシステムを導入する就業規則や給与規定が曖昧なままシステムを導入しても、設定ができません。「残業時間の端数処理はどうなっているか」「有給休暇の付与タイミングはいつか」など、まずは自社のアナログなルールを明確に定義(標準化)することから始めてください。
- 「多機能すぎる」システムを選んでしまう高機能なシステムは魅力的ですが、設定が複雑で現場が使いこなせないケースが多々あります。30人規模であれば、直感的で操作が簡単なクラウドシステムの方が、定着率は高くなります。
- 運用担当者を一人に任せきりにする仕組み化の過程を一人に任せると、その人が退職した瞬間にシステムが「動かない箱」になります。必ず複数名(または経営者と担当者)で導入プロジェクトを進め、マニュアルを残すようにしてください。
効率アップ!労務管理システム導入のポイントと活用法
現在、中小企業の労務管理において主流となっているのが「SaaS型(クラウド型)」のシステムです。サーバーの設置が不要で、法改正にも自動でアップデート対応してくれる点が最大のメリットです。
システム選定のポイント
- 連携性(API連携): 勤怠システムと給与計算システムがスムーズにデータ連携できるかを確認しましょう。ここが繋がっていないと、CSVデータの出力・加工・取込という手作業が発生し、ミスの温床となります。
- サポート体制: 導入時の初期設定サポート(チャットやZoomなど)が充実しているかを確認してください。
- コスト: 従業員一人あたりの月額課金制が一般的です。初期費用とランニングコストを比較検討しましょう。
活用法:電子申請の積極利用
多くのクラウド給与・労務システムは、社会保険や雇用保険の手続きを役所に行かずに完了できる「電子申請(e-Gov連携)」に対応しています。ハローワークや年金事務所への移動時間や待ち時間をゼロにできるため、担当者はコア業務に集中できるようになります。
専門家と連携するタイミングとは?社労士活用のメリット
従業員30人は、社労士(社会保険労務士)との関わり方を見直す絶好のタイミングでもあります。
- スポット依頼から顧問契約へ数名規模の時は、手続きだけをスポットで依頼していたかもしれません。しかし30人規模になると、ハラスメント問題、メンタルヘルス不調、問題社員への対応など、手続き以外の「人に関するトラブル」のリスクが急増します。トラブルを未然に防ぐための相談役(アドバイザリー)として、顧問社労士を活用するメリットが大きくなります。
- 助成金の活用提案キャリアアップ助成金や両立支援等助成金など、要件を満たせば受給できる助成金は多く存在しますが、制度は複雑です。社労士は最新の助成金情報に精通しているため、自社で使える制度の提案を受けられる可能性があります。
- 法改正情報のフィルター役膨大な法改正情報の中から、「自社に関係ある重要な変更点」だけをピックアップして教えてもらえるため、経営判断のスピードが上がります。
労務管理の仕組み化を成功に導くための実践的ステップ
最後に、実際に仕組み化を進めるためのステップを整理します。
- 現状分析(As-Is): 現在の業務フローを書き出し、どこに時間かかっているか、どこでミスが起きているかを可視化します。
- ルールの明文化: 就業規則と実態が乖離していないか確認し、曖昧な運用ルール(口頭での約束など)を規定に落とし込みます。
- ツールの選定と試用: 無料トライアル期間などを利用して、現場の従業員が使いやすいシステムを選定します。
- 導入と教育: システムを導入し、従業員向けの説明会を実施します。「なぜ変えるのか(皆さんの給与を正しく守るため、など)」という目的を伝えることが重要です。
- 運用と改善(To-Be): 運用開始後は定期的にフィードバックを集め、設定や運用ルールを微調整します。
従業員30人の壁は、組織が次のステージへ進むための成長痛です。このタイミングで強固な労務管理の基盤を作ることは、将来100人、200人と組織が拡大した時の大きな資産となります。
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