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取締役の給与はどう決まる?仕組みと税務上の注意点を徹底解説
「取締役の給与ってどうやって決めるの?」
「役員報酬は従業員の給与と何が違うの?」
「税務署の指摘が入らないためには、どんなルールが必要?」
会社を経営するうえで避けて通れない取締役の給与(役員報酬)。従業員の給与とは異なり、取締役の給与は独自のルールが設けられており、税務上も厳しくチェックされるポイントです。
役員報酬の設定を誤ると、損金不算入となり法人税負担が増えたり、税務調査で指摘を受けたりするリスクがあります。しかし、適正に設定すれば節税効果や経営の安定化につながります。
この記事では、取締役の給与の決め方や税務上の注意点、実務で押さえるべきポイントまで詳しく解説します。経営者や役員の方はもちろん、これから法人化を検討している方もぜひご覧ください。
取締役の給与(役員報酬)の基本とその仕組み
■ 役員報酬とは?
役員報酬は、会社の役員(取締役、監査役、執行役など)に支払われる給与のことです。一般社員の給与とは異なり、法人税法に基づいて厳格なルールがあります。
・対象:取締役、監査役、会計参与など
・内容:定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれかで支給
■ 役員報酬の主な種類
- 定期同額給与:原則、毎月同額で支払われる給与。法人税法で最も一般的。
- 事前確定届出給与:あらかじめ税務署に届け出た金額・支払日に基づいて支給。
- 利益連動給与:上場企業などで、利益に応じて支払われる給与(要件が厳しい)。
■ A社のケース
中小企業のA社では、取締役の役員報酬を月50万円とし、定期同額給与として支払っています。途中で報酬額を変更すると損金算入が認められないため、決算期に合わせて見直しています。
■ 実は意外と知られていないこと
役員報酬は利益調整目的で途中変更できないルールがあります。たとえば、赤字回避のために報酬を減額したり、利益が出たから増額するなどの操作は法人税法上、原則認められず、損金不算入になるリスクがあります。
取締役の給与設定で押さえるべき実務ポイント8選
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1. 定期同額給与を基本に設定する
理由:法人税法上、損金算入できる最も一般的な方法のため。
方法:毎月一定額で報酬を支給し、変更は原則決算期に限ります。
効果:税務リスクを避け、適正な報酬設定ができます。 -
2. 事前確定届出給与を活用する
理由:賞与などを支給する場合、届け出が必要なため。
方法:税務署に支給額・支給日を届け出てから支給します。
効果:役員賞与でも損金算入が可能になります。 -
3. 利益連動給与は慎重に判断
理由:上場企業など特定の企業のみが対象で、要件が厳しいため。
方法:利益連動給与を検討する際は、税理士など専門家に相談しましょう。
効果:税務上のリスクを回避できます。 -
4. 報酬額の変更は決算期に行う
理由:期中の変更は原則認められず、損金不算入になるため。
方法:株主総会や取締役会で決議し、議事録を残します。
効果:正当な報酬額変更が可能になります。 -
5. 議事録をきちんと残す
理由:税務調査で証拠資料として求められるため。
方法:役員報酬決定の際は、株主総会・取締役会議事録を作成・保管します。
効果:税務署からの指摘を防げます。 -
6. 税務署への届出期限を守る
理由:事前確定届出給与などは期限厳守が必要なため。
方法:定められた提出期限(株主総会から1カ月以内など)を確認します。
効果:損金算入の適用が確実になります。 -
7. 社会保険料の負担も考慮する
理由:役員報酬は社会保険料の計算基準にもなるため。
方法:報酬額に応じた保険料負担をシミュレーションします。
効果:会社と役員双方の負担を最適化できます。 -
8. やってはいけない:利益調整のために報酬を途中変更
理由:法人税法に反し、税務調査で否認されるリスクが高いため。
方法:報酬額変更は原則決算期に限定し、計画的に行いましょう。
効果:税務リスクを回避し、健全な経営ができます。
Q&A〜取締役の給与(役員報酬)に関するよくある疑問
Q. 役員報酬の額は自由に決められる?
A. 会社ごとに自由に設定できますが、税務上は妥当性が求められます。過度に高額・低額だと税務署から指摘される可能性があります。
Q. 途中で報酬額を変更したい場合は?
A. 原則として決算期にしか変更できません。急な変更が必要な場合は、税理士や社労士に相談しましょう。
Q. 役員賞与は損金算入できない?
A. 事前確定届出給与として税務署に届け出れば、損金算入が可能です。届け出がない場合は不算入となります。
Q. 役員報酬と従業員給与の税務上の違いは?
A. 従業員給与は労働対価として原則損金算入されますが、役員報酬は法人税法上のルールに従い、損金算入に制限があります。
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