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特定技能の支援計画で失敗しない!義務的支援10項目と実務上の注意点を社労士が解説

2026.01.03 特定技能制度

「特定技能外国人を採用したいが、特定技能 支援計画の作成方法が複雑で分からない」「自社で支援できるのか、登録支援機関に委託すべきか迷っている」といったお悩みはありませんか?特定技能制度、特に1号特定技能外国人の受け入れにおいては、企業(特定技能所属機関)に対して手厚い生活・就労支援が義務付けられています。

この支援計画は単なる書類作成ではなく、外国人が日本で円滑に働き続けるための重要な基盤です。計画の不備や実施漏れは、最悪の場合、在留資格の取り消しや今後の受け入れ停止といった重いペナルティにつながりかねません。本記事では、特定技能 支援計画の基本から、義務的支援10項目の詳細、よくある失敗事例と対策まで、実務の現場を知る社労士の視点で分かりやすく解説します。

特定技能の支援計画とは?企業が知るべき基本と重要性

Q1. 特定技能1号の支援計画とはどのようなものですか?

特定技能 支援計画(正式名称:1号特定技能外国人支援計画)とは、特定技能1号の在留資格を持つ外国人が、日本での職業生活、日常生活、社会生活を安定的かつ円滑に行えるようにするためのサポート内容を定めた計画のことです。

技能実習制度とは異なり、特定技能1号はあくまで「労働者」としての受け入れですが、まだ日本の生活に不慣れなケースも多いため、法律(入管法)によって受入れ企業に支援の実施が義務付けられています。具体的には、入国前のガイダンスから帰国時の送迎まで、多岐にわたるサポート項目が含まれます。

この支援計画は、在留資格認定証明書交付申請(ビザ申請)の際に必ず提出しなければなりません。また、計画を作成するだけでなく、記載された内容を確実に「実施」することが求められます。支援が適切に行われていないと判断された場合、改善命令や指導の対象となるため、実現可能な計画を策定することが極めて重要です。

義務的支援10項目を徹底解説:各項目の詳細と実務上の実施ポイント

Q2. 義務付けられている10項目の支援内容は具体的に何ですか?

特定技能 支援計画において実施しなければならない「義務的支援」は以下の10項目です。これらは省略することができず、すべて実施する必要があります(留学生などですでに日本での生活に慣れている場合でも、一部を除き原則実施が必要です)。

  • ①事前ガイダンス:雇用契約締結後、入国前に労働条件や活動内容を説明する(対面またはテレビ電話等で実施)。
  • ②出入国する際の送迎:入国時は空港から事業所・住居への送迎、帰国時は空港の保安検査場までの送迎・同行。
  • ③住居確保・生活に必要な契約支援:社宅の提供や賃貸契約の連帯保証人になること、銀行口座開設、携帯電話契約、ライフラインの手続き補助。
  • ④生活オリエンテーション:入国後、日本のルール(ゴミ出し、交通、防災)、医療機関の利用法、役所手続きなどを8時間以上説明する。
  • ⑤公的手続き等への同行:住民登録、納税、社会保険の手続きなどに同行しサポートする。
  • ⑥日本語学習の機会の提供:日本語教室の案内、教材の提供、受講料の補助などを行う。
  • ⑦相談・苦情への対応:職場や生活に関する相談に、外国人が十分に理解できる言語で対応する体制を作る。
  • ⑧日本人との交流促進:地域行事や自治会活動、社内イベントへの参加を促し、孤立を防ぐ。
  • ⑨転職支援:倒産や解雇など、会社都合で契約解除する場合、次の就職先を探すための支援を行う。
  • ⑩定期的な面談・行政機関への通報:3ヶ月に1回以上、支援責任者等が面談を行い、労働基準監督署などへ通報すべき問題がないか確認する。

Q3. 特に注意すべき支援項目の実施ポイントはありますか?

実務上、特に負担が大きくトラブルになりやすいのが「生活オリエンテーション」と「相談・苦情への対応」です。

生活オリエンテーションは、単に資料を渡すだけでは不十分です。外国人が母国語で内容を十分に理解できるよう、通訳を交えるか、多言語対応の教材を使用する必要があります。特にゴミ出しのルールや騒音などのマナーは、近隣住民とのトラブルに直結するため、実際の住居で丁寧に指導することがポイントです。

また、相談対応については「平日の9時から17時まで」といった形式的な窓口設置だけでなく、緊急時に連絡が取れる体制が求められます。特定技能 支援計画では、相談内容は記録として残し、四半期ごとの定期報告(現在は制度改正により年1回報告へ移行等の動きあり)の際に提出する必要があるため、日々の記録管理も忘れてはいけません。

特定技能の支援計画で【よくある失敗例】と未然に防ぐための対策

Q4. 支援計画の運用で企業が陥りがちな失敗事例を教えてください。

特定技能 支援計画の運用において、企業がよく陥る失敗事例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 計画と実態の乖離:申請時には立派な計画書を出したが、実際には「忙しいから」とオリエンテーションを短縮したり、面談を行っていなかったりするケース。これは虚偽の届出とみなされる危険性があります。
  • 母国語対応の不備:「少し日本語が話せるから」と、日本語だけで重要な契約説明やガイダンスを行ってしまうケース。法的には「十分に理解できる言語」での支援が必須であり、後々の言った言わないのトラブルの原因になります。
  • 定期面談の記録漏れ:面談自体は雑談程度で行っていても、法定の「定期面談報告書」として記録を残していないケース。入管の実地調査で指摘される典型的なミスです。
  • 送迎の認識不足:出国時の送迎を「駅まで送った」で済ませてしまうケース。法令上は「保安検査場への入場」までを見届ける必要があります。

これらの失敗を防ぐためには、支援実施のチェックリストを作成し、いつ・誰が・どのような支援を行ったかを都度記録する体制を整えることが不可欠です。

登録支援機関の活用法:自社で対応する?外部委託する?

