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【60歳以降の健康保険、誤解だらけ?】定年・再雇用時の選び方と損しない手続き
「60歳を超えた社員の健康保険はどうなるの?」「再雇用契約になったら扶養のままにできる?」「会社が手続きミスをすると罰則はある?」
こうした不安や疑問は、大阪・東京・福岡・名古屋など都市部の中小企業で働く経営者や総務担当者の間で増えています。特に従業員数が100名以上の企業では、定年・再雇用・短時間勤務・社会保険適用基準などが絡み合い、実務対応が非常に複雑になります。
60歳以降の健康保険の取り扱いには、「退職する場合」「再雇用される場合」「扶養に入る場合」などさまざまな選択肢があります。この記事では、それぞれのケースに応じた対応方法や注意点、会社側の手続きや就業規則整備、DX・アウトソースによる実務の効率化まで、社会保険労務士の視点から詳しく解説します。
60歳を超えた社員と健康保険の基礎知識
定年退職後の健康保険の選択肢は3つ
60歳~65歳の間に定年・退職する社員が選べる保険制度は以下の3つです:
- ①任意継続被保険者(最大2年間)
退職時に健康保険組合や協会けんぽに申請することで、会社員時代と同じ保険に自費で加入。
メリット:保障内容が変わらず安心。
デメリット:保険料は全額自己負担(倍額)になる。 - ②家族の扶養に入る
被扶養者として配偶者などの健康保険に加入。
条件:年収130万円未満(※要件厳格化中)
メリット:保険料はゼロ。
デメリット:就労時間や報酬で制限される。 - ③国民健康保険に加入
市町村の国保に加入する方法。
メリット:自由度が高い。
デメリット:年齢・所得に応じて保険料が割高になるケースも。
再雇用時(嘱託・パートなど)の注意点
再雇用社員が「週20時間以上勤務」かつ「年収106万円以上」「勤務期間見込み1年以上」などの基準を満たす場合、再度「健康保険・厚生年金」の加入対象になります(社会保険の適用拡大)。
福岡のある製造業では、「短時間パート再雇用だから国保でいいだろう」と処理していたところ、実は加入義務があったことが後から発覚し、是正勧告を受けた事例もあります。
社会保険と就業規則・給与計算の関係
- 60歳以降の給与が月8.8万円以上で勤務条件が継続→健康保険再加入の可能性あり
- 役員として残る場合→雇用保険加入なし、健康保険は法人の種別・報酬により異なる
- 再雇用後の就業規則・賃金規程に「社会保険の取り扱い」を明記すべき
制度の裏話:高年齢者医療制度との関係
75歳になると「後期高齢者医療制度」に自動的に切り替わりますが、65歳〜74歳までは健康保険か国保かを選択する必要があります。65歳で年金受給開始=健康保険脱退という誤解も多いので注意が必要です。
企業が対応すべき8つの実務アクション
-
1. 就業規則に「再雇用と社会保険」の明記を
理由:対象者によって運用がブレるのを防ぐ。
効果:事前説明がしやすく、社員の混乱も防げる。 -
2. 退職前に「健康保険の選択肢」を案内
方法:任意継続、扶養、国保の違いを簡易資料で提供。
効果:誤選択や手続き遅れによる無保険期間を防止。 -
3. 再雇用契約書に社会保険の有無を記載
方法:勤務時間と報酬をもとに保険適用の判断を明記。
効果:労基署や年金事務所との整合性確保。 -
4. 給与計算で保険料の控除項目を切替
方法:再雇用後は月額変更届も必要になることが多い。
効果:ミスや過不足徴収を防止。 -
5. 雇用保険と健康保険の加入条件を再確認
理由:制度が年々変更されている。
効果:違法状態を未然に防げる。 -
6. DX・アウトソースで手続き負荷を削減
方法:電子申請対応の給与ソフト+社労士との連携強化。
効果:人的ミスを削減し、処理が迅速に。 -
7. 顧問社労士による社内説明会を開催
方法:年1回、定年・再雇用制度の説明を実施。
効果:対象社員の理解が深まり、トラブル予防に。 -
8. 助成金の対象かをチェック
方法:「高年齢者雇用安定助成金」などを社労士に確認。
効果:制度整備と助成金取得を同時に実現可能。
Q&A:60歳以降の健康保険でよくある疑問
Q. 再雇用で時短勤務なら健康保険は不要?
A. 週20時間以上勤務かつ要件を満たすと加入義務が発生します。「短時間=対象外」とは限らないため要注意です。
Q. 健康保険から扶養に切り替えた方が得?
A. 年収130万円未満で働く場合は、扶養の方が保険料負担はありません。ただし報酬や勤務時間に注意が必要です。
Q. 一度任意継続を選んだら変更できない?
A. 途中で「扶養に変更」「国保に切り替え」も可能。ただし途中解約にはルールがあるため、手続きミスに注意。
Q. 手続きを誤ったら罰則はある?
A. 故意・重大な過失があれば、監督署・年金機構から是正指導や追徴が発生することがあります。社労士と連携を。
まとめ:60歳以降の健康保険は“早めの設計”がカギ
60歳を超えると、健康保険の取り扱いが一気に複雑になります。本人の選択肢に任せるのではなく、企業として制度の仕組みを理解し、事前説明と手続き体制を整えることが重要です。
大阪・東京・福岡・名古屋など都市部では、定年再雇用の仕組みを整備することで、人材定着や助成金獲得にもつながります。就業規則・給与計算との整合、社労士やアウトソースとの連携を強化し、法令順守と運用効率の両立を目指しましょう。
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