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特定技能の登録支援機関|費用相場はいくら?社労士が教える委託料の内訳と失敗しない選び方
特定技能外国人の受入れを検討する企業にとって、登録支援機関への委託費用は継続的に発生する重要な経営コストです。「相場はいくらが適正なのか」「費用が安い業者には裏があるのか」といった疑問を持つ経営者様も多いのではないでしょうか。登録支援機関の選定を誤ると、コストがかさむだけでなく、法令違反による受入れ停止処分などの重大なリスクを招く恐れがあります。
本記事では、外国人雇用に強い社会保険労務士が、登録支援機関の費用相場や委託料の内訳、そしてコストパフォーマンスを最大化するための選び方を実務視点で解説します。自社支援との比較や切り替え時の注意点も含め、失敗しない体制づくりのヒントとしてご活用ください。
特定技能の登録支援機関に支払う費用相場と委託料の主な内訳
【結論】初期費用は1名あたり10万円〜20万円、月額支援委託料は1名あたり2万円〜3万円が一般的な相場です。
特定技能外国人を雇用する際、登録支援機関に支払う費用は大きく「初期費用」と「月額費用」に分かれます。初期費用には、事前ガイダンスの実施や生活オリエンテーション、入管への申請取次費用(行政書士報酬が含まれる場合もある)が含まれます。一方で、月額費用は入社後の定期面談や相談対応、四半期ごとの入管報告などのランニングコストです。
費用の内訳例
- 初期費用:事前ガイダンス、住居確保支援、生活オリエンテーション、公的手続き同行
- 月額費用:3ヶ月に1回の定期面談、随時の生活相談、日本語学習の機会提供、入管への定期報告
費用の総額は、支援内容の範囲や契約期間によって変動します。例えば、住居の契約手続きやライフラインの開設までフルサポートする場合は初期費用が高くなる傾向があります。逆に、一部の手続きを自社で行う場合は減額されることもありますが、責任分界点が曖昧になりやすいため注意が必要です。
初期費用と月額支援委託料の相場は?支援内容による価格差が生じる理由
【結論】通訳体制の充実度や対応エリア、緊急時対応の有無によって価格差が生じます。
登録支援機関によって見積もりに幅があるのは、主に「人件費」と「対応工数」の違いによるものです。例えば、自社で多言語対応可能なスタッフを正社員として雇用している機関は、通訳コストが固定化されているため、安定したサービスを適正価格で提供できます。一方で、通訳を外部委託している機関の場合、面談のたびに通訳料が上乗せされたり、基本料金が高めに設定されたりすることがあります。
また、支援対象エリアが広い場合や、地方の事業所へ訪問が必要な場合は、交通費や移動時間がコストに反映されます。実際の顧問先では、月額1万5千円という安価な提示を受けたものの、「訪問時の交通費は実費請求」「通訳は別途料金」という条件があり、結果的に月額4万円近くかかってしまったケースもありました。表面的な金額だけでなく、オプション料金の有無を必ず確認してください。
登録支援機関を切り替える際の費用負担と実務上の手続き・注意点
【結論】切り替え自体に行政手数料はかかりませんが、新機関への初期費用や旧機関への違約金が発生する場合があります。
「対応が悪い」「報告書が遅い」といった理由で登録支援機関を変更することは可能です。この際、入管への「支援計画書の変更届出」が必要ですが、これ自体に手数料はかかりません。しかし、新たに契約する登録支援機関に対して、再度初期費用(オリエンテーション費用等)が発生することが一般的です。また、現在の契約内容によっては、解約予告期間(例:3ヶ月前通知)を守らないと違約金が発生するケースがあります。
実務上よくあるケースとして、切り替え時の引き継ぎがスムーズにいかず、過去の定期面談記録や生活状況報告書が新機関に渡らないというトラブルがあります。これにより、入管への報告に矛盾が生じ、監査で指摘を受けるリスクがあります。切り替えを検討する際は、コストだけでなく、データや書類の引き継ぎが可能かどうかも重要な判断基準となります。
自社支援と登録支援機関への委託はどちらが安い?コストとコンプライアンスの比較
【結論】受入れ人数が5名以下の少人数であれば、委託の方がトータルコストとリスクを低く抑えられます。
「委託料がもったいないから自社で支援したい」と考える企業は多いですが、自社支援(支援の内製化)には見えないコストがかかります。支援責任者・担当者の選任、支援計画書の作成、3ヶ月に1回の定期面談と報告書の作成、そして24時間対応可能な相談体制の整備が必要です。これらを担当する社員の人件費や教育コストを試算すると、少人数の受入れでは割に合いません。
一方で、受入れ人数が10名、20名と増えてくれば、専任スタッフを雇用して自社支援に切り替えることでスケールメリットが出ます。ただし、自社支援は「支援の中立性」が問われやすく、入管の審査も厳しくなる傾向があります。コンプライアンス違反があれば受入れ停止となるため、コスト削減だけでなく、法務リスクを管理できる体制があるかが分かれ目となります。
費用が安すぎる登録支援機関のリスク|入管監査や受入れ停止を避けるチェックポイント
【結論】月額1万円以下などの極端に安い業者は、法定支援が実施されず受入れ停止処分を招くリスクが高いです。
相場を大きく下回る格安の登録支援機関には注意が必要です。コストを削るために「定期面談をオンラインのみで済ませる(本来は対面原則)」「通訳を使わず日本語だけで対応する」「報告書の作成がずさん」といった運用を行っている可能性があります。これらは特定技能運用要領に違反する行為であり、発覚すれば登録支援機関の登録取り消しだけでなく、受入れ企業側も指導対象となり、最悪の場合は特定技能外国人の雇用継続ができなくなります。
チェックすべきポイント
- 定期面談は必ず対面で行っているか(条件付きでオンライン可の場合もあるが原則は対面)
- 母国語対応できるスタッフが在籍しているか
- 過去に入管から改善命令を受けていないか
