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特定技能 登録支援機関 変更 手順|支援の質を改善し離職を防ぐ、社労士直伝の切替実務
「現在の支援機関は対応が遅い」「担当者が頻繁に変わり、外国人社員が不安がっている」……。こうした悩みから、特定技能 登録支援機関 変更を検討する企業が増えています。しかし、手続きを誤ると「支援の空白期間」が生じ、最悪の場合、特定技能外国人の在留資格に影響が及ぶリスクがあります。
この記事では、特定技能制度に精通した社会保険労務士が、失敗しない特定技能 登録支援機関 変更の具体的な手順を解説します。契約切り替えのタイミングから、入管への届出、そして外国人本人へのケアまで、実務で躓きやすいポイントを網羅しました。単なる手続きの解説にとどまらず、変更を機に社内体制を見直し、定着率を高めるためのノウハウをお伝えします。
支援機関への不満を放置しない:変更を検討すべき「3つのサイン」と実務上の判断基準
登録支援機関の変更は手間がかかるため、多少の不満があっても我慢してしまう企業は少なくありません。しかし、質の低い支援を放置することは、外国人材の離職や法令違反のリスクに直結します。私が実務で相談を受ける中で、変更を決断すべきと判断する主なサインは以下の3つです。
- 定期面談や報告が形式的である:法令で定められた3ヶ月に1回の面談が実施されていない、あるいは報告書の内容が毎回コピペで実態を反映していない場合、入管法違反のリスクがあります。
- 緊急時の対応が遅い:本人からの相談やトラブル発生時に連絡がつかない、対応が後手に回るケースは、外国人の不信感を招き、失踪や転職の引き金になります。
- 担当者の変更が頻繁で引き継ぎがない:支援担当者がコロコロ変わると、信頼関係が築けません。特にメンタル面のケアが必要な場面で、相談相手がいないことは致命的です。
これらの状況が見られる場合、コスト面だけでなく「コンプライアンス」と「定着支援」の観点から、登録支援機関の変更を前向きに検討すべきです。
Step1:新旧機関のトラブルを回避する「支援委託契約」の解約通知と新規締結のタイミング
【結論】このステップでは、現在の支援機関への解約通知を行い、支援の空白期間を作らないよう新しい支援機関との契約締結日を調整します。
特定技能外国人の受け入れにおいて、登録支援機関に支援を委託する場合、1日たりとも「支援を行っていない期間」があってはなりません。空白期間が生じると、受入れ機関(企業)の責任が問われ、今後の受入れに支障をきたす可能性があります。
- 現在の委託契約書の確認:解約予告期間(「3ヶ月前」「1ヶ月前」など)と、中途解約時の違約金の有無を確認します。
- 解約通知の送付:書面(内容証明郵便や受領印のある通知書)で解約の意思を伝えます。口頭での解約は「言った言わない」のトラブルになるため避けてください。
- 新機関との契約締結:旧機関の契約終了日の翌日、あるいは同日から新機関の契約が開始するように設定します。
実務上の注意点:
よくあるミスは、解約予告期間を無視して急に解約しようとし、トラブルになるケースです。契約書に「解約予告は3ヶ月前」とある場合は、原則としてその期間を守る必要があります。一方で、相手方の債務不履行(支援未実施など)が明らかな場合は、即時解約が認められる可能性もありますが、法的な判断が必要になるため専門家への相談をお勧めします。
Step2:入管への「登録支援機関の変更届出」における記載内容の整合性と社労士が教える注意点
【結論】このステップでは、支援機関の変更から14日以内に、出入国在留管理庁へ必要な届出を行います。
支援機関を変更した場合、入管法に基づき、遅滞なく届出を行う義務があります。この届出を怠ると、受入れ機関としての適格性を疑われることになります。
- 支援計画変更に係る届出書の作成:新しい支援機関の情報、支援責任者・担当者の氏名などを記載します。
- 添付書類の準備:新しい支援委託契約書の写し、支援計画書(全科目)などを準備します。
- 提出期限の遵守:変更事由が発生した日(契約切替日)から14日以内に管轄の地方出入国在留管理官署へ提出、またはオンラインで届出を行います。
実務上の注意点:
届出書には「変更の理由」を記載する欄はありませんが、実態として支援の中断がないことを証明するために、新旧の契約期間が連続していることが重要です。もし自社支援に切り替える場合は、支援責任者や担当者の要件証明(過去2年間の指導相談実績など)が厳格に求められるため、単なる機関変更よりもハードルが高くなります。一方で、別の登録支援機関へ変更する場合は、新機関が主導して書類作成を行うケースが大半ですが、最終的な届出義務者は「受入れ企業」であることを忘れないでください。
Step3:支援機関変更に伴う「雇用契約」の再点検|労働条件の齟齬を解消し法的リスクを排除する
【結論】このステップでは、支援機関の変更を機に、雇用契約書や労働条件通知書の内容が現行の法令や実態に合致しているかを再確認します。
「支援機関を変えるだけだから、雇用契約はそのままで良い」と考えるのは危険です。新しい支援機関は、コンプライアンスチェックの一環として、既存の労働条件を厳しくチェックします。その際、これまでの運用における不備が発覚することが多々あります。
- 日本人従業員との同等報酬:昇給や賞与の規定が、日本人社員と比較して不当に低くなっていないか確認します。
- 36協定と残業時間:実際の残業時間が36協定の範囲内に収まっているか、割増賃金の計算が正しいかを点検します。
- 従事する業務内容:特定技能の区分(例:飲食料品製造業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業など)で認められた業務範囲を逸脱していないか確認します。
