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【損しない年金受給】特別支給の老齢厚生年金が減額される4つの理由と対策

2025.07.03 社労士コラム

「60歳からもらえるはずの年金が減額された!?」「特別支給の老齢厚生年金って何?どうして減額されるの?」「働いてると年金がもらえないって本当?」

こうした疑問は、大阪・東京・名古屋・福岡などの企業で60歳を迎えた従業員や、その対応をする総務担当者からよく寄せられます。特に、就業規則や給与計算と年金制度の関係が整理されていない場合、受給額の減少や誤解を生むリスクがあります。

「特別支給の老齢厚生年金」は、60歳から65歳になるまでの間、一定の条件を満たすと受給できる制度です。しかし、働きながら受給する場合、年金が減額または支給停止になるケースがあるため注意が必要です。

この記事では、減額される4つの主な理由とその対策、企業側が知っておくべき制度対応について、顧問社労士の視点でわかりやすく解説します。

特別支給の老齢厚生年金とは?制度の基本をおさらい

制度の背景

本来、老齢年金は65歳からの受給が原則です。しかし、年金制度改正の過渡期において、昭和36年4月1日以前生まれの男性(女性は昭和41年4月1日以前生まれ)を対象に、60歳から支給される「特別支給の老齢厚生年金」という制度が設けられています。

支給要件

  • 一定以上の厚生年金加入期間(原則:1年以上)
  • 60歳以上であること
  • 生年月日によって「報酬比例部分」「定額部分」の支給有無が異なる

注意:この制度は今後“廃止に向かう”方向

現在、対象者は段階的に縮小中。昭和36年4月2日以降生まれの方には、制度そのものが適用されません。

特別支給の年金が減額・停止される4つの主な理由とその対策

  1. 1. 働きながら受給すると「在職老齢年金制度」が適用
    給与+年金額が基準を超えると、年金が減額されます。具体的には以下の通り:
    【60歳〜64歳】→月額28万円を超えると一部支給停止
    【65歳以降】→月額47万円を超えると一部支給停止
    対策:
    ・給与調整(たとえば週4日勤務に変更)
    ・役員報酬・手当の見直し
    ・社内等級制度の再設計
  2. 2. 退職後すぐ再雇用すると“就労継続”とみなされる
    退職→再雇用の間にブランクがないと、「退職による支給開始」が認められず支給遅れ・減額の原因に。
    対策:
    ・1週間〜1か月程度のブランクを空ける
    ・雇用契約の変更を明確に記録する(嘱託・契約社員など)
  3. 3. 雇用保険受給中との重複
    失業給付(基本手当)と特別支給年金は同時に受給できません。一時的に年金が支給停止になります。
    対策:
    ・失業手当終了後に年金再開申請を行う
    ・顧問社労士へ「在職+失業」両立時の支給調整を相談
  4. 4. 標準報酬月額が高すぎる
    定時決定・随時改定などで標準報酬が高く算定されている場合、給与の額面は低くても等級上で「高収入」とみなされ、減額対象に。
    対策:
    ・就業規則で報酬項目の整理
    ・通勤手当・住宅手当など含めた賃金体系見直し

企業がとるべき実務対応と総務部の8つのアクション

  1. 1. 就業規則に高年齢雇用の項目を整備
    再雇用・役職変更・報酬体系のルールを明記し、混乱を防ぐ。
  2. 2. 給与計算と年金受給の連動チェック
    月額28万円基準を意識し、手当・賞与を分散させて調整する。
  3. 3. 顧問社労士による個別相談の実施
    高年齢社員に向けた「年金と給与の両立セミナー」も効果的。
  4. 4. DXを活用して年金と給与の可視化
    クラウド給与ソフトで月次比較レポートを自動出力し、年金との兼ね合いを事前把握。
  5. 5. 雇用契約の種類変更を明確に
    フルタイム→パート、役員→顧問などの契約変更を文書で残す。
  6. 6. 助成金の対象確認
    高年齢者雇用継続のための「65歳超雇用推進助成金」なども制度利用可能。
  7. 7. 退職時の説明書類を準備
    「特別支給の老齢厚生年金」について、対象者への通知・説明を制度的に整備。
  8. 8. 減額リスクの社内共有
    人事・経理・管理職に向けた「高年齢雇用と年金の基礎講習」など、社内教育も有効。

Q&A:特別支給の年金と減額に関する疑問

Q. 28万円を1円でも超えたら即停止?

A. 支給停止は段階的に行われます。月額28万円を超えた分の半額が年金から減額される仕組みです。

Q. 特別支給をもらいながら働いている人は多い?

A. はい。特に大阪や東京の大企業では、60代前半の再雇用者が多く、給与調整しながら両立している例が増えています。

Q. 年金が停止された月の保険料はどうなる?

A. 年金が支給されなくても、年金保険料の免除や支給再開時の調整が行われます。詳細は年金事務所か顧問社労士へ。

Q. 退職→再雇用の“間”はどれくらい空ければいい?

A. 最低でも1週間以上は空けて、雇用契約の連続性を断つのが望ましいです。1日でも空ければ形式上はOKですが、運用リスクを考えると1週間〜1か月程度が無難です。

まとめ:特別支給の老齢厚生年金は“制度理解と給与設計”がカギ

特別支給の老齢厚生年金は、制度を正しく理解し、就業規則・給与計算・手続きと連動させることで、減額を防ぎながら最大限の受給が可能になります。

大阪・東京・福岡・名古屋などの企業でも、高年齢社員の雇用延長と年金制度の両立が重要課題。社内の総務・人事・顧問社労士との連携で、適切な制度運用を進めましょう。

“働きながらもらえる年金”を最大限に活かす制度設計が、企業と社員の未来を支えます。

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