Q5. 登録支援機関への委託と自社支援、どちらが良いのでしょうか?

特定技能 支援計画の実施は、受入れ企業が自ら行う「自社支援」と、国の登録を受けた「登録支援機関」に委託する「外部委託」の2つの方法があります。どちらが良いかは、企業の体制によります。

外部委託のメリットは、煩雑な支援業務や専門的な書類作成をプロに任せられる点です。特に通訳スタッフがいない企業にとっては、多言語対応を委託できる点が大きな利点です。一方で、外国人1人あたり月額2〜3万円程度の委託費用がかかる点がデメリットです。

自社支援のメリットは、委託費用を削減できることと、支援を通じて外国人社員との信頼関係が深まることです。ただし、後述する厳しい要件を満たす必要があり、専門知識を持った担当者の育成が必須となります。

Q6. 自社で支援を行うための要件(内製化の条件)は何ですか?

自社で特定技能 支援計画を実施するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 過去2年以内に、外国人(中長期在留者)の適正な受入れ実績があること(または支援責任者が過去2年以内に支援業務に従事した経験があること)。
  • 外国人が十分に理解できる言語で支援できる体制があること(社内に通訳ができる職員がいる等)。
  • 支援の実施状況に係る文書を作成し、保管できること。
  • 支援責任者・支援担当者が、欠格事由(過去の入管法違反など)に該当しないこと。
  • 支援の中立性を確保するため、支援担当者が外国人の指揮命令者(直属の上司など)ではないこと。

特に「中立性の確保」は見落としがちです。上司が支援担当者を兼任すると、外国人がパワハラ等の相談をしにくくなるため認められません。部署を変えるなどの工夫が必要です。

支援計画の適切な運用とコンプライアンス:実地指導・罰則の注意点

Q7. 支援計画を適正に実施しない場合、どのような罰則がありますか?

特定技能 支援計画を適正に実施しなかった場合、または虚偽の届出を行った場合は、厳しい罰則が科される可能性があります。

具体的には、出入国在留管理庁からの「指導・助言」や「改善命令」の対象となります。改善命令に従わなかった場合、特定技能外国人の受入れが取り消されるだけでなく、その後5年間は新たな特定技能外国人の受け入れができなくなります(受入れ停止処分)。

また、支援を行っていないにもかかわらず「行った」と虚偽の報告をした場合や、名義貸し等の不正行為があった場合は、罰金刑などの刑事罰の対象になることもあります。コンプライアンス遵守は、企業の存続に関わる重要事項と認識してください。

効果的な支援計画のための書類作成・管理と定期報告のポイント

Q8. 支援実施状況の定期報告(定期届出)はいつ行う必要がありますか?

特定技能所属機関には、支援計画の実施状況を入管に報告する義務があります。これまで制度上は「四半期に1回(3ヶ月ごと)」の届出が求められてきましたが、最新の制度改正(2025年施行の法改正等)により、一部の届出頻度が「年1回」に変更されています。

具体的には、毎年4月1日から5月31日までの間に、前年度(4月〜翌3月)の受入れ状況や支援実施状況をまとめて報告する形式へ移行している場合があります。ただし、企業の状況や管轄の入管によっては確認が必要な場合もあるため、必ず出入国在留管理庁の最新情報を確認してください。報告期限を過ぎると法令違反となるため、カレンダー等で厳重に管理しましょう。

Q9. 支援計画関連の書類作成や管理で効率化するコツはありますか?

特定技能 支援計画に関連する書類は膨大です。「支援実施状況に係る届出書」「定期面談報告書」「相談記録書」など、多岐にわたります。

効率化のコツは、クラウド型の労務管理システムや特定技能専用の管理ツールを導入することです。これにより、期限管理のアラートや様式の自動作成が可能になります。また、登録支援機関に委託している場合でも、すべての責任を丸投げせず、毎月の報告書を必ずチェックし、自社で保管するダブルチェック体制を作ることが、リスク管理の観点からも推奨されます。

まとめ

特定技能外国人の受け入れにおいて、特定技能 支援計画の策定と適正な運用は、企業の法的義務であり、外国人材定着のカギを握る重要な要素です。義務的支援10項目を確実に実施し、形式的な対応ではなく、外国人に寄り添ったサポートを行うことで、彼らは企業の貴重な戦力として活躍してくれるでしょう。

支援計画の作成や自社支援の体制構築に不安がある場合は、専門家である社会保険労務士や登録支援機関に相談することをお勧めします。コンプライアンスを守りながら、持続可能な外国人雇用体制を築いていきましょう。

外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。

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