新着情報

混同していませんか?労働契約書と雇用契約書の違いと実務での使い分け方

2025.06.14 社労士コラム

「労働契約書と雇用契約書って何が違うの?」「どちらを使えばいいのか分からない」「書式が統一されておらず、トラブルにならないか不安」——大阪・東京・福岡・名古屋の中小企業からよく寄せられる、労務管理の基本に関する質問です。

次のような悩みを抱えていませんか?

  • 「契約書のタイトルが“雇用契約書”と“労働契約書”でバラバラ…」
  • 「法的にどちらを使うべきなのか分からない」
  • 「助成金申請の際に書類名称で指摘されたことがある」

実は労働契約書と雇用契約書に法的な違いはなく、どちらも労働条件を明示する文書です。
ただし、契約形態や書面の整備状況によって呼び方や使い方を変えるのが一般的であり、就業規則・給与計算・助成金申請との整合性が重要になります。

この記事では、労働契約書と雇用契約書の違いや使い分け、記載必須事項、法的根拠、就業規則との関係、アウトソース活用方法など、中小企業が押さえるべき労務の基本をわかりやすく解説します。

労働契約書と雇用契約書の違いとは?

1. 呼び方の違い

労働契約書(法律用語)雇用契約書(実務用語)は、実質的には同じものです。

  • 労働基準法では「労働契約」の用語が正式
  • 民法では「雇用契約」も定義されている
  • 実務では「雇用契約書」の呼称が広く使用される

2. 記載内容の違いは?

どちらの書類でも、記載すべき内容は基本的に同じです。重要なのは、労働基準法15条に基づいた「労働条件通知書」としての要件を満たしているかどうかです。

3. 法律的な位置づけ

  • 労働契約:労働基準法で定義された労使の契約関係
  • 雇用契約:民法623条に基づく労務提供契約

いずれも、労働者が労務を提供し、使用者が報酬を支払うという意味では同じです。

契約書作成における実務対応:8つのアクション

  1. 契約書の名称を統一する
    理由:社内文書や申請書との整合性を保つため。
    方法:「雇用契約書」「労働条件通知書」と併記する形式も有効。
    効果:外部提出・内部管理の混乱を防止。
  2. 必須記載事項を確認
    理由:法律に定められた項目を漏らすと無効になる恐れ。
    方法:労基法15条に基づき、賃金・労働時間・休憩・休日・就業場所などを網羅。
    効果:法令遵守と従業員の安心感向上。
  3. 雇用形態別にテンプレートを作成
    理由:正社員・パート・契約社員で内容が異なる。
    方法:雇用形態に応じた記載項目・条件を反映。
    効果:処理の効率化と記載ミスの防止。
  4. 署名・押印の取得を確実に
    理由:トラブル時に法的効力が問われる。
    方法:署名済み原本を会社・従業員の双方が保管。
    効果:証拠力のある書面管理が可能に。
  5. 電子契約の導入を検討
    理由:テレワーク・多拠点勤務に対応するため。
    方法:クラウド型契約サービスを導入。
    効果:契約締結のスピードアップと保管の安全性向上。
  6. 契約更新ルールを明文化
    理由:契約社員・パートのトラブルを防ぐ。
    方法:契約更新の有無・基準・通知期限を明記。
    効果:継続雇用の誤解を防止。
  7. 就業規則と整合を取る
    理由:契約書と就業規則に矛盾があると無効になる可能性も。
    方法:休暇・賃金・解雇規定などを照合・一致。
    効果:社内制度の一貫性が向上。
  8. 社労士・アウトソースを活用
    理由:契約トラブル・助成金要件に直結するため。
    方法:顧問社労士と契約書内容の定期見直しを実施。
    効果:法令改正への即応と書式精度向上。

よくあるQ&A

Q1. 労働契約書と雇用契約書はどちらを使うのが正しい?
A. 法的にはどちらも有効です。実務では「雇用契約書」の表記が多く使われていますが、重要なのは内容が労基法の要件を満たしていることです。

Q2. 労働条件通知書と雇用契約書は別物?
A. 別物ですが、兼ねて作成するのが一般的です。労働条件通知書は明示義務がある項目に限定され、雇用契約書は労使間の合意書という位置づけです。

Q3. 電子契約でも問題ない?
A. はい。労働契約も電子契約が可能です。ただし、従業員が同意し、出力・保存できる形式であることが必要です。

Q4. 就業規則と内容が違う場合、どちらが優先される?
A. 原則は従業員にとって有利な内容が優先されます。記載ミスや矛盾があると、法的トラブルにつながる恐れがあります。

まとめ

労働契約書と雇用契約書は呼び方が違うだけで、法的にはほぼ同じ意味を持ちます。ただし、記載内容の明確化と社内制度との整合が重要です。

  • 名称はどちらでもよいが、内容と形式が法令に適合していることが大前提
  • 雇用形態別にテンプレートを整備し、就業規則と一致させる
  • 社労士やアウトソースを活用して安全な制度運用を

大阪・東京・福岡・名古屋などの企業でも、契約文書の見直しと制度整備が進んでいます。法令を正しく理解し、リスクのない労務管理体制を構築しましょう。

LINE お問合せ

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです