新着情報
【就業規則と労働契約書の違いとは?】知らないと損する労働条件の基本を徹底解説
「就業規則と労働契約書って何が違うの?」「どっちが優先されるの?」「内容が違っていた場合どうすればいい?」
こんな疑問を抱えたことはありませんか?働くうえでとても大切な就業規則と労働契約書。どちらも労働条件やルールを定めるものですが、それぞれの役割や関係性をしっかり理解していないと、トラブル時に損をすることも。特に、内容が異なる場合にどちらが優先されるかを知らないと、「言った・言わない」の揉め事に発展するリスクもあります。
この記事では、就業規則と労働契約書の違いや、それぞれの役割、注意点について、社会保険労務士がわかりやすく解説します。労働者はもちろん、企業の人事担当者や経営者の方も必見です。ぜひ最後までお読みください。
就業規則と労働契約書の違いとは?基本知識と法的な関係性
まずは、就業規則と労働契約書がそれぞれ何を指しているのか、基本から確認しましょう。
1. 労働契約書とは?
労働契約書は、労働者と会社との間で個別に締結される契約書です。賃金や労働時間、業務内容など、労働条件について双方が合意した内容を明文化します。法律上は労働条件通知書を交付する義務があり、これを契約書に代える場合もあります。
- 対象:個々の労働者
- 内容:賃金、労働時間、業務内容、休日など
- 根拠:労働基準法第15条(労働条件通知)
2. 就業規則とは?
就業規則は、会社全体で定める共通のルールです。賃金体系、勤務時間、服務規律、懲戒規定など、企業が従業員全員に適用する労働条件を定めています。常時10人以上の労働者がいる会社は作成・届出義務があります。
- 対象:会社全体の労働者
- 内容:賃金体系、労働時間、服務規律、退職・解雇規定など
- 根拠:労働基準法第89条
3. 両者の関係性と優先順位
原則として、労働契約書が就業規則に反しない範囲で有効です。ただし、以下のルールがあります。
- 契約書と就業規則の内容が同じなら、どちらでも適用される。
- 契約書が就業規則より有利な場合、契約書が優先。
- 契約書が就業規則より不利な場合、就業規則が優先。
これは労働契約法第12条で定められています。
4. ケーススタディ:Pさんの例
Pさんの労働契約書では「残業代なし(固定残業代)」と記載されていましたが、就業規則では「残業時間に応じて残業代を支払う」と記載。契約書の方が不利な内容となるため、就業規則が優先され、Pさんは正当な残業代を受け取ることができました。
就業規則と労働契約書で押さえるべき8つのポイント
両者の関係性や注意点について、押さえておきたいポイントを8つ紹介します。
-
1. 労働契約書は必ず交付される
理由:労働基準法で通知義務があるため。
方法:賃金、労働時間、休日などの項目が記載されているか確認。
効果:自分の労働条件を正確に把握できる。 -
2. 就業規則は周知義務がある
理由:労働基準法第106条で、従業員への周知が義務付けられている。
方法:社内掲示、イントラネット、書面配布などで確認。
効果:会社のルールが明確にわかる。 -
3. 内容が異なる場合は「有利な方」が適用される
理由:労働契約法第12条に基づく。
方法:契約書と就業規則を突き合わせ、条件を確認。
効果:自分にとって最良の条件が適用される。 -
4. 不利な契約条件は無効になることも
理由:労働法の強行規定(最低基準)に反する契約は無効となるため。
方法:契約条件が法定基準を満たしているか確認。
効果:違法な契約から自分を守れる。 -
5. 就業規則が改定された場合は必ず確認
理由:労働条件が変更される可能性があるため。
方法:改定内容の説明会や通知をしっかり確認。
効果:変更点を把握し、適切に対応できる。 -
6. 労働契約書に不明点があれば署名しない
理由:不利な条件に合意してしまうリスクがあるため。
方法:不明点は会社に質問、必要なら社労士や弁護士に相談。
効果:納得したうえで契約できる。 -
7. 試用期間中でも労働契約書と就業規則は適用される
理由:試用期間中でも労働基準法が適用されるため。
方法:試用期間の条件も契約書で確認。
効果:不利益を防げる。 -
8. 外国人労働者にも母国語で説明が必要
理由:言語の壁で誤解が生じないようにするため。
方法:母国語での契約書や就業規則の説明を行う。
効果:スムーズな労使関係を築ける。 -
やってはいけない行動:契約内容を確認せずサインする
理由:不利な条件でも契約が成立してしまうため。
たとえば、残業代なしや休日出勤の条件が不明なまま署名すると、後からトラブルになります。
よくあるQ&A:就業規則と労働契約書に関する疑問を解決!
Q. 労働契約書がなくても働ける?
A. 法律上、労働条件通知書の交付は義務ですが、契約書がなくても働いてしまうケースはあります。ただし、契約内容が曖昧だとトラブルになりやすいため、必ず確認しましょう。
Q. 就業規則を見せてもらえない場合は?
A. 労働基準法で周知義務があるため、会社は従業員に就業規則を見せなければなりません。拒否された場合は労働基準監督署に相談できます。
Q. 契約書と就業規則の内容が違った場合、どちらが優先?
A. 労働者に有利な方が優先されます。契約書の内容が不利であれば、就業規則が適用されます。
Q. 労働条件が口頭で説明された場合はどうなる?
A. 口頭でも契約は成立しますが、トラブル防止のため書面で確認しましょう。説明された内容が契約書と異なる場合、書面の内容が優先されることが多いです。
大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所