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残業代は何倍もらえる?知らないと損する割増率の正しい知識
「残業代って何倍もらえるの?」
「深夜や休日に働いたら、いくらもらえるんだろう?」
「残業時間が多いのに、思ったより手取りが少ない気がする…」
そんな疑問やモヤモヤを抱えていませんか?
実は、残業代には法的に定められた**割増率**が存在し、労働時間帯や曜日によって支払われる金額が変わります。しかし、その仕組みをきちんと理解している人は少なく、知らない間に損をしていることも。
なぜ残業代の割増率は複雑なのか?
労働基準法では、労働時間の長さや時間帯、休日労働などに応じて、通常の賃金に対する割増率が定められています。この割増率が適用されることで、労働者の健康を守り、過重労働を抑制する効果を狙っています。しかし、これが複雑な計算を生み、誤解や未払いトラブルが起きやすい原因となっています。
この記事では、残業代の割増率が「何倍」なのか、シンプルにわかりやすく解説します。知らずに損をしないためにも、ぜひ最後まで読んでください。
残業代の割増率は何倍?労働基準法で定められた基本ルール
1. 法定内残業と法定外残業の違い
まず、労働時間には**法定労働時間**と**所定労働時間**があります。法定労働時間は、1日8時間、週40時間と労働基準法で定められた時間。一方、所定労働時間は会社ごとに決められた労働時間です。
たとえば、所定労働時間が1日7時間の場合、7時間を超えて8時間まで働いた時間は「法定内残業」となり、割増賃金は発生しません。8時間を超えると「法定外残業」となり、割増が必要です。
2. 残業代の割増率は1.25倍が基本
法定労働時間を超えた場合の残業代は、**通常の賃金の1.25倍**が基本です。
例えば、時給1,000円なら、残業代は1時間あたり1,250円となります。
3. 深夜労働(22時〜5時)の割増率は1.5倍
22時から翌5時までの時間帯で働く場合、深夜割増として0.25倍が追加されます。
もしその時間帯が残業時間であれば、1.25倍(残業割増)+0.25倍(深夜割増)=**1.5倍**となります。
4. 休日労働(法定休日)の割増率は1.35倍
会社が定めた休日ではなく、**法定休日**(週1回の休み)に働いた場合、割増率は**1.35倍**です。
たとえば、日曜日が法定休日で、その日に働いた場合、時給1,000円なら1時間あたり1,350円になります。
5. 休日+深夜労働は1.6倍
休日労働が深夜帯に及ぶ場合、1.35倍(休日割増)+0.25倍(深夜割増)=**1.6倍**になります。
休日の深夜に働くと、通常よりも高い賃金が支払われる仕組みです。
6. 月60時間超の残業は1.5倍
月60時間を超える残業には、さらに高い割増率が適用されます。
超過分は1.25倍+0.25倍=**1.5倍**。
大企業だけでなく、中小企業にも2023年4月から適用されています。
具体例:Bさんのケース
時給1,200円のBさんが、ある月に以下の労働をした場合:
- 通常の残業20時間 → 1,200円 × 1.25倍 = 1,500円/時
- 深夜残業10時間 → 1,200円 × 1.5倍 = 1,800円/時
- 休日労働5時間 → 1,200円 × 1.35倍 = 1,620円/時
- 休日深夜労働3時間 → 1,200円 × 1.6倍 = 1,920円/時
このように、割増率が異なることで、同じ時給でも労働時間帯によって支給額が変わります。
残業代計算ミスを防ぐ8つのアクション
-
1. 労働契約書で法定休日を明確にする
理由:休日労働の割増率が変わるため。
方法:週に1回以上の法定休日を明記。
効果:休日労働の計算ミスを防げる。 -
2. 勤怠記録をデジタル化する
理由:労働時間管理の精度を高めるため。
方法:クラウド型勤怠管理システムを導入。
効果:正確な労働時間計算ができ、未払いリスクを軽減。 -
3. 割増率の一覧を社内で共有する
理由:担当者間の認識ズレを防ぐため。
方法:1.25倍、1.35倍、1.5倍、1.6倍の適用条件を一覧化。
効果:残業代計算ミスを防げる。 -
4. 月60時間超の残業に注意する
理由:割増率が変わるため。
方法:毎月の残業時間を集計し、60時間を超えた場合に対応。
効果:追加支払い漏れを防げる。 -
5. 深夜労働と休日労働の重複時間を確認する
理由:割増率が加算されるため。
方法:深夜時間帯と休日時間帯が重なる場合、重複割増を計算。
効果:適正な支払いができる。 -
6. 管理職も適用対象か確認する
理由:名ばかり管理職は残業代対象のため。
方法:実態に即した管理監督者か確認。
効果:不当な未払いリスクを防げる。 -
7. 固定残業代と実労働時間を照合する
理由:固定残業時間超過分は別途支払いが必要なため。
方法:実際の残業時間を集計し、固定時間との差分を支払う。
効果:未払いリスクを回避できる。 -
8. やってはいけない!割増率を自己判断で変更する
理由:法定割増率は法律で定められているため。
方法:常に労働基準法に基づき割増率を適用。
効果:違法状態を防ぎ、安心して労務管理ができる。
よくある疑問Q&A
Q. 休日労働と深夜労働が重なった場合、どちらの割増率を適用する?
A. 両方の割増率を加算します。たとえば休日深夜労働なら1.35倍+0.25倍で1.6倍になります。
Q. 残業代の割増率を会社独自で決めてもいい?
A. 最低限、労働基準法で定められた割増率を守る必要があります。会社がそれ以上の割増率を設定するのは自由ですが、下回るのは違法です。
Q. 割増賃金の基礎となる賃金には何が含まれる?
A. 基本給や各種手当が含まれますが、通勤手当や家族手当、賞与などは除外されます。詳細は労働基準法で定められています。
Q. 月60時間超の割増率が適用されるのはどんな場合?
A. すべての労働者に適用されますが、2023年4月から中小企業も対象になりました。月60時間を超えた時間については、通常の残業割増率1.25倍に0.25倍が加算され、1.5倍となります。
まとめ
この記事では、残業代の割増率が「何倍」なのか、労働基準法に基づいて詳しく解説しました。基本は1.25倍ですが、深夜や休日、月60時間超など、労働条件によって最大1.6倍まで上がります。
割増率を正しく理解し、適切な労務管理を行うことで、労使トラブルや未払いリスクを防げます。自社の運用に不安がある場合は、ぜひ労務の専門家に相談してみてください。
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