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【2025年最新版】問題社員対応で失敗しない!指導記録と能力不足解雇の法的要件を徹底解説
導入
多くの企業経営者や人事担当者が頭を悩ませるのが、遅刻や欠勤を繰り返したり、業務遂行能力が著しく不足していたりする「問題社員対応」です。特に人材不足が深刻化する中、一度採用した従業員を簡単に手放すことはできませんが、一方で、改善の見込みがない社員を抱え続けることは組織全体の士気低下や業績悪化を招きます。
しかし、安易な解雇は「不当解雇」として訴訟リスクを招き、数百万円単位の解決金(バックペイ)を支払う事態にもなりかねません。このようなリスクを回避し、適切な労務管理を行うために不可欠なのが、法的に有効な「指導記録」の作成と、正しい法的手順の理解です。この記事では、2025年の最新動向も踏まえ、実務で失敗しないための具体的な対応策を解説します。
問題社員対応の第一歩:なぜ「指導記録」が必要なのか?
問題社員への対応において、最も基本的かつ重要なのが「指導記録」を残すことです。多くの現場では、口頭での注意だけで済ませてしまい、後になって「言った、言わない」の水掛け論になるケースが後を絶ちません。
- 裁判での証拠価値: 日本の労働裁判において、会社側が解雇の正当性を主張するためには、十分な「解雇回避努力」を行ったことの立証責任があります。指導記録などの書証がない場合、裁判所は「指導の事実はなかった」と判断する傾向があり、どれだけ口頭で注意していても法的効力はほとんどありません。
- 本人の自覚を促す: 口頭注意だけでは、社員自身が事の重大さを理解していないことがよくあります。書面として記録に残し、本人に署名させることで、「これは懲戒や解雇につながりうる重大な問題である」という認識を持たせることができます。
- 一貫性のある指導: 指導内容を記録しておくことで、上司が変わった場合でも過去の経緯を踏まえた一貫した対応が可能になります。これにより、会社としての対応の正当性が担保されます。
【具体例で解説】法的に有効な指導記録の作成方法とポイント
裁判でも通用する「強い証拠」となる指導記録を作成するには、単なる日記のようなメモではなく、客観的事実に基づいた記述が必要です。感情的な表現は避け、5W1Hを意識して作成しましょう。
記載すべき必須項目
- 日時と場所: いつ、どこで問題行動が起きたか。
- 具体的な事実: 「態度が悪い」といった主観的評価ではなく、「始業時刻に15分遅刻した」「会議中にスマートフォンを操作していた」「顧客への見積書作成を3日間放置した」など、誰が見ても明らかな事実を書きます。
- 指導内容: どのような改善を求めたか(例:「今後遅刻をする際は必ず始業10分前までに電話連絡すること」)。
- 本人の弁明: 指導に対して本人がどう答えたか。ここを記録することで、一方的な押し付けでないことを証明できます。
本人への交付と署名
指導書は作成するだけでなく、面談を行って本人に読み上げ、交付することが重要です。その際、受領確認として署名・押印を求めます。もし本人が「納得できない」として署名を拒否した場合は、無理に強要せず、「〇月〇日、本人に交付したが署名を拒否された」と日時とともにその事実を記録し、同席者(別の上司など)にも署名をもらっておくことで、交付の事実は証明できます。
「能力不足」と判断する基準とは?客観的評価の進め方
「仕事ができない」という理由だけで解雇することは極めて困難です。裁判所は「能力不足」の判断において、単に成績が平均以下であることだけでなく、「著しく労働能率が劣り、かつ向上の見込みがない」かどうかを厳格に審査します。
- 職務権限との乖離: 入社時に提示した募集要項や雇用契約書(ジョブディスクリプション)に記載された業務内容に対し、どの程度未達なのかを具体的に特定します。
- 相対評価の限界: 「営業成績が下位10%である」といった相対評価のみを理由とする解雇は、無効とされる判例(セガ・エンタープライゼス事件など)が多く存在します。会社全体としてその成績がどの程度経営に悪影響を与えているか、絶対評価としての能力不足が必要です。
- 会社側の指導責任: 会社は社員に対して適切な教育や指導を行いましたか?能力を発揮できる環境を提供せずに「能力不足」と断定することはできません。特に未経験者を採用した場合は、会社側の教育義務が重く見られます。
能力不足を理由とする解雇:トラブルを避ける法的要件と手順
問題社員対応の最終手段としての解雇を行うには、段階的なプロセスを踏むことが不可欠です。いきなりの解雇通告は、よほどの重大な規律違反がない限り「解雇権の濫用」として無効になります。
1. 業務改善計画(PIP)の実施
能力不足の社員に対しては、期間を定めて具体的な数値目標や行動目標を設定し、その達成度を評価する業務改善計画(PIP:Performance Improvement Plan)を実施します。
- 期間: 通常は3ヶ月〜6ヶ月程度。
- 目標設定: 本人の能力で努力すれば達成可能な、現実的な目標を設定します。達成不可能なノルマを課すと、逆にパワハラ認定されるリスクがあります。
- 定期面談: 2週間に1回など定期的に進捗確認を行い、会社がサポートしている姿勢を見せることが重要です。
2. 配置転換の検討
現在の部署や職務で能力が発揮できない場合、他の部署への異動(配置転換)や職種変更の可能性を検討します。これにより、「解雇回避努力」を尽くしたという実績を作ることができます。
3. 退職勧奨
解雇の前に、合意退職を促す「退職勧奨」を行います。解雇は紛争リスクが高いため、パッケージ(特別退職金など)を提示して、円満に退職合意書を締結するのが実務上の最善策です。ただし、執拗な退職勧奨は違法な「退職強要」となるため注意が必要です。
2025年最新版:問題社員対応を巡る法改正と実務の注意点
2025年は、育児・介護休業法の改正など、働き方の柔軟性を高める法改正が施行されます。これにより、問題社員対応の現場でも新たな注意点が生じています。
- 育児・介護休業法改正の影響: 2025年4月から施行される改正法では、残業免除の対象拡大や柔軟な働き方の措置が義務化されます。問題社員が「育児」や「介護」を隠れ蓑にして正当な業務命令を拒否したり、パフォーマンス不足を制度利用のせいにしたりするケースが増える懸念があります。制度利用は権利ですが、職務怠慢とは区別して毅然と対応する必要があります。
- ハラスメント対応の厳格化: パワハラ防止法の定着により、上司の指導に対してすぐに「パワハラです」と反論してくる社員が増加しています。これに対抗するためにも、指導内容が「業務上必要かつ相当な範囲」であることを証明する指導記録の重要性が、2025年はさらに高まります。
- リスキリングと教育訓練: 雇用保険法の改正などにより、能力開発(リスキリング)への支援が強化されています。会社側には、能力不足社員に対しても「学ぶ機会」を十分に提供したかどうかが、解雇の有効性判断においてより厳しく問われるトレンドにあります。
関連する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
まとめ
問題社員対応において最も重要なのは、感情的な対応を避け、法的な要件を満たした記録を積み重ねることです。「指導記録」は会社を守る最大の武器となります。2025年の法改正や最新の判例傾向を踏まえ、能力不足社員への対応は「教育・指導」→「記録」→「改善計画(PIP)」→「配置転換」というステップを確実に踏んでください。
自己判断での解雇は非常に危険です。トラブルの兆候が見えた段階で、早めに専門家のアドバイスを仰ぎ、リスクを最小限に抑えた労務管理を実践しましょう。
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