実務上の注意点:
以前の支援機関が「なあなあ」で済ませていた部分(例:変形労働時間制の運用不備や、休憩時間の未取得など)が、変更のタイミングで表面化することがあります。ここで不備を修正しないと、新しい支援機関が適正な支援計画を作成できません。一方で、労働条件を変更(改善)する場合は、外国人本人に丁寧に説明し、同意を得た上で雇用条件書を巻き直す必要があります。
Step4:外国人本人への「丁寧な説明」が鍵|変更に伴う不安を解消し離職を未然に防ぐケア
【結論】このステップでは、外国人社員に対して、支援機関を変更する理由とメリット、今後の連絡体制について母国語または十分に理解できる言語で説明します。
特定技能外国人にとって、登録支援機関の担当者は日本での生活を支える「命綱」です。会社側の都合で突然担当者が変わることは、私たちが想像する以上に大きな不安を与えます。この不安が「会社への不信感」に変わり、離職につながるケースは後を絶ちません。
- 説明会の実施:可能な限り対面で、会社代表者や人事担当者から直接説明します。新しい支援機関の担当者にも同席してもらうのがベストです。
- 変更理由のポジティブな伝達:「より手厚いサポートをするため」「相談しやすい体制を作るため」など、本人にとってのメリットを強調します。
- 連絡先の周知:新しい担当者のLINEや電話番号をその場で登録させ、いつでも相談できる状態を作ります。
実務上の注意点:
特に注意が必要なのは、旧支援機関の担当者と外国人が個人的に親しい場合です。旧担当者が退職や独立をして、外国人を引き抜こうとするトラブルも散見されます。会社として正式に変更することを毅然と伝え、業務上の連絡は新しいルートで行うよう徹底させてください。一方で、外国人が旧担当者に強い信頼を寄せている場合は、無理に引き離すような言い方は避け、「会社としてチームでサポートする」姿勢を見せることが重要です。
Step5:変更後の支援実施状況をどう管理するか?「丸投げ」から脱却する中長期的な体制構築
【結論】このステップでは、新しい支援機関による支援が適正に行われているかをチェックする社内フローを確立し、企業主体の管理体制を構築します。
支援機関を変更して終わりではありません。特定技能制度において、支援の実施責任は最終的に受入れ企業にあります。支援機関への「丸投げ」は、再び質の低下を招く原因となります。
- 定期面談報告書の精査:3ヶ月に1回提出される報告書に必ず目を通し、本人の悩みや健康状態を把握します。「特になし」ばかりの報告書は要注意です。
- 支援機関との定例ミーティング:半年に1回程度は支援機関の担当者と面談し、支援の方針や現場の課題を共有します。
- 社内メンターとの連携:支援機関任せにせず、現場の日本人社員(メンター)からも外国人の様子をヒアリングし、支援機関からの報告と食い違いがないか確認します。
実務上の注意点:
新しい支援機関がスタートダッシュで手厚い対応をしてくれても、半年後には対応が雑になる……ということもあり得ます。企業側が「しっかりと監視している」「報告を求めている」という姿勢を見せ続けることが、支援の質を維持する最大のポイントです。一方で、支援機関と良好なパートナーシップが築ければ、採用計画の相談や、他の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)への変更提案など、人事戦略上の強力な味方となります。
まとめ
特定技能の登録支援機関を変更することは、単なる事務手続きではなく、外国人材の定着と活躍を促進するための重要な経営判断です。契約の切れ目を作らないスケジューリング、入管への正確な届出、そして何より外国人本人への丁寧なケアが成功の鍵を握ります。
「安かろう悪かろう」の支援から脱却し、質の高い支援体制を構築することは、結果として採用コストの削減や生産性の向上につながります。もし現在の支援体制に不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、現状のリスクを洗い出すことから始めてみてはいかがでしょうか。
特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
監修者プロフィール
本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。
日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。
- 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
- キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
- HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
- 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
- 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
- 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
- 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績
制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。
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