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知らないと損!労災保険は「事業所ごと」に管理が必要な理由とは?

2025.09.14 スタッフブログ

「労災保険って会社全体で1つ入ればいいんじゃないの?」「支店や営業所ごとに申請が必要なの?」「もし登録を忘れていたら、事故があっても補償されない?」

このように、労災保険に関して「事業所ごと」の取り扱いに悩む企業担当者は少なくありません。特に東京・大阪・福岡・名古屋など全国に複数の拠点を展開している中小企業にとっては、誤解や漏れが重大なリスクにつながります。

多くの企業がこの制度を正しく理解しておらず、結果として従業員に適切な補償が行われなかったり、助成金の対象から外れたりするケースも。

この記事では、労災保険制度の基本と「なぜ事業所ごとの管理が必要なのか」、そして事業所単位で行うべき手続きや実務ポイントについて解説します。

顧問社労士やアウトソースサービスの活用、DXによる内製化支援の活用方法にも触れつつ、給与計算や就業規則とあわせたトータルな労務管理の重要性をお伝えします。

なぜ労災保険は「事業所ごと」に扱われるのか?制度の基本と注意点

■ 労災保険の目的と制度の概要

労災保険(労働者災害補償保険)は、業務上の事故や通勤途中の災害に対し、治療費や休業補償を提供する公的保険制度です。労働者を1人でも雇用すれば加入義務が発生し、原則としてすべての事業所が個別に適用事業所として登録される必要があります。

■ 「事業所ごと」に登録する必要がある理由

労災保険が災害発生場所の特定業種区分ごとのリスク管理を前提として設計されているため、支店・営業所・工場などがそれぞれ異なる条件下で活動している場合、まとめて1つの保険関係として管理することが不適切だからです。

■ たとえば:大阪本社と名古屋支店での違い

たとえば大阪の本社では事務作業が中心、名古屋支店では配送業務がメインという企業では、労災リスクも保険料率も異なります。事業所ごとに登録していなければ、事故発生時に適切な補償が行えない可能性があります。

■ 「一括有期事業」との違いに注意

建設業などでよく使われる「一括有期事業」のように、一定期間・場所で完結する事業は例外的にまとめて扱える場合もありますが、継続的に存在する事業所は「個別に登録」するのが原則です。

■ 現状の傾向:登録漏れが多いのは地方支店

福岡や地方都市の拠点では、本社の人事総務が管理しきれず、労災保険の登録手続きがされていない事例が見られます。これは重大な労務リスクです。

■ DX導入で管理の一元化も可能に

最近では、クラウド労務管理システムの普及により、複数の事業所を一元的に管理しつつ「事業所ごとの保険手続き」も忘れず対応できる仕組みが整ってきています。

■ 顧問社労士の重要性

東京や大阪の中堅企業では、労災保険の「事業所単位の手続き」を顧問社労士に委託することで、正確かつスピーディに処理している事例が増加中です。

■ 実は知られていない:助成金審査での影響

労災保険の適用事業所が未登録だと、人材開発支援助成金やキャリアアップ助成金の支給対象外になるケースも。これは多くの企業が見落としがちなリスクです。

労災保険を「事業所ごと」に正しく管理するための8つのアクション

  1. すべての拠点の労災保険適用状況を確認する
    理由:登録漏れがあると事故時に補償されないリスクがあります。
    方法:本社・支店・工場・営業所などすべての拠点の届け出状況を洗い出します。
    効果:大阪の物流企業A社では、未登録の地方倉庫を把握し、早期に是正できました。
  2. 新設拠点は必ず「労災保険新規適用届」を提出する
    理由:新設時点で個別の適用事業所として届け出なければなりません。
    方法:開設直後に労働基準監督署へ書類を提出し、保険関係成立日を明確にします。
    効果:名古屋の建設会社B社では、事前準備により開設翌日から保険が適用されました。
  3. 就業規則に拠点ごとの労働条件を明記する
    理由:拠点間で職種・勤務条件が異なる場合は記載が必須です。
    方法:本社・支店・現場などごとに異なる条件を反映した就業規則を作成。
    効果:東京の製造業C社では、労災対応時の判断が迅速になりました。
  4. 給与計算システムに拠点コードを導入
    理由:拠点単位での管理がしやすくなります。
    方法:勤怠や給与情報に「事業所コード」を紐づけ、労災対応や助成金申請と連携。
    効果:福岡のIT企業D社では、DXによって労務情報のミスが大幅に減少しました。
  5. 顧問社労士と定期的に情報共有する
    理由:法改正や手続きミスの早期発見につながります。
    方法:月1回の報告ミーティングや、チャットツールでの日常連絡を導入。
    効果:大阪のサービス業E社では、全拠点のコンプライアンス体制が強化されました。
  6. アウトソースと内製化の役割分担を明確にする
    理由:事務負担の最適化が可能になります。
    方法:届出や申請は社労士事務所に委託し、日常の管理は社内で行うハイブリッド運用。
    効果:名古屋の広告会社F社では、業務負担が30%軽減されました。
  7. 事業所単位の労災データを集計・分析する
    理由:安全衛生管理の強化に直結します。
    方法:事故件数・休業日数・発生傾向を拠点ごとに可視化。
    効果:東京の小売企業G社では、事故率が前年比40%改善されました。
  8. やってはいけない:本社だけにまとめて申請
    理由:本社しか保険が成立していないと、支店での事故は補償されない可能性があります。
    方法:所在地ごとに適用事業所として届け出を徹底する。
    効果:全拠点で安心して働ける環境づくりにつながります。

Q&A:労災保険と事業所に関する疑問に答えます

Q. なぜ1つの法人でも事業所ごとに労災保険の手続きが必要?
A. 労災保険は災害発生場所の特定や業種ごとの保険料率に基づいて設計されているため、拠点ごとの登録が原則です。条件が異なれば補償の内容も変わります。

Q. 事業所の登録を忘れていたらどうなる?
A. 事故が発生した場合、労災が認定されないリスクがあります。特に助成金や給付金の支給対象から外れる可能性もあるため、早急な是正が必要です。

Q. 給与計算だけで拠点管理は十分では?
A. 給与計算だけでなく、保険・就業規則・労務リスクもすべて「拠点ごと」の視点で対応が必要です。給与と保険手続きの連携が不十分だと、重大な漏れにつながります。

Q. DX化すればすべて自動で安心?
A. 自動化は補助にはなりますが、法的判断や登録内容の正確性は人の確認が不可欠です。必ず社労士や専門家の確認と併用するのがベストです。

まとめ:労災保険は「事業所単位」での運用が企業の安全を守る

労災保険は、法人単位ではなく事業所単位での登録・管理が原則です。登録漏れや誤解があると、重大な補償トラブルや助成金の不支給につながる可能性があります。

大阪・東京・福岡・名古屋など複数拠点を持つ企業では、給与計算や就業規則との連携、顧問社労士やアウトソースとの役割分担がカギとなります。

今後さらに進むDXの中で、人の判断とシステムの連携がますます重要になります。

まずは自社の拠点ごとの状況を見直し、必要に応じて専門家と連携することで、安全で安心な労務体制を築いていきましょう。

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