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【例外は?義務は?】休業手当とは?中小企業が知らないと損する実務対応
「会社都合で従業員を休ませたけど、給料って出す必要あるの?」「自然災害で出勤できなかった日も、休業手当が必要?」「助成金とどう違うの?」——大阪・東京・名古屋・福岡の中小企業の経営者・総務担当者からよく寄せられる質問です。
次のようなお悩み、感じたことはありませんか?
- 「生産調整のための一時帰休、どのように給与処理すればいいの?」
- 「社内トラブルで急きょ営業停止に。社員には給与を出すべき?」
- 「休業手当と有給休暇や助成金との違いがよくわからない」
実は、労働基準法において「使用者の責に帰すべき休業」の場合、従業員に対して休業手当の支払い義務があります。
制度の内容を理解せずに対応を誤ると、未払い賃金や法令違反として労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性も。
この記事では、休業手当の基本的な考え方から、適用の範囲、計算方法、よくある誤解、就業規則への反映、顧問社労士やアウトソースの活用方法、助成金との違いなどを、実務担当者向けにわかりやすく解説します。
休業手当とは?仕組みと基本ルール
1. 休業手当の法的根拠
労働基準法第26条により、使用者の都合で従業員に就労させなかった場合は、平均賃金の60%以上を支払う必要があります。これが「休業手当」です。
2. 対象となる休業とは?
休業手当が必要になる「使用者の責任」とは、以下のようなケースを指します:
- 業績不振による一時帰休
- 社内のトラブルやシステム障害による業務停止
- 感染症対策としての自主的な営業休止
- 仕入れや人員の不足による業務停止
3. 休業手当が不要となるケース
次のようなケースは、使用者責任には該当しない場合があります:
- 台風や地震などの天災(不可抗力)
- 本人の私的な都合(私傷病や自己都合の欠勤)
- 公的機関の命令による停止(例:緊急事態宣言時の強制休業)
ただし、状況によっては例外もあり、顧問社労士への確認が重要です。
4. 計算方法と「平均賃金」
休業手当=平均賃金 × 60% × 休業日数
平均賃金は、過去3か月間に支払った賃金の合計を総日数で割って算出されます。
5. 有給休暇との違い
有給休暇:従業員の申請による休暇で100%支給
休業手当:会社都合の休業で60%以上支給
誤って休業日に有給を充てると、従業員との信頼関係に影響する恐れがあります。
6. 助成金との違い
休業手当は企業の義務であり、助成金はその支払いを補助するものです。
たとえば「雇用調整助成金」などは、休業手当の一部を企業に対して補填する制度です。
休業手当対応でやるべき8つのアクション
- 就業規則に休業規定を明記
理由:支給ルールの明確化が必要。
方法:顧問社労士と協議し、支給基準・金額を記載。
効果:トラブル時にも明確な根拠を持てる。 - 平均賃金を正確に算出
理由:支給金額の根拠になるため。
方法:過去3か月の賃金総額と暦日数で算出。
効果:従業員との誤解・不満を防ぐ。 - 休業理由と期間を明文化
理由:助成金申請や監査対応のため。
方法:会社通知文・社内掲示等で記録を残す。
効果:法的根拠と企業の透明性が確保される。 - 給与明細に休業手当を明示
理由:支給実績の証明となる。
方法:給与ソフトやシステムで区分管理。
効果:助成金の通過率アップ、従業員の安心感向上。 - 勤怠記録を正確に管理
理由:「何日休業したか」の把握が必要。
方法:クラウド勤怠・IC打刻システムを活用。
効果:記録の信頼性と時短管理を両立。 - 助成金を活用して負担軽減
理由:休業手当の支払い負担を軽減できる。
方法:雇用調整助成金・業務改善助成金などを申請。
効果:最大90%の補填を受けられる可能性も。 - 給与計算業務をアウトソース
理由:休業手当の扱いが煩雑でミスが多い。
方法:労務管理専門企業に委託。
効果:作業ミス削減と業務効率化。 - 顧問社労士と月次レビュー
理由:法改正や行政通達が頻繁に変化。
方法:月1回のミーティングで制度確認。
効果:安心・安定した対応が可能に。
よくあるQ&A
Q1. 社員の自己都合で欠勤した場合も休業手当が必要?
A. 不要です。あくまで「会社都合の休業」が対象です。
Q2. 勤務時間短縮も休業手当の対象?
A. はい、一部休業となり、働けなかった時間に対して手当が必要です。
Q3. 休業中に有給休暇を充ててもいい?
A. 従業員が希望した場合は可能ですが、会社が一方的に有給扱いとするのはNGです。
Q4. 休業手当を払えば助成金は必ずもらえる?
A. 条件を満たせば受給可能ですが、申請書類や記録が整っていないと不支給になる場合があります。
まとめ
休業手当は、従業員を守ると同時に、企業の法的リスクを避けるための重要な制度です。
- 60%以上の支払い義務があることを理解
- 就業規則・給与計算・勤怠管理との整合を取る
- 社労士・アウトソース・助成金を活用し、負担を軽減
大阪・東京・福岡・名古屋などの中小企業でも、休業手当の整備と運用に力を入れる企業が増えています。いざというときの備えとして、制度を見直しておきましょう。
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