「安かろう悪かろう」が許されないのが特定技能制度です。企業の存続に関わるリスクであることを認識し、適正な対価で法令遵守を徹底する機関を選んでください。
特定技能外国人の「定期面談」と「四半期報告」に係る実務コストと委託のメリット
【結論】3ヶ月に1回の定期面談と入管への報告は義務であり、この実務工数は想像以上に重い負担となります。
特定技能制度において最も負担が大きいのが、3ヶ月に1回以上の頻度で行う「定期面談」と、その結果を管轄の入管へ届け出る「四半期報告」です。面談は生活状況や労働条件について詳しくヒアリングする必要があり、原則として母国語で行わなければなりません。これを自社で行う場合、通訳の手配や面談記録の作成、入管への電子届出または窓口持参といった業務が発生します。
一方で、地方拠点に外国人が点在している場合などは、本社スタッフが巡回する移動コストだけでも委託料を上回ることがあります。これまで多くの企業を支援してきた中で、当初は自社支援を試みたものの、「報告書の不備で入管に何度も呼び出された」「面談のスケジュール調整が限界」といった理由で、途中から登録支援機関へ委託するケースを数多く見てきました。アウトソーシングは、確実な法令履行を買うという意味でも有効です。
顧問社労士と登録支援機関を連携させるべき理由|二重払いを防ぐ役割分担の最適解
【結論】労務管理は社労士、生活支援は登録支援機関と役割分担することで、二重払いを防ぎ専門性を最大化できます。
登録支援機関の中には、労務相談や給与計算まで請け負うところもありますが、これらは本来、社会保険労務士の独占業務(またはそれに準ずる専門領域)です。登録支援機関が労働基準法や社会保険の知識に乏しい場合、誤ったアドバイスによって労使トラブルに発展することがあります。逆に、社労士は生活支援(住居探しや携帯契約など)の実働部隊を持たないことが一般的です。
最適なのは、就業規則や雇用契約、36協定などの「労務管理」は顧問社労士に任せ、入管法に基づく「支援実施」は登録支援機関に任せるという体制です。両者が連携することで、例えば「残業が多い」という面談結果を社労士が吸い上げ、労務改善につなげるといった相乗効果が生まれます。費用対効果を高めるためにも、それぞれの専門分野を明確にし、重複コストを避けることが重要です。
登録支援機関の選定で比較すべき「支援体制」と「実務経験」の具体的な判断基準
【結論】支援体制の「通訳の常駐有無」と実務経験の「特定技能の支援実績数」を具体的な数値で確認すべきです。
登録支援機関を選ぶ際は、パンフレットの文言だけでなく、具体的な体制を質問してください。「対応言語は何語か」「その言語のスタッフは常勤か、非常勤か」「夜間休日の緊急連絡先はあるか」といった点は必須確認事項です。特に、通訳が常勤でない場合、急な病気や事故の際に即座に対応できないリスクがあります。
また、実務経験については「特定技能外国人の支援実績人数」と「自社と同業種の支援実績」を確認しましょう。建設業や介護業など、業種特有の事情(現場移動が多い、夜勤がある等)を理解していない機関だと、現場との摩擦が起きやすくなります。最終的な判断は個別相談が必要ですが、同業他社からの評判や紹介も信頼できる情報源となります。
費用対効果を最大化する!特定技能の定着率を高めるための支援委託の活用方法
【結論】単なる事務代行ではなく、キャリア相談や生活トラブル解決に強い機関を選ぶことが定着率向上への投資となります。
登録支援機関への委託料を「掛け捨てのコスト」と捉えるか、「定着のための投資」と捉えるかで、得られる成果は変わります。質の高い支援機関は、外国人の孤独感や将来の不安に寄り添い、離職の予兆を早期に察知して企業側にフィードバックしてくれます。結果として、早期離職が防げれば、採用コストや教育コストの損失を回避でき、トータルの費用対効果は高くなります。
一方で、事務的な手続きしかしない機関に委託していると、外国人の不満が蓄積し、より条件の良い企業へ転職されてしまうリスクが高まります。特定技能は転職が可能な在留資格です。「長く働いてもらうための環境づくり」をパートナーとして一緒に考えてくれる機関を選ぶことが、結果的に最もコストパフォーマンスの良い選択となります。
まとめ
特定技能の登録支援機関にかかる費用は、初期費用10〜20万円、月額2〜3万円が相場ですが、支援内容の質や体制によって適正価格は異なります。安さだけで選ぶとコンプライアンス違反や離職リスクを招くため、慎重な選定が必要です。自社のリソースと相談しながら、社労士や信頼できる支援機関と連携し、安定した受入れ体制を構築してください。
特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
監修者プロフィール
本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。
日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。
- 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
- キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
- HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
- 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
- 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
- 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
- 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績
制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。
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