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特定技能2号で家族帯同を実現!条件クリアと離職ゼロを両立する社労士の戦略的雇用術

2026.02.13 社労士コラム

特定技能制度を活用する企業にとって、優秀な外国人材に長く働いてもらうことは至上命題です。しかし、特定技能1号の期間中、多くの外国人が「家族に会えない寂しさ」から帰国や離職を選択してしまう現実があります。そこで注目されているのが、家族帯同が可能となる「特定技能2号」への移行です。

本記事では、特定技能2号への移行条件や家族帯同の手続き、そして制度移行を見据えた長期雇用戦略について、外国人雇用に強い社会保険労務士が実務的な視点で解説します。単なる制度解説ではなく、実際の顧問先での成功事例や、社労士だからこそ知るコンプライアンスの落とし穴まで、企業の採用担当者が知っておくべき情報を網羅しました。

「家族に会いたい」が最大の離職理由?特定技能1号が抱える孤独と企業が負う早期帰国リスク

【結論】家族との長期間の分離は、特定技能外国人にとって最大のストレス要因であり、企業にとっては予期せぬ早期離職や帰国を招く最大のリスク要因です。

特定技能1号の在留期間は通算で最大5年ですが、この間、原則として家族の帯同は認められていません。単身で日本に滞在し働くことは、想像以上の孤独を伴います。母国に残した配偶者や子供に会えない期間が長引くにつれ、ホームシックにかかったり、精神的な不調を訴えたりするケースは後を絶ちません。

「家族と一緒に暮らせないなら、国へ帰りたい」という申し出は、企業側にとっては突然のことのように感じられるかもしれませんが、本人の中では長く蓄積された悩みです。特に、以下のような条件分岐でリスクの度合いが変わります。

  • 定期的な一時帰国を推奨・支援している場合:ガス抜きができ、モチベーションを維持しやすい。
  • 業務多忙を理由に帰国を認めない場合:精神的な限界を迎え、突発的な退職や失踪のリスクが跳ね上がる。

企業としては、特定技能2号への移行(家族帯同)というゴールを提示することで、この「孤独な期間」を「将来のための準備期間」という意味合いに変えることができます。しかし、ただ待たせるだけでは不十分であり、メンタルヘルスケアを含めた寄り添う姿勢が求められます。

特定技能2号への移行条件を徹底解剖|家族帯同を許可されるために必要な「実務的な壁」の超え方

【結論】特定技能2号へ移行し家族帯同を実現するためには、各分野で定められた高度な技能試験への合格と、現場監督者レベルの実務経験の証明が必須です。

特定技能2号は、1号修了者が自動的に移行できるものではありません。家族帯同という大きなメリットがある分、そのハードルは決して低くありません。具体的には、以下の2つの壁を超える必要があります。

  • 技能水準:1号よりも高度な知識・技能を要する試験(特定技能2号評価試験など)に合格すること。
  • 実務経験:現場で複数の作業員を指導・監督する「班長」や「リーダー」としての実務経験を有していること。

ここで重要なのが、実務経験の証明方法です。実務上よくあるケースとして、単に在籍期間が長いだけでは「監督者としての経験」とは認められないことがあります。企業側が、彼らをリーダーとして任命し、実際に指導的役割を担わせていたという客観的な記録や評価が必要になります。

また、家族帯同の範囲についても誤解が多いポイントです。帯同が認められるのは「配偶者」と「子」に限られます。親や兄弟姉妹は呼ぶことができません。この点を事前に本人に説明しておかないと、「2号になったら両親も呼べると思っていた」というミスマッチが生じ、トラブルの原因となります。

実際の顧問先で起きた「家族呼び寄せ」の成功例|2号移行を待たずに企業ができる精神的定着支援

【結論】特定技能2号への移行を待たずとも、「短期滞在ビザ」を活用して家族を一時的に日本へ招待することは、最強の定着支援策となります。

「2号になるまで家族には会えない」と決めつけていませんか? 実は、観光や親族訪問を目的とした「短期滞在ビザ(90日以内)」を利用すれば、1号の期間中でも家族を日本に呼ぶことは可能です。もちろん就労はできませんが、日本での生活を体験してもらうことは大きな意味を持ちます。

