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完全歩合制とは?メリット・デメリットと企業が守るべき法律ポイント

2025.06.12 スタッフブログ

「完全歩合って法律的に問題ないの?」「最低賃金を下回ったら違法?」「就業規則や契約書に何を記載すべき?」——大阪・東京・福岡・名古屋の中小企業から、営業職や委託契約の給与制度に関する質問が増えています。

次のようなお悩みはありませんか?

  • 「成果主義を導入したいが、給与設計の仕組みが分からない」
  • 「完全歩合制にしていたら労働基準監督署から指摘された」
  • 「就業規則や契約書にどう明記すれば合法的か判断に困る」

完全歩合制とは、労働の成果に応じて報酬が決まる給与制度です。報酬の透明性やインセンティブ効果がある一方で、最低賃金や労働時間管理のルールに違反しやすいリスクがあります。

この記事では、「完全歩合制とは何か?」の基本から、法的な注意点、制度設計のポイント、就業規則への反映、顧問社労士やアウトソース活用の重要性まで、中小企業の経営者・総務担当者が押さえておくべき実務対応をわかりやすく解説します。

完全歩合制とは?その特徴と仕組み

1. 完全歩合制の定義

完全歩合制とは、基本給ゼロで、成果報酬のみで構成される給与制度のことです。
売上や契約件数などの実績に連動して支給額が決まるため、実績がなければ支給額ゼロとなる場合もあります。

2. よく使われる業種

  • 保険外交員
  • 不動産仲介営業
  • 美容師・フリーランス型の業務委託
  • 訪問販売・投資用マンション営業など

3. 他の給与制度との違い

制度 内容
固定給制 毎月一定額支給 月給30万円など
歩合給制 固定給+成果連動報酬 月給20万+売上の5%
完全歩合制 報酬=成果のみ 売上の30%など

完全歩合制における法的注意点と実務対応:8つのアクション

  1. 最低賃金を下回らない制度に
    理由:労働者性がある場合、最低賃金法が適用。
    方法:最低保証額を設定する、もしくは業務委託契約に変更。
    効果:法令違反による是正勧告や追徴を回避。
  2. 労働時間の管理を明確化
    理由:勤務時間がある場合、残業代の支払い義務が生じる。
    方法:勤怠打刻・シフト管理の徹底。
    効果:割増賃金の未払いを防止。
  3. 雇用契約書に支給基準を明記
    理由:後から「報酬額が違う」と主張されるリスクがある。
    方法:算定方式・支払日・対象成果を契約書に記載。
    効果:トラブルの防止と説明責任の明確化。
  4. 報酬の変動と税務処理に対応
    理由:毎月の支給額が異なるため源泉所得税計算も変動。
    方法:給与計算ソフトで可変報酬設定。
    効果:税務上の処理ミス防止。
  5. 完全歩合制の従業員を社会保険対象として確認
    理由:労働者性があれば保険加入が義務。
    方法:労務内容・拘束時間の有無から判断。
    効果:加入漏れによる遡及請求リスク回避。
  6. 就業規則に制度概要を明記
    理由:従業員への周知とトラブル防止。
    方法:給与形態の種類・計算方法・対象者を明示。
    効果:法的有効性の確保。
  7. 不利益変更を避ける運用
    理由:成果が上がらないからと一方的に制度を変更すると違法に。
    方法:労使協議と同意書の取得。
    効果:労働トラブルを回避。
  8. 制度設計を社労士に確認
    理由:判断が難しい「労働者性」や法的リスクを専門家がカバー。
    方法:顧問社労士やアウトソースと連携してレビュー。
    効果:安全かつ実務に即した制度設計が可能。

よくあるQ&A

Q1. 完全歩合制にすると最低賃金を下回っても問題ない?
A. いいえ。労働者性がある場合は最低賃金法が適用され、支給額がそれを下回ると違法です。

Q2. 社会保険への加入義務はある?
A. 雇用契約がある場合や会社の指揮命令下で勤務している場合は、原則として社会保険への加入義務があります。

Q3. 成果ゼロで給与ゼロでも良い?
A. 業務委託契約であれば可能ですが、雇用契約であれば最低賃金を下回ると違法です。

Q4. 助成金申請に影響はある?
A. はい。完全歩合制で最低賃金を下回っていると、キャリアアップ助成金などの対象外となる可能性があります。

まとめ

完全歩合制は、成果報酬型の柔軟な制度として魅力的ですが、法令順守と制度設計が極めて重要です。

  • 最低賃金・労働時間・社会保険の観点から合法性を確保
  • 就業規則・雇用契約書・支給基準を明確にする
  • 社労士やアウトソースと連携して制度運用を安全に

大阪・東京・福岡・名古屋の企業でも、完全歩合制の見直し・整備が進んでいます。今こそ、安全かつ効果的な制度として活用できる体制を整えましょう。

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