実際の顧問先では、モチベーションが低下していた特定技能社員に対し、会社が招聘人となって配偶者と子供を夏休みの2週間だけ日本に招待した事例があります。会社側が宿泊先の手配や手続きをサポートした結果、本人の帰属意識が劇的に向上し、「この会社で長く働き、必ず2号を取って家族を呼び寄せる」という強い決意に変わりました。

  • 会社がサポートを行わない場合:本人が自力で手続きを行うのはハードルが高く、諦めてしまうことが多い。
  • 会社が招聘人となりサポートする場合:ビザ発給の確度が高まり、社員のエンゲージメントが飛躍的に高まる。

このように、制度上の「家族帯同(在留資格:家族滞在)」がまだできなくても、運用上の工夫で「家族に会える環境」を作ることは可能です。これは福利厚生の一環としても非常に有効であり、離職防止に直結する投資と言えるでしょう。

社労士が警告!家族帯同で激変する社会保険・扶養手続きの落とし穴と法務コンプライアンス

【結論】家族を帯同する場合、社会保険の被扶養者認定における「国内居住要件」の確認と、配偶者が就労する場合の「資格外活動許可」の管理がコンプライアンス上の最重要課題です。

特定技能2号で家族を呼び寄せた際、人事担当者が最も頭を悩ませるのが社会保険の手続きです。家族が日本に住所を有することになるため、健康保険の被扶養者として認定を受けられる可能性がありますが、これには厳格な収入要件があります。

実務上よくあるケースとして、呼び寄せた配偶者が日本でアルバイトを始めるパターンです。「家族滞在」の在留資格を持つ配偶者は、「資格外活動許可」を取得することで週28時間以内の就労が可能になります。しかし、ここで以下の条件分岐が発生し、手続きが複雑化します。

  • 配偶者の年収が130万円未満の場合:社会保険の扶養に入れる可能性が高い(ただし、同居要件などを満たす必要あり)。
  • 配偶者の年収が130万円以上になる場合:扶養を外れ、配偶者自身で勤務先の社会保険に加入するか、国民健康保険・国民年金に加入しなければならない。

特に注意が必要なのは、週28時間の制限を超えて働かせてしまった場合です。これは不法就労助長罪に問われる可能性があり、本人の在留資格更新にも影響します。また、扶養に入れているのに収入オーバーしていたことが後から発覚すると、遡って保険料を徴収されるなど、大きなトラブルに発展します。社労士等の専門家と連携し、毎月の給与管理だけでなく、世帯単位での収入管理と届出を徹底する必要があります。

2026年育成就労制度への移行を見据えた「家族を呼べる環境」へのアップデートと長期雇用戦略

【結論】2026年開始予定の「育成就労制度」を見据え、特定技能2号へのキャリアパスを明確に示すことが、今後の外国人材獲得競争を勝ち抜くための必須条件となります。

技能実習制度に代わる「育成就労制度」では、原則として3年間の就労を通じて特定技能1号への移行を目指すことが基本ルートとなります。つまり、外国人材のキャリアは「育成就労(3年)→特定技能1号(5年)→特定技能2号(無期限・家族帯同)」という長期的なタイムラインで描かれることになります。

企業はこの長い期間を見据え、「いつの時点でどのような条件を満たせば家族を呼べるのか」というロードマップを提示する必要があります。

  • 場当たり的な雇用の場合:将来の展望が見えず、より条件の良い企業へ転職されてしまう。
  • キャリアパスが明確な場合:「家族と日本で暮らす」という明確な目標を共有でき、長期定着とスキルアップが連動する。

特定技能2号は、事実上の「移民」に近い受け入れ態勢を意味します。住居の確保、子供の教育環境、地域社会との共生など、企業がサポートすべき範囲は広がりますが、それに見合うだけの熟練した労働力を確保できるメリットは計り知れません。制度改正を好機と捉え、家族を含めた生活支援体制(ライフサポート)を構築することが、選ばれる企業になるための戦略です。

まとめ

特定技能2号による家族帯同は、外国人材にとっての「夢」であり、企業にとっては「定着の切り札」です。移行条件のクリア、短期滞在ビザの活用、そして複雑な社会保険手続きへの対応など、乗り越えるべきハードルはありますが、これらを戦略的に進めることで、離職ゼロと企業の成長を両立させることが可能です。

特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

監修者プロフィール

本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。

日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。

  • 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
  • キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
  • HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
  • 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
  • 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
  • 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
  • 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績

制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。

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